SNSや動画サイトではかわいらしい姿ばかりが目に入りますが、実際のフクロモモンガの飼育には独特の苦労がいくつもあります。この記事では、フクロモモンガの飼育で後悔しやすい具体的なポイントと、その対策について詳しく解説します。事前に現実を知っておくことで、フクロモモンガとの暮らしを前向きに始められるはずです。

フクロモモンガを飼って後悔する人は?知っておきたい7つの現実と対策

フクロモモンガの飼育で後悔しやすい7つのポイント

フクロモモンガの飼育で後悔につながりやすい要素は、大きく分けて7つあります。臭い、夜間の鳴き声、夜行性による生活リズムのずれ、なつくまでの時間、食事管理の手間、爪や噛みつきによるケガ、診てもらえる動物病院の少なさです。それぞれ順番に見ていきます。
1. 想像以上に臭いが強い
フクロモモンガの飼育で最初に壁になりやすいのが、独特の体臭と排泄物の臭いです。フクロモモンガはオスを中心に臭腺(しゅうせん)を持っており、頭頂部や胸元から分泌液を出してマーキングを行います。この分泌液がケージや布製品に染みつくと、部屋全体に甘酸っぱいような独特の臭いが広がります。
また、フクロモモンガはトイレを決まった場所に固定するしつけが難しく、排泄場所が安定しにくい傾向があります(個体差あり)。ケージの中でも、飼い主の手の上でも排泄することがあるため、掃除しやすい環境づくりが欠かせません。臭いの強さは個体差や性成熟の度合い、食事内容、ケージの清掃頻度などの複合的な要因で変わります。甘い果物を多く与えている場合は食べ残しの腐敗臭が出ることもあるため、食事内容の見直しも臭い対策の一つです。
2. 夜中の鳴き声が響く
フクロモモンガは夜行性の動物であり、夜間に活発に鳴き声を上げます。鳴き方にはいくつかのパターンがあり、仲間を呼ぶときの「アンアンアン」という甲高い声は、小型犬の鳴き声に近いボリュームに感じる人もいるほどです。個体差や環境によって音量は異なりますが、深夜から明け方にかけてこの声が繰り返されるため、寝室の近くにケージを置いている場合は睡眠を妨げられることがあります。
集合住宅に住んでいる場合は、隣室や上下階への音漏れも気になるところです。鳴き声をしつけで止めることは基本的にできません。寂しさや空腹、発情期など鳴く理由に応じた対応が求められます。
たとえば、寂しさが原因であればケージの置き場所を飼い主の気配が感じられる部屋に移す、空腹が原因であれば夜間の活動開始に合わせて給餌タイミングを調整するといった方法があります。ただし、完全に鳴かなくなることは期待できないため、防音対策やケージの設置場所の工夫もあわせて検討する必要があります。
3. 夜行性で生活リズムが合わない
フクロモモンガが活動を始めるのは、日が沈んでからです。日中はほとんど寝ていて、飼い主が帰宅してくつろぎたい夜の時間帯にもっとも元気になります。ケージの中を飛び回ったり、回し車を走ったりする音が深夜まで続くため、静かな夜を過ごしたい人にはストレスになることがあります。なお、回し車を使う場合は、体格に合った大径で隙間の少ない安全設計のものを選んでください。サイズが合わなかったり隙間が大きかったりすると、尾や指を巻き込む事故につながるおそれがあります。
逆に、日中にスキンシップを取ろうとしても、フクロモモンガは眠っているため嫌がることが多いです。仕事や学校がある平日は、活動時間がほとんど重ならないまま1日が終わってしまうケースも珍しくありません。「一緒に過ごす時間が思ったより少ない」という点が、飼い始めてから感じるギャップの一つです。
4. なつくまでに数か月かかることがある
フクロモモンガは人になつく動物として紹介されることが多いですが、なつくまでの過程には根気が必要です。個体差が大きく、お迎えしてすぐに手の上で眠る子もいれば、数か月経っても威嚇してくる子もいます。特に成体からお迎えした場合は、慣れるまでに半年以上かかることも珍しくありません。
慣れていない状態のフクロモモンガは、近づくだけで「ジコジコ」「カチカチ」と威嚇音を出し、手を入れると噛みつくこともあります。かわいい姿を期待してお迎えしたのに、毎日威嚇されるという状況は精神的にこたえてしまう人もいるかもしれません。
5. 食事の管理に手間がかかる
フクロモモンガの食事は、フクロモモンガ専用の主食フードを軸にしつつ、果物、野菜、動物性たんぱく質などの補助食を組み合わせるケースが多いです。昆虫(ミルワームなど)を与える場面もあるため、虫が苦手な人にとっては大きなハードルになります。
また、フクロモモンガは偏食傾向が強い動物です。好きなものだけを食べて、栄養価の高い食材を残すことが日常的に起こります。甘い果物ばかり与えていると肥満や栄養不足につながるため、食事内容の記録や体重測定を日常的に行う必要があります。特に注意が必要なのがカルシウムとリンのバランス(Ca:P比)です。リンに対してカルシウムが不足すると骨がもろくなる代謝性骨疾患を引き起こすおそれがあります。カルシウムのサプリメントを自己判断で過剰に与えることもリスクがあるため、栄養バランスの調整はエキゾチックアニマルに対応した獣医師や信頼できる飼育指針に沿って行ってください。

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6. 爪と歯による傷が日常的にできる
フクロモモンガの爪は細く鋭く、木の幹にしがみつくために発達しています。この爪が飼い主の手や腕に引っかかると、細かい傷が無数にできます。慣れてくると肩や頭の上に飛び乗ってくることもあり、薄着の季節には首筋や腕に傷が目立つことがあります。
さらに、フクロモモンガは恐怖を感じたときや食べ物と間違えたときに噛みつくことがあります。小さな体に似合わず噛む力は強く、皮膚を貫通して出血することも珍しくありません。深い傷や出血が止まりにくい場合は、感染症のリスクもあるため医療機関を受診してください。
7. 診てもらえる動物病院が限られる
フクロモモンガはエキゾチックアニマルに分類されるため、犬猫を専門とする一般的な動物病院では診察を断られることがあります。体調不良やケガが起きたとき、近所に対応可能な病院がなければ、車で何十分もかけて通院することになります。
フクロモモンガに多い疾患としては、自傷行為(ストレスで自分の体を噛む)、カルシウム不足やCa:Pバランスの乱れなどによる代謝性骨疾患(骨がもろくなり骨折しやすくなる)、皮膚疾患などが挙げられます。体が小さいため症状の進行が速く、発見が遅れると命に関わることもあります。
自傷行為、食欲不振、下痢、ふらつきなどの異変が見られた場合は、早めにエキゾチックアニマルに対応した獣医師を受診してください。お迎えする前に、自宅から通える範囲にフクロモモンガを診察できる動物病院があるかどうかを調べておく必要があります。

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後悔しやすい人に共通する傾向は?

フクロモモンガの飼育で後悔する人には、いくつかの共通した傾向が見られます。見た目のかわいさだけで飼育を決めてしまい、生態や飼育環境について十分に調べていないケースが目立ちます。
たとえば、「小さいから飼いやすそう」というイメージで迎えた人は、臭いや鳴き声の問題に直面して驚くことがあります。また、「すぐになついてくれるだろう」と期待していた人は、威嚇が続く日々に心が折れやすい傾向があります。フクロモモンガの寿命は飼育下で10〜15年ほどとされています(個体差や飼育環境によって前後します)。一時的な感情ではなく長期的な視点で飼育を検討する必要があります。
もう一つ見落とされがちなのが、同居する家族やパートナーの理解です。臭いや夜間の鳴き声は、飼い主本人だけでなく同居人の生活にも影響します。自分一人が納得していても、家族の理解が得られなければ飼育の継続が難しくなることがあります。お迎えの前に、家族全員でフクロモモンガの生態について情報を共有しておくことが後悔を防ぐ第一歩です。
後悔を防ぐために飼う前にできる3つのこと

フクロモモンガの飼育で後悔を減らすには、お迎え前の準備と情報収集に時間をかけることが最も効果的です。ここでは、飼育を始める前に取り組んでおきたい具体的な行動を紹介します。
実際に飼っている人の話を聞く
ペットショップの店員やブリーダーから話を聞くだけでなく、実際にフクロモモンガを飼育している人の体験を知ることが参考になります。飼育ブログやSNSの投稿には、日々の苦労やトラブルへの対処法がリアルに記録されています。かわいい写真や動画だけでなく、飼育の大変さについて率直に書かれた情報を探してみると、飼い始めた後のギャップを小さくできます。
動物病院を事前にリサーチする
お迎えの前に、自宅から通える範囲でフクロモモンガの診察に対応している動物病院を最低2か所は見つけておくことを推奨します。1か所だけでは、休診日や緊急時に対応できない可能性があります。電話で「フクロモモンガの診察は可能ですか」と直接確認するのが確実です。初診の際に健康診断を受けておくと、その後の体調変化にも気づきやすくなります。
飼育環境を先に整える
フクロモモンガは上下に動き回る動物であるため、高さのあるケージと、ケージを置く部屋の温度管理が必要です。適温の目安は24〜28度ほどで、冬場はヒーターによる保温が欠かせません。一方で、夏場の高温多湿にも弱いため、冷房による室温管理も必要です。ケージの近くに温度計を設置し、季節を問わず適温を維持できる環境を整えてください。ケージの設置場所、臭い対策としての換気や空気清浄機の配置など、お迎えの前に環境を整えておくと、飼い始めてからのトラブルを減らせます。
また、フクロモモンガは脱走が得意です。ケージの扉のロックが甘いと、隙間から抜け出してしまうことがあります。脱走すると家具の裏に隠れて出てこなくなったり、電気コードをかじって感電したりする危険があります。
部屋の中でケージから出して遊ばせる(部屋んぽ)場合は、必ず飼い主の監督下で行い、電気コードにはカバーを取りつけておくと安全です。ケージの構造と部屋の安全確認は、お迎え前に済ませておいてください。
「飼わない」という選択肢も持っておく
情報を集めた結果、「自分の生活スタイルには合わない」と感じた場合は、飼わないという判断も一つの正解です。フクロモモンガは手放すことが難しい動物です。犬や猫と比べて里親を探すハードルが高く、引き取り先が見つからないまま飼育崩壊に至るケースもあります。「かわいいから飼いたい」という気持ちと「10年以上世話を続けられるか」という現実を天秤にかけて、冷静に判断することが後悔を防ぐ最大の方法です。
まとめ
フクロモモンガの飼育で後悔する原因の多くは、お迎え前の情報不足と、理想と現実のギャップにあります。臭い、鳴き声、夜行性、なつくまでの時間、食事管理、爪や噛みつきによるケガ、動物病院の少なさなど、飼育には覚悟が必要な場面がいくつもあります。
一方で、これらの課題を事前に理解し、対策を講じたうえでお迎えすれば、後悔のリスクは大きく下がります。フクロモモンガとの10年以上にわたる暮らしを楽しいものにするために、まずは飼育情報を「知ること」から始めてみましょう。















