町田リス園へのインタビュー前編では、飼育係の内藤さんにリスたちや園の魅力について語ってもらいました。
さて、次は園長の谷さんにお話を伺おう。そう思い、園長を呼んでもらうと、遠くから目立つ格好をした人が歩いてきて………。

町田リス園へのインタビュー前編では、飼育係の内藤さんにリスたちや園の魅力について語ってもらいました。
さて、次は園長の谷さんにお話を伺おう。そう思い、園長を呼んでもらうと、遠くから目立つ格好をした人が歩いてきて………。
ーー谷さん、初めまして…って、すごい格好ですね(笑)!
谷さん:初めまして、谷です。いいでしょう、これ。
ーーめちゃくちゃインパクトがあります(笑)。
谷さん:この格好だと、よく話しかけられるんですよ。
ーー素敵です(笑)!
谷さん:ははは。
ーーそれでは本題に入らせてください(笑)。先ほど、飼育係の内藤さんにリス園を案内していただきました。とても素敵な園でした。ところで、町田リス園は動物園として観光名所でありながら、就労支援施設でもあるそうですね。
谷さん:そうなんです。意外と知らずに来られる方が多いのですが、ここは障がい者の方の就労支援を行うB型就労支援施設なんです。実は私の祖母が福祉の仕事をしていて、この施設の立ち上げにも関わっていて。その流れもあり、私も園長として関わることになりました。
ーー今年の6月から園長になられたそうですね。
谷さん:はい。今年の6月から園長を務めています。町田リス園は1988年12月15日に開園し、現在36年を迎え、37年目に入りました。
ーーとても歴史のある施設なんですね。
谷さん:そうですね。福祉施設としての側面もあるので、これからも多くの方に知っていただきたい一心です。
ーーこの施設では、現在何名の方が働かれているのでしょうか?
谷さん:定員は20名で、現在19名が働いています。特徴的なのは、利用者さん(就労している障がい者の方のこと)が接客をしていることですね。ふつう、就労支援施設では裏方作業が中心になることが多いのですが、ここでは来園者と直接関わる仕事もお任せしています。それに加え、動物園としても運営している就労施設は、日本でも珍しいのではないかと思います。
ーー動物園として運営することの良さはどんな点にありますか?
谷さん:この施設の理念は「すべての動物を大切にする」ことです。そして、ここで働く利用者さんも動物たちとともに働きながらコミュニケーションを深めています。皆さん動物が好きな方ばかりなので、その想いを生かせる環境になっていますね。
また、飼育スタッフは動物の世話だけでなく、利用者さんの支援も行います。そのため、単なる動物園ではなく、支援の場としての役割も果たしているんです。一般的な就労支援施設では、お弁当作りやお菓子作りなどが多いですが、動物園を運営しているのは珍しいと思います。
ーーどのような方が来園されることが多いのでしょうか?
谷さん:私もここに来て驚いたのですが、外国からのお客様が多いですね。町田市民だけでなく、北海道や沖縄など遠方からもいらっしゃいます。アメリカ、インド、フィリピンなど、海外からの来園者も多いんですよ。
ーーそうなんですね!
谷さん:多いときには1日に40人ほどの外国人観光客が訪れることもあります。町田市内には、外国人観光客が集まるスポットがあまり多くないので、町田リス園がその役割を担っているのかもしれません。最近では「南町田グランベリーパーク」ができましたが、それ以前から観光スポットとして親しまれています。
ーーそもそも、就労支援施設や動物園としても、リスの放し飼いは珍しいですよね?
内藤さん:そうですね。特に動物との触れ合いに関しては、動物福祉の観点から賛否が分かれることもあります。例えば、真夏にモルモットを展示していると、「こんな暑い日に展示して大丈夫なのか」といった問い合わせが入ることもあります。
しかし、当園ではエアコンやクーラーを適切に設置し、動物たちの健康管理には十分に気を配っています。実際に見に来ていただければ、その対応もしっかりしていることが分かると思います。
ーー谷さんは、この施設や動物たちに対して、どのような想いをお持ちですか?
谷さん:先ほどお話ししたように、理念として「すべての動物を大切にする」という考えを大切にしています。例えば、ここで生まれ育った動物たちには、最後までしっかり面倒を見てあげたいと思っています。最近、34年間生きたコバタンというオウムが亡くなったのですが、縁あってここに来た動物たちの最期をきちんと見届けることも、私たちの役割だと考えています。
ーーなるほど。
谷さん:また、ここでは利用者さんが接客を担当するのが特徴ですが、さらに地域に出て、コミュニティとの関わりを深める機会も増やしたいと思っています。外に出て、さまざまな人と会話をすることで、社会とのつながりを広げていってほしいですね。
ーー利用者さんたちは、実際どのような感想を持たれていますか?
谷さん:長年働いている方も多いですよ。開園当初からいる方もいますし、「他の場所には行きたくない」とおっしゃる方もいます。本来、B型就労支援施設なので、一般就労(障害の有無に関わらず、一般企業で働くこと)を目指す道もあるのですが、ここでの仕事を続けたいという方が多いんです。
ーーそうなんですね。
谷さん:この施設の工賃(利用者さんの給料)は、この地域では最も高い水準なんですよ。朝の掃除から始まり、餌の販売やドアの開閉など、それぞれの業務によって工賃が変わる仕組みになっています。利用者さんは自分がやりたい仕事を選び、研修を受けたうえで担当できるようになると、その分工賃が上がっていきます。一律の工賃を支払う施設が多い中で、努力次第で報酬が変わる仕組みになっているのは、利用者さんのやる気にもつながっていると思います。
ーー素敵な仕組みだなと思います…!園長として1年半勤められてみて、いかがですか?
谷さん:毎日楽しいですよ。ただ、市役所にいた頃よりは確実に疲れますね(笑)。以前は夜型で、深夜までパソコン作業をしていたのですが、今は22時には眠くなってしまうくらいです。朝は8時前に園に来て、開園前に利用者さんと一緒に掃除をしています。
ーー開園は10時からですよね?
谷さん:そうです。でも、それまでに準備や掃除をする時間が必要なんです。利用者さんと一緒に動くので、朝からしっかりサポートしています。
ーー園長のお仕事として、具体的にどのようなことをされているのでしょうか?
谷さん:私は朝から利用者さんと一緒に掃除をしています。土日は園内を巡回して様子を見ていますが、平日は事務作業が中心になります。本当は事務作業とかもやらないといけないんですが、ついつい現場に出てしまうんです(笑)。
ーー現場で一緒に働くことを大切にされているんですね。
谷さん:そうですね。やっぱり利用者さんと一緒にいると色々と見えてくることもありますし。
ーーその帽子も、園内のお土産ですか?
谷さん:これは手作りですね。Amazonで購入したものを組み立てているので、園内では販売していません。でも、ぬいぐるみ類は売店で販売しているものを使っています。売店の売り上げは、利用者さんの工賃(給料のようなもの)にも反映されるんですよ。
ーーいい仕組みですね!
谷さん:利用者さんが手作りしたブローチなどの雑貨も販売しています。それぞれ個性を活かして作っていて、すごく才能のある方もいるんです。絵が上手な人や刺繍が得意な人もいて、ご家族も知らなかった才能がここで開花することもあります。自分の作品が売れると、その分工賃として収入になるので、ご家族もびっくりされていますね。
ーーこれらのグッズ、小動物が好きな方はハマりそうですね。
谷さん:そうですね。小動物好きの方はやはり来園者に多いですね。10時の開園から16時の閉園まで、ずっといる方もいらっしゃいます。
ーーわかります。私も一周しただけで、すごく癒されました。餌をあげたり、リスが肩に登ってきたりすると、やっぱり嬉しいですね。
谷さん:そうですよね。リスが好きな方にはたまらないと思います。ただ、小さいお子さんの場合、朝一番に来るとリスが一斉に寄ってきて驚いてしまうこともあります。時間帯によっては、お昼頃の落ち着いた時間の方が、ゆっくり楽しめるかもしれません。
ーーなるほど。反対に活発なリスを見たいなら、朝や夕方が良いですか?
内藤さん:そうですね。ただ、昼過ぎになるとリスが昼寝モードに入ることもあるので、なかなか寄ってこなくなることもあります(笑)。ただ、土日はかなり混雑するので、できればぜひ平日に来ていただきたいんです。
ーー平日に来るとどんな感じなのでしょうか?
内藤さん:平日は比較的空いているので、餌やりをしたい方にはおすすめです。どの時間帯でもゆっくり餌をあげられますし、自分のペースで動物を観察できるのも平日の魅力ですね。おひとりで来られる方も結構いらっしゃいます。
谷さん:土日は三世代で来られるご家族が多いです。おじいちゃん、おばあちゃん、お孫さんと一緒に、10人ほどの団体で来られることもあります。
内藤さん:自由研究など夏休みの宿題にするお子さんもいるので、よく質問を受けますね。動物について直接話を聞ける機会って意外と少ないので、そういった点も小規模な動物園ならではの魅力です。
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