うさぎの食事の中心となるのは、ペレットでも野菜でもなく、チモシーと呼ばれる牧草です。チモシーは高繊維・低カロリーで、うさぎの消化管と歯の健康を支える主食にあたります。
この記事では、チモシーの基本的な役割から番刈りごとの違い、1日に与える量の目安、そして「うちの子がチモシーを食べない」という悩みへの対処法まで、順を追って解説します。

うさぎの食事の中心となるのは、ペレットでも野菜でもなく、チモシーと呼ばれる牧草です。チモシーは高繊維・低カロリーで、うさぎの消化管と歯の健康を支える主食にあたります。
この記事では、チモシーの基本的な役割から番刈りごとの違い、1日に与える量の目安、そして「うちの子がチモシーを食べない」という悩みへの対処法まで、順を追って解説します。


チモシーはイネ科の多年草で、和名を「オオアワガエリ」といいます。北米やヨーロッパの冷涼な地域で広く栽培され、日本では北海道が主な産地です。うさぎ用の牧草として最も流通量が多く、ペットショップや通販で手軽に入手できます。
さらに、チモシーの長い繊維は腸の蠕動運動を促します。うさぎは腸の動きが止まる「うっ滞」を起こしやすく、これは命に関わる症状です。繊維質を十分に摂取することで、腸内の食物がスムーズに移動し、うっ滞のリスクを下げるのに役立ちます。ただし、うっ滞はストレスや脱水、基礎疾患でも起こるため、繊維摂取だけで完全に防げるものではありません。

チモシーには「番刈り」と呼ばれる収穫時期の違いがあり、それぞれ硬さ・栄養価・風味が異なります。うさぎの年齢や好みに合わせて選び分けることで、牧草の食いつきを改善できることがあります。
1番刈りは、春から初夏にかけて最初に収穫されるチモシーです。茎が太く、穂がついていることが多く、手で触るとややゴワゴワした感触があります。繊維質が最も豊富で、粗繊維の含有率は30〜35%前後です。タンパク質は6〜8%程度、カルシウムも低めに抑えられています。
成うさぎ(生後6か月以降)の主食として最も選ばれているのがこの1番刈りです。硬い茎を噛み砕く動作が歯の摩耗を促し、豊富な繊維が腸の動きを助けます。食べにくそうな様子がある場合は、2番刈りなど他の選択肢も検討してみてください。
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2番刈りは、1番刈りを収穫した後に再び伸びた草を夏から秋にかけて刈り取ったものです。1番刈りに比べて茎が細く、葉の割合が多いため、全体的にやわらかい手触りになります。粗繊維は25〜30%前後で、タンパク質はやや高めの8〜10%程度です。
1番刈りの硬さを嫌がるうさぎや、高齢で噛む力が弱くなったうさぎに向いています。ただし、繊維量は1番刈りより少ないため、健康な成うさぎが2番刈りだけを食べ続けると、歯の摩耗が不十分になる可能性があります。1番刈りへの移行が難しい場合は、1番刈りと2番刈りを混ぜて与える方法も選択肢のひとつです。
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3番刈りは、2番刈りの後にさらに収穫されたチモシーです。茎はかなり細く、葉が中心で、手触りはしなやかです。粗繊維は20〜25%前後と少なめで、タンパク質は10%を超えることもあります。
離乳直後の仔うさぎが牧草に慣れるきっかけとして使えます。ただし、繊維質の少なさから成うさぎの主食には向きません。あくまで「牧草を食べる習慣をつけるための導入」として位置づけましょう。なお、食欲低下が続く場合や、元気がない・便が少ないといった症状がある場合は、3番刈りで様子を見るのではなく、まず動物病院を受診してください。獣医師の指示のもとで牧草の種類を調整するのが安全です。



番刈りの違いに加えて、産地や牧草の状態にも注目すると、うさぎが好むチモシーを見つけやすくなります。
日本で流通しているチモシーの主な産地は、アメリカ産、カナダ産、北海道産の3つです。アメリカ産はワシントン州やオレゴン州のものが多く、乾燥した気候で育つため茎が硬く、香りが強い傾向があります。カナダ産はアメリカ産に近い品質ですが、やや穏やかな風味のものが多い印象です。北海道産は国産ならではの鮮度の良さが特徴で、輸送距離が短い分、開封時の青々しい香りが残りやすいです。
うさぎによって好みの産地が分かれることがあります。あるうさぎはアメリカ産の1番刈りを喜んで食べるのに、北海道産に切り替えた途端に食べなくなる、ということも珍しくありません。逆のパターンもあります。初めて購入する場合は、少量パックで試してから大袋を買う方がムダを減らせます。
チモシーの圧縮方法にも種類があります。シングルプレスは圧縮が緩く、茎や穂の形がそのまま残っています。ふんわりとした見た目で、繊維が折れにくいのが特徴です。一方、ダブルプレスは強く圧縮されているため、密度が高く、茎が短く折れた形状になりやすいです。
歯の健康を考えると、茎の形が残っているシングルプレスの方が噛みごたえがあります。ただし、硬い茎を嫌がるうさぎはダブルプレスの方を好むこともあります。これも個体差が大きいため、両方を試して反応を見るのが確実です。

チモシーは1日の給餌量に上限を設ける必要はなく、うさぎがいつでも食べられる状態を維持します。ただし、治療中の場合や獣医師から特別な指示がある場合は、その指示に従ってください。
具体的な量の目安として、うさぎの体と同じくらいの大きさの山を1日に用意する、という表現がよく使われます。体重1.5kgのネザーランドドワーフであれば、両手でふんわりとつかめる程度の量が目安です。食べ残しがあっても問題はありませんが、残った牧草は翌日に新しいものと入れ替えましょう。古い牧草が溜まったままだと、うさぎが新鮮な部分を選べなくなり、食べる量が減ることがあります。
牧草入れ(ヘイフィーダー)は、ケージの壁面に取り付けるタイプと、床に置くタイプがあります。壁掛けタイプはチモシーが尿や排泄物で汚れにくく、衛生面で優れています。ただし、うさぎによっては牧草を引き抜く動作を嫌がることもあるため、床置きの深皿やカゴを好む子もいます。
トイレの近くに牧草入れを設置すると、排泄しながらチモシーを食べるうさぎが多いです。うさぎはトイレの時間が長い動物なので、その間に自然と牧草を口にする環境を作ると摂取量が増える傾向があります。
ペレットはチモシーだけでは不足しがちなビタミンやミネラルを補う補助食です。成うさぎの場合、1日に与えるペレットの量は体重の1.5%程度が一般的な目安とされています。ただし、適量はペレットのカロリー密度やうさぎの体格・活動量によって変わるため、商品パッケージの推奨量を上限の参考にしつつ、体型(ボディコンディションスコア)を見ながら調整しましょう。ペレットを与えすぎるとお腹がいっぱいになり、チモシーの摂取量が減ります。ペレットは朝と夕方の2回に分けて決まった量を与え、チモシーは常に補充しておく、というリズムが理想的です。
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うさぎがチモシーを食べない、または食べる量が減ったという悩みは、飼い主が最もよく直面する問題のひとつです。原因は大きく分けて「牧草側の問題」「環境の問題」「体調の問題」の3つに整理できます。
先述のとおり、チモシーは開封後に時間が経つと香りが弱くなり、うさぎの食欲を刺激しなくなります。まずは新しいパッケージを開封して与えてみてください。それでも食べない場合は、産地や番刈り、圧縮方法を変えて試してみましょう。
たとえば、普段アメリカ産の1番刈りシングルプレスを与えているなら、北海道産の1番刈りや、アメリカ産のダブルプレスに切り替えてみましょう。同じ「1番刈り」でも、メーカーやロットによって茎の太さや香りにかなり差があります。3〜4種類を同時に並べて、どれに一番反応するかを観察する方法も有効です。
ペレットの量が多すぎると、うさぎはカロリーの高いペレットを優先して食べ、チモシーに手をつけなくなります。おやつのドライフルーツや市販のスナックも同様です。果物のドライチップスは糖分が高く、うさぎにとっては嗜好性の塊のような食べ物です。ドライフルーツなどの甘いおやつは基本的に必須ではありません。与える場合は、ごく少量にとどめ、うさぎの体型や便の状態を見ながら頻度を最小限に抑えましょう。
ペレットの量を見直す際は、一気に減らすのではなく、1〜2週間かけて段階的に減らしていく方法がうさぎの体に負担をかけにくいです。調整中は体重と便の大きさ・量を観察し、食欲の低下や便の異常が見られた場合は無理に続けず、動物病院に相談してください。ペレットが減った分、うさぎは自然とチモシーに口を伸ばすようになります。
チモシーを食べない原因として見落とせないのが、歯や口腔内のトラブルです。不正咬合が進行すると、頬の内側や舌に歯が刺さり、痛みで牧草を噛めなくなります。よだれが増えた、顎の下が濡れている、ペレットは食べるが牧草だけ残す、といった様子が見られたら、早めに動物病院を受診しましょう。
消化器系の不調も食欲低下の原因になります。糞の大きさがいつもより小さい、数が減っている、お腹がガスで張っている、といった兆候がある場合は、うっ滞の初期症状かもしれません。便が明らかに減った時点で注意が必要です。食欲の低下や元気がない様子を伴う場合、あるいは便が出ない状態が数時間続く場合は、早急に獣医師の診察を受けてください。12時間以上便が出ていない場合は緊急性が高いと考えましょう。
チモシーは開封後に湿気を吸うと、香りが飛んでカビが生える原因になります。開封したら、乾燥剤を入れた密閉容器やジッパー付きの保存袋に移し替え、直射日光の当たらない涼しい場所に保管しましょう。梅雨時期や夏場は劣化が早いため、1〜2週間で使い切れる量を目安に購入するのが理想です。
うさぎは嗅覚が優れており、鮮度の落ちたチモシーには見向きもしなくなることがあります。「急にチモシーを食べなくなった」という場合、牧草そのものの鮮度が落ちていないかを最初に確認してみてください。新しい袋を開けた途端に食べ始める、ということは意外とよくあります。

チモシーがどうしても苦手なうさぎには、他のイネ科牧草を混ぜる方法があります。オーチャードグラスはチモシーよりも葉が細くやわらかく、甘い香りが特徴です。イタリアンライグラスは嗜好性が高く、牧草を食べる習慣づけに役立ちます。ただし、イタリアンライグラスは糖分がやや高い傾向があるため、主食はあくまでチモシーとし、混ぜる量は控えめにしましょう。
マメ科のアルファルファには注意が必要です。アルファルファはチモシーよりタンパク質とカルシウムの含有量が高く、成長期の仔うさぎや妊娠中の母うさぎには適しています。しかし、成うさぎが常食すると肥満や尿路結石のリスクが高まります。成うさぎにアルファルファを与える場合は、少量をおやつ程度に留めましょう。
複数の牧草を混ぜてケージに入れておくと、うさぎが自分で好みのものを選んで食べます。チモシーの1番刈りをベースにしつつ、オーチャードグラスやイタリアンライグラスを2〜3割混ぜるという配分が、栄養バランスと嗜好性を両立しやすい組み合わせです。
うさぎの健康を支える食事の土台は、チモシーです。豊富な繊維質が腸の動きを促し、硬い茎が歯の伸びすぎを防ぎます。1番刈りを基本に、うさぎの年齢や好みに応じて2番刈り・3番刈りを使い分け、産地や圧縮方法も試しながら、その子が喜ぶチモシーを探してみてください。
食べない時は、牧草の鮮度を確認し、ペレットやおやつの量を見直すところから始めましょう。それでも改善しない場合は、歯や消化器に問題が隠れている可能性があるため、動物病院での診察が必要です。毎日たっぷりのチモシーを食べるうさぎは、糞の状態が安定しやすく、体調の管理にも役立ちます。



