うさぎを飼い始めたとき、「そもそもうさぎにベッドっているの?」と疑問に思った方は多いのではないでしょうか。結論から言うと、うさぎにクッション型の"ベッド"は必須ではありません。ただし、うさぎは野生ではアナウサギとして地下に巣穴を掘り、暗くて安心できる空間で休息をとっていた動物です。
室内飼育でも、安心して隠れられるハウス(隠れ家)や足に優しいマットがあると、落ち着いて休める環境を作りやすくなります。とくに「隠れ家」はうさぎの精神的な安定に直結するため、ベッドよりも優先度が高いアイテムと言えるでしょう。一方で、ベッドやマットにも足裏の保護や体温調節のサポートといった役割があり、うさぎの個体差や生活環境に合わせて取り入れると暮らしがより快適になります。
この記事では、ベッドの役割から素材ごとの違い、季節による使い分け、サイズの見極め方、お手入れの方法まで、ベッド選びに必要な知識をまとめてお伝えします。
うさぎにベッドやマットが役立つ場面とは

隠れ家の確保とストレス軽減
うさぎは本来、穴の中で暮らす動物です。ペットとして室内で飼育されているうさぎも、暗くて囲まれた空間を本能的に好む傾向があります。ケージの中にハウスやドーム型のベッドなど「隠れられる場所」を常設してあげることで、「ここは自分の場所だ」と感じられる安全地帯ができ、日常のストレスが和らぎます。
特に、来客があったときや掃除機の音がしたときなど、ちょっとした刺激にも敏感なうさぎにとって、すぐ逃げ込める場所があるのとないのとでは大きな違いがあります。隠れ家はベッドよりも優先度が高く、まだ用意していない場合はまず隠れられるハウスから検討するのがおすすめです。そのうえで、くつろぎスペースとしてベッドやマットをプラスしてあげると、よりリラックスした姿を見せてくれるようになるでしょう。
足裏の保護とソアホック対策
もうひとつ見逃せないのが、足裏の健康を守る役割です。うさぎの足裏には犬や猫のような肉球がなく、厚い被毛がクッションの役割を果たしています。この被毛が擦れて薄くなると皮膚が露出し、「ソアホック(飛節びらん)」と呼ばれる炎症を起こすことがあります。とくにワイヤー製の床(金網のすのこ)はソアホックの主な原因とされており、その上で長時間過ごすのは足裏にとって大きな負担です。
ベッドやマットを敷くことで、足裏にかかる負担がぐっと軽くなります。とくに体重が重めの子やシニアのうさぎは足裏トラブルを抱えやすいため、やわらかい素材の寝床を用意してあげると安心です。
体温調節のサポート
うさぎは体温調節が得意ではない動物で、暑さにも寒さにもそれぞれリスクがあります。ベッドは季節に応じて保温や冷感の機能を持たせることができるアイテムでもあり、冬場はフリース素材のものやヒーターと併用できるタイプ、夏場は通気性のよい天然素材のものを選ぶことで、ケージ内の温度環境を細やかに調整できます。エアコンでの室温管理に加えて、ベッドという「局所的な快適ゾーン」を作ってあげるイメージです。
うさぎのベッドの種類と特徴

わら・チモシー素材のベッド
うさぎのベッドとして最もポピュラーなのが、わらやチモシーで編まれたタイプです。天然素材で作られているため、うさぎがかじっても体に害がなく、安全性の面ではトップクラスと言えます。
かじること自体がうさぎにとってストレス発散になりますし、チモシーの場合はそのまま食べてしまっても繊維質の補給になるので一石二鳥。価格も比較的リーズナブルで、1,000円前後から手に入るものが多いのも魅力です。
ただし、うさぎが熱心にかじる子の場合は消耗スピードがかなり早く、数日で原形をとどめなくなるケースも珍しくありません。使い捨て感覚で定期的に交換してあげる前提で考えるとよいでしょう。また、わらの隙間に排泄物が入り込むと衛生面が心配になるため、汚れたらすぐに取り替えるのがポイントです。
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布・フリース素材のベッド
ふわふわの手触りが特徴の布製ベッドは、見た目も可愛らしく、飼い主さんの間でも人気が高いカテゴリです。ポリエステルやフリース、ボア生地で作られたものが多く、冬場の保温性に優れています。ペットヒーターと組み合わせて使えるタイプもあり、寒い時期のくつろぎスペースとして力を発揮します。
一方で、布製ベッドには注意点もあります。うさぎは布をかじる習性があり、繊維を飲み込んでしまうと消化できない異物が胃腸で詰まる「異物閉塞」を起こすリスクがあります。うさぎは構造上嘔吐ができない動物なので、一度飲み込んでしまった異物を自力で吐き出すことができません。布を積極的にかじる子には不向きなので、導入する際はしばらく目を離さずに様子を観察してください。また、布はおしっこを吸い込みやすいため、こまめな洗濯が欠かせません。洗い替え用にもう一枚用意しておくと、衛生面を保ちやすくなります。
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木製・プラスチック製のベッド
木製のベッドは、天然木で作られたシンプルな板状のものや、すのこタイプのものがあります。かじっても比較的安全なものが多く、耐久性もわらに比べれば長持ちします。うさぎが上に乗って休んだり、ひんやりとした感触を楽しんだりと、とくに夏場に活躍するタイプです。ただし、木製やへちま素材はかじって小片を飲み込むと異物閉塞の原因になることがあります。表面がささくれたり欠けたりしたものは早めに交換し、かじって破片を飲み込みやすい子は素材自体を見直すことも検討しましょう。
プラスチック製のものは掃除が簡単で衛生的に保ちやすい反面、滑りやすいことがデメリット。マットやタオルを一枚敷いて使うなど、工夫を加えるとよいでしょう。
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ドーム型・かまくら型のベッド
うさぎの巣穴本能を最も満たしてくれるのが、ドーム型やかまくら型のベッドです。体全体がすっぽり入る形状で、入り口からひょっこり顔を出す姿は飼い主さんの心を鷲掴みにします。周囲が壁に囲まれているため安心感が高く、臆病な性格の子やお迎えしたばかりの子うさぎに向いています。
布製のドーム型はあたたかいので冬場に適していますが、通気性がやや劣るため、夏場はケージ内が蒸れないよう注意が必要です。わら素材でできたドーム型(うたた寝ハウスなど)であれば、通年で使いやすく、かじっても安全なのでバランスのよい選択肢になります。
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ベッドを選ぶときの5つのポイント

サイズはうさぎの体より一回り大きいものを
ベッドのサイズ選びで大切なのは、うさぎが体を伸ばしてゴロンと寝転がれるくらいの余裕があることです。うさぎはリラックスすると体を横に倒して「バタン寝」をしたり、足を後ろに投げ出して「うさもち」のような体勢になったりします。ぴったりサイズだと窮屈に感じて使ってくれないこともあるため、体のサイズよりもひと回り大きめを目安に選びましょう。
ただし、ケージの中にベッドを置く場合は、トイレや牧草入れ、給水器との兼ね合いも考えなくてはなりません。ケージのレイアウトを先に決めてから、残りのスペースに収まるサイズを選ぶと失敗が少なくなります。
かじっても安全な素材かどうか
うさぎは歯が一生伸び続ける動物なので、身の回りのものをかじるのはごく自然な行動です。ベッドも例外ではなく、気に入ったベッドほどよくかじります。そのため、かじって飲み込んでしまっても体に害のない素材であることが大前提になります。
わらやチモシーは食べてしまっても問題ありませんが、布製のものは繊維の誤飲が心配です。プラスチック製のパーツやボタン、リボンなどの装飾がついたデザインのものは見た目は可愛いのですが、誤飲事故のリスクがあるため極力シンプルなデザインのものを選ぶのがおすすめです。
洗いやすさ・掃除のしやすさ
うさぎは意外とよくおしっこやうんちをベッドの上にしてしまうことがあります。衛生的な環境を維持するためには、お手入れがラクかどうかも大切な判断基準です。
布製のベッドなら手洗いや洗濯機で丸洗いできるものを選び、できれば洗い替え用にもう一枚用意しておくと安心です。わら製のベッドは洗えないため、汚れたら新しいものに交換するかたちになります。プラスチック製であれば水洗いが簡単なので、清潔を保ちやすいメリットがあります。
ケージ内のレイアウトに合うかどうか
ベッドを選ぶ際に意外と盲点になるのが、ケージ内のスペースとの相性です。特にドーム型やハウス型は場所を取るため、トイレや牧草フィーダー、給水ボトルの配置を圧迫してしまうことがあります。
購入前にケージの内寸を測り、ベッドを置いてもうさぎが自由に動き回れるだけの余裕があるか確認しましょう。ベッドの上に乗って遊ぶ子もいるので、ケージの天井までの高さにも気を配りたいところです。高さのある巣箱タイプは、上に跳び乗って降りるときに足をすのこの隙間に引っかけて骨折するリスクも報告されているため、上に乗れない構造のものか、フラットなベッドタイプのほうが安全です。
うさぎの性格や好みに合わせる
これが意外と大切なポイントなのですが、うさぎにも好みがあります。ふかふかの布製ベッドを用意しても見向きもせず、かたい木の板の上のほうが落ち着くという子もいれば、わらのベッドを一晩で食べ尽くしてしまう子もいます。
新しいものに対して警戒心が強い子は、ベッドを設置してもすぐには使ってくれないことが多いです。焦らず数日間は様子を見て、近くに牧草やおやつを置いてみるなど、ゆっくり慣れさせてあげましょう。最終的にはうさぎ本人が「ここが好き」と決めた場所がベストな寝床です。
うさぎは冬眠する?冬の過ごし方と寒さ対策を徹底解説
季節ごとのベッドの使い分け

夏のベッド選び
うさぎは暑さに弱い動物です。一般的に室温15〜25℃が快適域とされており、25℃を超えるあたりから注意が必要になってきます。27℃以上の環境に長くさらされると体調を崩すリスクがさらに高まるため、夏場のベッドは通気性を最優先に考えましょう。温度だけでなく、湿度の高さや直射日光もうさぎにとっては大きな負担になるので、ベッド選びと併せて室内環境全体に気を配ることが大切です。
おすすめは、わらやいぐさなどの天然素材で編まれたマットタイプです。蒸れにくく、うさぎの体にこもった熱を逃がしやすいのが特徴。アルミ製やテラコッタ(素焼き)のプレートをベッド代わりに使うのも効果的で、ひんやりとした感触がうさぎの体温を下げてくれます。
逆に、布製のドーム型ベッドやフリース素材のマットは夏場は避けたほうが無難です。保温性が高いぶん、ケージ内に熱がこもりやすくなります。もちろんエアコンでの室温管理は大前提ですが、ベッドの素材を変えることでケージ内のミクロな環境をさらに快適にできます。
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冬のベッド選び
冬場はうさぎの保温対策が必要になります。うさぎは寒さには比較的強い動物ですが、10℃を下回るような環境や、急な冷え込み・底冷え・隙間風には注意が必要です。室温を16〜22℃あたりに保てるとより快適ですが、環境によってはベッドやヒーターでの補助があると安心でしょう。
フリースやボア素材のベッドは冬場にぴったりで、体をすっぽり包んでくれるドーム型であればさらに暖かさがアップします。ペットヒーターのコードを通す穴がついた製品もあり、ヒーターとベッドを組み合わせることで寝床全体をポカポカにできます。
ただし、ヒーターを使う際はコードをうさぎがかじらないよう、ケージの外にコードを通すかカバーで保護する対策が欠かせません。また、暖めすぎもうさぎにとってはストレスになるため、ヒーターのないエリアも確保し、うさぎが自分で暑い場所と涼しい場所を行き来できるようにしてあげてください。
冬場はケージ自体が冷えやすいので、ケージの下にジョイントマットや段ボールを敷いて底冷えを防ぐ対策も併せて行うと効果的です。床に直置きしているケージは想像以上に冷たくなるため、底からの寒さ対策はベッドと同じくらい意識したいポイントです。
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季節の変わり目の注意点
見落としがちなのが、春や秋の季節の変わり目です。朝晩の気温差が大きくなる時期は、うさぎの体調が崩れやすくなります。この時期は、夏用と冬用のベッドを両方ケージの中に置いておいて、うさぎ自身に選ばせるのもひとつの方法です。暑く感じたらわらのマットの上へ、寒く感じたらフリースのベッドの上へと、自分で移動できる環境を作ってあげましょう。
ベッドのお手入れと交換の目安

日常のお手入れ方法
うさぎのベッドは、想像以上に汚れやすいものです。毎日のお世話のなかで、抜け毛や牧草のカス、排泄物がついていないかチェックする習慣をつけましょう。
布製のベッドは週に1〜2回は洗濯するのが理想的です。ペット用の洗剤を使うか、香りの強くない中性洗剤で手洗いし、しっかり乾かしてから戻してあげてください。生乾きのまま使うと雑菌が繁殖してしまうため、天日干しや乾燥機で完全に乾かすことがポイントです。
わら素材のベッドは洗えないので、汚れが目立ってきたタイミングで新しいものに交換します。ベッドの裏側にカビが生えていないかも、ときどき持ち上げて確認してあげると安心です。
交換の目安
ベッドの交換時期は素材によって異なります。わら・チモシー製はかじりの程度にもよりますが、早い子だと1〜2週間、持つ子でも1ヶ月前後で交換が必要になるケースが多いです。布製のものは洗濯を繰り返すことで徐々にへたってくるため、クッション性が落ちてきたら新しいものに替えましょう。目安としては3〜6ヶ月程度ですが、かじりが激しい子はもっと早く交換が必要です。
木製やプラスチック製は比較的長持ちしますが、かじって表面がささくれだったり、割れたりしている場合はうさぎが怪我をする恐れがあるため、傷みが目立ってきたら迷わず交換してください。
うさぎがベッドを使ってくれないときの対処法

せっかく買ったベッドをうさぎが使ってくれない、というお悩みは実はとても多いです。うさぎは新しいものに対して警戒心が強い生き物なので、置いてすぐに気に入ってくれるケースのほうがむしろ珍しいかもしれません。
まずは2〜3日そのまま置いておいて、うさぎが自分のペースで近づけるようにしましょう。ベッドの上や近くに好きな牧草やおやつを置いてみると、自然とベッドに乗る回数が増えることがあります。それでもまったく興味を示さない場合は、素材や形状がその子の好みに合っていない可能性があります。ふわふわが苦手な子にはかためのわら素材を、囲まれるのが苦手な子にはフラットなマットタイプを試してみるなど、いくつかのタイプを試してみるのも手です。
ちなみに、うさぎのなかには「ベッドの上ではなくベッドの横」や「ベッドの裏側」を寝床にする自由な子もいます。そんなときは無理にベッドの上で寝かせようとせず、その子のお気に入りスポットにマットを敷いてあげるなど、うさぎの気持ちに寄り添った対応をしてあげてください。
まとめ
うさぎのベッド選びは、素材・サイズ・季節・お手入れのしやすさなど、考えるべきポイントがいくつかあります。とはいえ、一番大切なのは目の前のうさぎがリラックスしてくつろいでいるかどうかです。
わら素材は安全性とコスパに優れ、布製は保温性と見た目の可愛さが魅力、木製やプラスチック製は耐久性とお手入れのしやすさが強み。それぞれに良い面とそうでない面がありますが、うさぎの性格やかじり癖、季節、ケージのサイズなどを総合的に考慮して、ベストな一枚を見つけてあげてください。
最初から正解を見つけようとする必要はありません。いくつか試してみて、うさぎの反応を観察しながら「うちの子にはこれが合うな」と分かっていくのも、うさぎとの暮らしの楽しみのひとつです。お気に入りのベッドの上で気持ちよさそうに目を細めている姿を見られたら、それが一番の正解のサインですよ。