うさぎは何類なの?げっ歯類ではない理由と正しい分類をわかりやすく解説
「うさぎって何類なの?」「ネズミの仲間なの?」という疑問を持つ方は少なくありません。見た目がネズミやハムスターに似ているため、同じ仲間だと思われがちですが、実はうさぎとネズミはまったく別の分類に属する動物です。
結論からお伝えすると、うさぎは「哺乳類」であり、「ウサギ目(兎形目)」に分類される動物です。歴史的にはネズミなどのげっ歯類と近いグループとして扱われていた時期もありましたが、歯の構造などの違いが明らかになり、現在は独立した分類として認められています。
この記事では、うさぎの正確な分類や、なぜげっ歯類とは別の仲間なのか、その理由と違いについて詳しく解説していきます。
うさぎは「哺乳類」で「ウサギ目」に分類される動物

うさぎの分類を正確に理解するためには、生物学的な分類体系を知ることが大切です。私たちが普段ペットショップで見かけるうさぎや、野山で暮らすノウサギは、どのような位置づけになっているのでしょうか。
生物学的な分類を詳しく見てみよう
うさぎは生物学的に見ると、動物界・脊索動物門・哺乳綱・ウサギ目(兎形目)・ウサギ科に属しています。「ウサギ目」は「兎形目(とけいもく)」とも呼ばれ、「重歯目(じゅうしもく)」という別名もあります。
この「重歯目」という名前は、うさぎの歯の特徴に由来しています。うさぎの上あごには、表から見える大きな前歯(門歯)の裏側に、もう一対の小さな門歯が隠れています。つまり門歯が「重なって」生えているため、「重歯」と呼ばれるようになったのです。
ウサギ目には大きく分けて2つの科があります。ひとつは私たちがよく知るウサギ科で、もうひとつは「ピカ」とも呼ばれるナキウサギ科です。世界には資料や分類体系によって差がありますが、おおむね90〜110種程度のウサギ目の動物が生息しており、南極大陸を除くほぼすべての大陸に分布しています。
ペットのうさぎの正式な分類
ペットショップで販売されている、私たちが「うさぎ」として親しんでいる動物は、正式には「アナウサギ」を家畜化したものです。分類上は「哺乳綱ウサギ目ウサギ科アナウサギ属」となります。
アナウサギは元々ヨーロッパに生息していた野生のうさぎで、家畜化の時期については諸説ありますが、中世ヨーロッパ(6〜7世紀ごろ)に本格的に進んだという見方が有力です。その後、毛皮用や実験用など様々な目的で品種改良が進み、現在ではネザーランドドワーフやホーランドロップ、ミニレッキスなど、たくさんの品種が生まれています。
一方、日本の野山に昔から暮らしているニホンノウサギは「ノウサギ属」に分類され、ペットのうさぎとは「属」のレベルで異なります。この違いは犬と狐ほどの距離感があり、両者を交配させても子どもは生まれません。
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うさぎはげっ歯類ではない!その理由とは
うさぎを見て「ネズミの仲間かな?」と思う方は多いでしょう。確かに、一生伸び続ける前歯や、草を食べる姿など、げっ歯類と似ている部分があります。しかし、うさぎとげっ歯類は分類学上まったく別のグループです。
かつてはげっ歯類に分類されていた
実は、うさぎがげっ歯類と混同されるのには歴史的な理由があります。生物学の分類において、うさぎは長らくげっ歯類と近いグループとして扱われてきました。門歯が一生伸び続けるという共通点から、似た仲間だと考えられていたのです。
しかし、骨格の詳細な研究や、血清学的な分析(血液中のタンパク質を比較する研究)、さらには近年の遺伝子解析技術の発達により、うさぎとげっ歯類は進化の歴史において別々の道をたどってきたことが明らかになりました。
現在では、うさぎは独立した「ウサギ目」として分類されており、げっ歯目とは別の目として扱われています。分類学の世界では、「目」が異なるというのはかなり大きな違いを意味します。たとえば、犬と猫は見た目も生態も異なりますが、どちらも同じ「食肉目」に属しています。うさぎとネズミの違いは、犬と猫の違いよりもさらに大きいということになるのです。
げっ歯類との決定的な違いは「歯」の構造
うさぎとげっ歯類を分ける最も明確な違いは、上あごの門歯(前歯)の数にあります。
げっ歯類の門歯は、上下それぞれ1対(2本ずつ)で合計4本です。一方、うさぎの門歯は下あごが1対(2本)なのは同じですが、上あごには2対(4本)の門歯があります。外から見える大きな2本の門歯の後ろに、小さな「楔形門歯(くさびがたもんし)」と呼ばれる門歯がもう2本隠れているのです。
この「二重構造」になった上あごの門歯こそが、うさぎが「重歯目」と呼ばれる理由であり、げっ歯類とは異なる分類に分けられた最大の根拠となっています。
ちなみに、うさぎの歯は門歯だけでなく臼歯(奥歯)も含めてすべてが一生伸び続ける「常生歯」です。獣医学の文献によると、うさぎの切歯は週に2〜3mm程度のペースで伸びるとされています。そのため、繊維質の多い牧草をしっかり食べることで歯をすり減らし、適切な長さを保つ必要があります。
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うさぎとげっ歯類の見分け方と共通点

歯の構造以外にも、うさぎとげっ歯類にはいくつかの違いがあります。同時に、似ている点も存在するため、それぞれを整理して理解しておきましょう。
前足の使い方にも違いがある
うさぎとげっ歯類の違いは、歯だけではありません。日常的な行動の中にも、明確な違いが表れています。
げっ歯類は前足を器用に使って食べ物をつかむことができます。ハムスターやリスがひまわりの種を両手で持って食べている姿を見たことがある方も多いでしょう。これはげっ歯類に共通する特徴で、前足の構造が物をつかむのに適しているためです。
一方、うさぎの前足はげっ歯類ほど器用に物をつかむことが得意ではありません。うさぎが食事をするときは、前足を使わずに直接口で食べ物をくわえることがほとんどです。野菜やペレットを食べる姿を観察すると、この違いがよくわかります。うさぎの前足は主に移動や穴掘りに適した構造をしており、げっ歯類のように物を保持しながら食べるという行動はあまり見られません。
また、うさぎは後ろ足が前足に比べてとても発達しており、跳躍力に優れています。これは天敵から素早く逃げるために進化した特徴で、げっ歯類とは異なる生存戦略を取ってきた証拠でもあります。
似ている部分も確かに存在する
もちろん、うさぎとげっ歯類に共通する特徴もあります。だからこそ、かつては同じ仲間だと考えられていたわけです。
最も大きな共通点は、門歯が一生伸び続けるという特徴です。うさぎもげっ歯類も、前歯を使って固い植物をかじることで歯をすり減らし、適切な長さを維持しています。飼育下で適切な食事を与えないと、どちらも歯が伸びすぎてしまう「不正咬合」という問題が起こりやすくなります。
また、うさぎは草食動物であり、盲腸が発達していて食物繊維を効率よく消化できるようになっています。げっ歯類にも草食の種は多いですが、ハムスターやマウスのように雑食性の種も少なくありません。この点は両者の違いとして覚えておくとよいでしょう。
さらに、うさぎには「食糞」と呼ばれる行動があります。より正確に言うと、これは盲腸で作られた栄養豊富な「盲腸糞(セコトロープ)」を食べ直す「盲腸糞食」という仕組みです。一度消化した食物から、ビタミンB群などの栄養素を再度吸収するための大切な行動で、うさぎの健康維持に欠かせません。
近年の研究では、うさぎとげっ歯類は「グリレス大目」という大きなグループの中で、比較的近い関係にあることが遺伝子解析から示されています。つまり、まったく無関係というわけではなく、進化の過程でどこかで枝分かれした「遠い親戚」のような関係と言えるでしょう。
まとめ
うさぎの分類について、改めて整理してみましょう。
うさぎは哺乳類であり、「ウサギ目(兎形目・重歯目)」に分類される動物です。歴史的にはネズミやハムスターなどのげっ歯類と近いグループとして扱われてきましたが、上あごの門歯が二重構造になっているという歯の特徴や、遺伝子解析の結果から、現在は独立した分類として認められています。
うさぎとげっ歯類の違いは、歯の構造だけでなく、前足の器用さという行動面にも表れています。一方で、門歯が一生伸び続けることなど共通点も確かに存在しており、進化の歴史の中では「遠い親戚」のような関係にあると考えられています。
ペットとしてうさぎを飼っている方にとっては、うさぎが独自の進化を遂げてきた動物であることを知ることで、その生態や特徴をより深く理解するきっかけになるかもしれません。歯が伸び続けるという特性を持つうさぎには、繊維質の多い牧草を中心とした食事が欠かせないということも、分類を知ることで納得できるのではないでしょうか。