ハムスターボールは、ペットショップで手軽に買える人気のグッズです。透明な球体の中でハムスターがコロコロと転がる姿はたしかにかわいらしく、つい手に取りたくなる気持ちはよくわかります。しかし結論からお伝えすると、ハムスターボールは基本的に使わないほうがいいアイテムです。
衝突による怪我、足が挟まる事故、精神的なストレスなど、ハムスターにとってのリスクが多く、イギリスの動物福祉団体RSPCAはストレスや怪我の可能性があるとして使用を推奨していません。この記事では、なぜハムスターボールを避けたほうがいいのか、その理由と代わりになる安全な運動方法について詳しくお伝えします。
ハムスターボールとは

ハムスターボールは、古くから販売されている透明なプラスチック製の球体型グッズです。ランナーボールやエクササイズボールとも呼ばれ、空気穴と出入り口の扉が付いた構造になっています。ハムスターを中に入れて蓋を閉めると、ハムスターが歩くたびにボールが転がり、部屋の中を移動できるという仕組みです。
ケージの外で運動させたい、掃除中に一時的に入れておきたいといった目的で使われてきましたが、動物福祉の観点から見ると問題が多いアイテムであることがわかっています。見た目のかわいさだけで判断せず、ハムスターにとってどのような影響があるのかを理解しておくことが大切です。
ハムスターボールをおすすめしない理由

ハムスターボールには複数の危険性があり、それぞれがハムスターの健康や命に関わる深刻な問題です。ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
壁や家具への衝突で怪我をする
ハムスターボールの大きな問題点が、止まりにくく、自分の意思で外に出られない構造にあります。ハムスターがボールの中で歩くと、ボールはそのまま転がり続けてしまいます。方向転換も難しく、結果として壁や家具に勢いよくぶつかってしまうのです。
ボールは硬いプラスチックでできているため、衝突時の衝撃は小さなハムスターの体には相当な負担になります。RSPCAも衝突によるストレスや怪我のリスクを指摘しており、一見安全そうに見えるボールが、実は事故の原因になりうるのです。階段や段差のある場所で使用すると落下によって重大な怪我につながるおそれがあるため、そのような場所では絶対に使用しないでください。
通気口に足や爪が挟まる
ハムスターボールには換気のための穴や隙間が開いていますが、この部分にハムスターの足や爪が挟まってしまう事故が起こることがあります。RSPCAもこの外傷リスクを明記しており、ボールが回転している最中に足が挟まると、爪が剥がれたり足を怪我したりする危険があります。
ボールのサイズがハムスターの体に合っていないと、このリスクはさらに高まります。たとえ適切なサイズを選んだとしても、構造上どうしても隙間は存在するため、足が挟まる危険を完全になくすことはできません。
方向感覚を失いパニックになる
ハムスターは視覚があまり発達しておらず、代わりに触覚・嗅覚・聴覚を頼りに周囲の状況を把握しています。とくにヒゲは周囲の環境を感じ取るための大切な感覚器官です。ところがボールの中に閉じ込められると、これらの感覚をうまく使うことができなくなり、自分がどこにいるのかわからなくなってしまいます。
RSPCAはこの点について、ボールがハムスターの感覚利用を制限し、ストレスにつながりうると指摘しています。ボールの中で激しく走り回っている姿を「楽しそう」と感じる飼い主さんもいますが、実際には閉じ込められた恐怖から必死に逃げ出そうとしている可能性が高いのです。
環境をコントロールできずストレスが蓄積する
ハムスターボールは、ハムスターに継続的なストレスを与えます。RSPCAは「環境をコントロールできない」「隠れ家などの必要な資源にアクセスできない」点を問題として挙げています。止まりたいときに止まりにくい、行きたい方向に行けない、疲れても自分で出られないという状態が続くと、精神的な負担は相当なものになります。
ストレスを解消させてあげようと思って使ったボールが、逆にストレスの原因になってしまっては本末転倒です。ハムスターはストレスに弱い動物であり、慢性的なストレスは免疫力の低下や寿命の短縮にもつながりかねません。
換気が不十分で体調を崩すおそれがある
ハムスターボールには空気穴が開いているものの、密閉された空間での換気は十分とは言えません。ハムスターは体温調節が苦手で暑さに弱い動物ですが、ボールの中は外気と遮断されているため熱がこもりやすく、体調不良につながるおそれがあります。
また、ボールの中で排泄をしてしまった場合、逃げ場のない空間で不衛生な状態が続くことになります。これもハムスターの健康に悪影響を与える要因です。
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「メリット」とされる点への疑問

ハムスターボールのメリットとして、「部屋んぽ中に見失わない」「電気コードをかじられない」「運動不足が解消できる」といった点が挙げられることがあります。たしかにこれらは飼い主にとっては便利に感じられるかもしれませんが、ハムスターの視点で考えると疑問が残ります。
見失わないというのは飼い主の都合であり、ハムスターにとってはボールに閉じ込められることで得られるメリットではありません。電気コードをかじられない点についても、部屋の環境を整えれば解決できる問題です。運動不足の解消についても、ストレスを与えながら無理やり走らせることが本当に健康的かどうかは疑問です。
飼い主の手間を省くためにハムスターにリスクを負わせるという構図になっていないか、一度立ち止まって考えてみてください。
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ハムスターボールの代わりになる安全な運動方法

ハムスターボールを使わなくても、ハムスターに十分な運動をさせてあげる方法はあります。むしろ、以下の方法のほうがハムスターにとって安全で快適です。
回し車(ホイール)が最も安全
ハムスターの運動に最適なのは、ケージに設置する回し車です。回し車なら、ハムスターは自分の好きなタイミングで走り始め、疲れたらいつでも止まることができます。ボールとは違い、強制的に動かされることがないため、ストレスもかかりません。
回し車を選ぶ際は、ハムスターの体に合ったサイズを選ぶことが大切です。ゴールデンハムスターなら直径25cm、ジャンガリアンなどのドワーフ系なら直径17cmあると余裕があるでしょう。小さすぎると背中が反り返って腰や背骨に負担がかかり、長期的な痛みにつながるおそれがあるため、迷ったら大きめを選ぶようにしましょう。また、走行面はスリットやバーではなく、足が挟まりにくいソリッド(平面)タイプが望ましいとされています。夜間でも音が気にならないサイレントタイプを選ぶとより安心です。
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サークルを使った部屋んぽ
ケージの外で運動させたい場合は、サークルを使った部屋んぽがおすすめです。高さのある金網パネルを複数枚つなげて囲いを作り、その中でハムスターを自由に歩かせる方法です。
サークルの中なら、ハムスターは自分の足で床を踏みしめ、ヒゲで周囲の状況を確認しながら歩くことができます。方向感覚を失うこともなく、自然な形で探索本能を満たしてあげられます。飼い主さんも一緒にサークルの中で触れ合うことができ、信頼関係を深めるきっかけにもなるでしょう。
サークルなしで部屋を自由に散歩させる方法もありますが、この場合は脱走や誤飲のリスクがあるため、電気コードを隠す、小さなものを床に置かない、家具の隙間を塞ぐなどの対策を徹底してください。どちらの方法でも、部屋んぽ中はハムスターから目を離さないことが鉄則です。
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まとめ
ハムスターボールは一見便利で楽しそうに見えますが、衝突事故、足の挟まり、感覚の制限によるストレス、換気不足など、多くの危険を抱えたアイテムです。RSPCAなどの動物福祉団体も使用を推奨しておらず、基本的には使わないほうがいいと考えてください。
ハムスターの運動不足を解消したいなら、回し車を設置するのが最も安全で効果的です。ケージの外に出してあげたいなら、サークルを使った部屋んぽがおすすめです。どちらもハムスターボールより安全で、ハムスター自身が自分のペースで動けるというメリットがあります。
大切なのは、飼い主の都合ではなく、ハムスターにとって何が安全で快適かという視点で考えることです。かわいいハムスターと長く健康に暮らしていくために、リスクのあるアイテムは避け、安全な方法で運動させてあげてくださいね。
出典:RSCPA hamster balls