モルモットのあくびは安心の証?それとも危険サイン?正しい見分け方を解説
モルモットがふいに大きく口を開けてあくびをする姿を見たことはありますか。ぽってりとした丸い体でぐーっと口を開ける瞬間は、なんとも言えずかわいいものです。ただ、その一方で「これって威嚇しているの?」「体調が悪いのかな?」と心配になる飼い主さんも少なくありません。
結論から言えば、モルモットのあくびは多くの場合リラックスや眠気のサインであり、過度に心配する必要はありません。ただし、状況によってはストレスや威嚇、まれに体調不良の兆候である可能性もあるため、前後の行動やしぐさをセットで観察することが大切です。
この記事では、モルモットがあくびをする具体的な理由から、場面ごとの見分け方、注意が必要なケースまで、ひとつずつ丁寧に解説していきます。
モルモットがあくびをする理由

リラックスしているとき
モルモットが飼い主のそばで、あるいはケージの中で穏やかにあくびをしている場合、それは心身ともにくつろいでいる証拠だと考えてよいでしょう。人間と同じように、モルモットもリラックスした状態になると自然にあくびが出ます。
特に、撫でているときに目がトロンとしてきて、そのままあくびをするようであれば、その子はかなりリラックスしている状態です。あくびの後に体をペタッと床につけて、そのまますやすやと眠り始めるようなら、安心しきっている何よりのサインと言えます。
モルモットは本来、草食動物として常に外敵を警戒しながら生きてきた生き物です。そんな警戒心の強い動物が飼い主の前で無防備にあくびをするということは、少なくともその場の環境に落ち着きを感じていると考えてよいでしょう。もちろん、前後の行動とセットで判断する必要はありますが、穏やかな表情であくびをしているなら「安心してくれているんだな」と受け止めてあげてください。
眠いとき・起きたばかりのとき
寝起きにぐーっとあくびをするのは、人間でもモルモットでも同じです。モルモットのあくびを見る機会としてもっとも多いのが、昼寝から目覚めたタイミングや、これから眠りに入ろうとしているタイミングでしょう。
モルモットは厳密には夜行性ではなく、朝夕に活動が増えやすい「薄明薄暮性」の動物です。日中も夜間も短い休息をこまめにはさみながら過ごしており、昼間にうとうとしている姿をよく見かけます。ケージをのぞいたとき、ちょうど起き上がりながらあくびをしている姿を目撃するのは珍しいことではありません。
このタイプのあくびは、体をぐーっと伸ばしながら大きく口を開けることが多く、あくびの後にそのまま体をリラックスさせて横になったり、毛づくろいを始めたりします。体の筋肉を伸ばす動作を伴うことも多く、これは脊椎動物に共通する自然な生理現象です。目を閉じるように細めながらするあくびは、まさに眠気からくるものと判断できるでしょう。
ストレスを感じているとき
リラックスとは反対に、モルモットがストレスや緊張を感じている場面であくびが出ることもあります。ストレス下では、本来その場面と直接関係のない行動が表れることがあり、あくびもその一つとして観察されることがあります。
たとえば、新しい環境に移されたばかりのとき、初めて会うモルモットのそばにいるとき、あるいは苦手な音や振動があるときなどに、あくびが見られることがあります。このタイプのあくびでは、体が硬くなっていたり、耳がピンと立っていたり、周囲をキョロキョロと見回していたりと、リラックス時とは明らかに異なるしぐさを伴っていることが多いです。
慣れていない飼い主に抱っこされているときにも、緊張からあくびが出る子はいます。特にお迎えして間もない時期は、触れ合いの時間をごく短くして、少しずつ慣れてもらうことが大切です。
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飼い主の前であくびをする意味

信頼関係が築けている証拠
先ほども触れたとおり、モルモットは臆病で警戒心の強い動物です。野生下では群れで暮らし、天敵から身を守るために常に周囲に気を配って生きてきました。そうした本能を持つモルモットが、飼い主のそばで無防備にあくびをするというのは、その場に安心感を覚えている可能性が高いと言えます。
あくびをしている最中は、口を大きく開けて一瞬だけ視界が遮られ、体の力も抜けます。つまり、外敵から身を守れない無防備な状態になるわけです。穏やかな表情でそれを飼い主の前でできるということは、「ここは安全だ」と感じているサインである可能性が高いでしょう。
お迎えしたばかりのモルモットがなかなかあくびを見せてくれないのも当然のことです。日々のお世話や適度なスキンシップを通じて信頼関係が育まれていけば、次第にあくびをはじめとするリラックスした姿を見せてくれるようになります。
撫でているときのあくびは「気持ちいい」のサイン
膝の上やケージの中で撫でてあげているとき、モルモットが目を細めてあくびをしたら、それはとても気持ちよく感じていると考えてよいでしょう。特にモルモットには触られると喜ぶ場所があり、おでこから鼻筋にかけてのライン、耳の後ろ、あごの下あたりは多くの子が好むポイントです。
撫でているうちに体の力が抜け、目がトロンとしてきて、そのままうとうとしながらあくびをする。この一連の流れが見られたら、あなたのモルモットとの関係はかなり良好です。逆に、撫でているときに体がこわばったり、頭をグイッと押しのけるようなしぐさが見られたりする場合は、触り方や場所を変えてみるとよいかもしれません。
ただし、抱っこしているときのあくびについては少し注意が必要です。抱っこが苦手な子の場合、緊張やストレスからあくびが出ている可能性もあります。抱っこ中にそわそわしたり、体が硬直していたりする場合は、無理をせず下ろしてあげましょう。
あくびの回数が多いときに考えたいこと

頻繁すぎるあくびは環境の見直しを
1日に数回あくびをするのはごく普通のことですが、明らかに頻度が高い場合は、何らかのストレス要因が隠れている可能性を考えてみてください。
モルモットがストレスを感じる原因はさまざまですが、代表的なものとしては、ケージの設置場所が騒がしい、温度や湿度が適切でない、十分な隠れ場所がない、ケージが狭すぎる、食事内容が急に変わった、などが挙げられます。
モルモットの飼育環境としては、室温20〜22℃前後が理想的で、26℃を超えると熱中症のリスクが高まります。湿度は40〜70%程度を目安にするとよいでしょう。直射日光が当たる場所やエアコンの風が直接当たる場所は避け、静かで落ち着いた環境を整えてあげましょう。また、隠れ家(ハウスやトンネルなど)を設置してあげることで、モルモットは安心感を得やすくなります。草食動物であるモルモットにとって、身を隠せる場所があるかどうかは精神的な安定に直結するポイントです。
口腔内のトラブルが原因になっていることも
あくびの回数が目立って増えたり、あくびのたびに口をモゴモゴさせていたり、よだれが出ていたりする場合は、口の中に問題が起きている可能性があります。モルモットの歯は一生伸び続ける「常生歯」であり、牧草をしっかり噛むことで適切な長さに保たれています。
しかし、牧草の摂取が不足していたり、遺伝的な要因があったりすると、歯が過度に伸びてしまう「不正咬合」を引き起こすことがあります。不正咬合になると、伸びた歯が頬や舌に刺さって痛みが生じ、よだれが増える、口をくちゃくちゃと動かす、食べにくそうにするといった症状が見られるようになります。こうした口周りの違和感から、頻繁に口を開ける動作が増えるケースもあります。
食欲が落ちている、牧草を食べようとしてすぐにやめてしまう、食べるときに首を傾げるような動作をする、といったサインが見られたら、早めにエキゾチックアニマルに対応した動物病院を受診してください。不正咬合は放置すると食事がまったくとれなくなり、短期間で体調が急激に悪化することがある疾患です。
呼吸器系のトラブルの可能性
まれなケースではありますが、あくびのように見える動作が実は呼吸困難の兆候であることも否定できません。モルモットは呼吸器系のトラブルを起こしやすい動物で、細菌やウイルスの感染により肺炎を発症することがあります。
口を大きく開けて呼吸しているように見える場合や、呼吸のたびに「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と音がする場合、鼻水が出ている場合は、あくびではなく呼吸に問題が起きているかもしれません。特に、口を開けたまま呼吸をしている「開口呼吸」が見られる場合は緊急性が高く、早急な受診が必要です。くしゃみが頻繁に出る、食欲が落ちている、動きが鈍くなっているといった症状が重なるときも、できるだけ早く獣医師の診察を受けてください。
モルモットは草食動物としての本能から、体調が悪くてもギリギリまで隠そうとする傾向があります。明らかに異変が見てわかる状態になったときには、すでにかなり症状が進行していることも珍しくありません。日頃から「いつもの様子」をよく観察しておくことが、早期発見の何よりの鍵になります。
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あくびと一緒に見られるリラックスのサイン

体を伸ばす・横になる
あくびとセットで見られるリラックスサインの代表が、体をぐーっと伸ばす動作です。前足を前に出して体を伸ばしたり、そのまま横向きにゴロンと寝転がったりする子もいます。犬の「伸び」に似た動作で、目を細めながら行っている場合はまさに至福のひとときです。
この「伸び」は筋肉の緊張をリセットするための生理的な動作です。あくびと同時に体を伸ばしている場合は、ストレスのないリラックスした状態と判断してまず間違いありません。
目を閉じる・半目になる
モルモットは基本的に目を開けたまま寝ることが多い動物ですが、とても安心している場合には目を閉じたり半目になったりします。あくびの直後に目を細めてうとうとしているようであれば、最高にリラックスしている状態と言えるでしょう。
飼い主に撫でられながら目を閉じてあくびをするモルモットは、その人のそばでとてもリラックスできていると考えてよいでしょう。この姿を見られるようになるまでには、日々のお世話を通じた地道な関係づくりが欠かせません。焦らず、モルモットのペースに合わせて付き合っていくことが大切です。
小さな声で「クックッ」と鳴く
リラックスしているモルモットが出す鳴き声として特徴的なのが、小さく「クックックッ」と鳴く声です。これはご機嫌なときや心地よいときに出る声で、部屋んぽ(ケージの外で自由に歩き回ること)をしているときや、飼い主に撫でられているときによく聞かれます。
あくびをしてから、この「クックッ」という声とともに動き回っているようであれば、そのモルモットは今まさに幸せな気分なのだと理解してあげてください。一方で、低い声で「グルグル」「グルル」と鳴いている場合は警戒のサインなので、混同しないように気をつけましょう。
モルモットにリラックスしてもらうための環境づくり

隠れ家を用意する
モルモットが安心してあくびができるような環境を整えるうえで、もっとも基本的なのが隠れ家の設置です。木製のハウス、布製のトンネル、段ボールのシェルターなど、素材はさまざまですが、モルモットが中にすっぽり入れるサイズのものを最低1つは用意してあげましょう。多頭飼いの場合は、頭数分の隠れ家があると安心です。
隠れ家があることで、モルモットは外敵(実際にはいなくても本能的に警戒してしまう対象)から身を守れるという安心感を得ます。安心感があるからこそリラックスでき、リラックスしているからこそ自然なあくびが出る。この循環をつくってあげることが、モルモットの心身の健康にもつながります。
適切な食事と牧草の常備
モルモットの健康を支える食事の基本は、チモシーなどの牧草を常に食べられる状態にしておくことです。牧草は消化器官を正常に動かすための繊維質を供給するだけでなく、歯の過成長を防ぐ役割も果たしています。先ほど触れた不正咬合の予防にもつながるため、牧草は「あるだけ」でなく「常にたっぷり」を心がけましょう。
加えて、モルモットは体内でビタミンCを合成できない動物です。ビタミンC不足は食欲不振や毛並みの悪化を招き、体調全体に影響を及ぼします。ビタミンCが配合されたペレットや、パプリカ・ブロッコリーなどのビタミンCを多く含む野菜を毎日の食事に取り入れてあげてください。体のコンディションが良いことは、精神的な安定にもつながります。
静かで安定した環境を保つ
モルモットはストレスに対してデリケートな動物です。急な大きな音、テレビの音量、掃除機の振動、他のペット(犬や猫など)の存在は、すべてモルモットにとってストレス要因になり得ます。
ケージは直射日光が当たらず、エアコンの風が直接当たらない、静かな場所に設置するのが理想的です。室温は20〜22℃前後を目安にし、26℃を超えないよう管理してあげましょう。特にモルモットは暑さに弱い動物なので、夏場の温度管理には十分な注意が必要です。
こうした環境面の配慮が行き届いていると、モルモットは日常的にリラックスした姿を見せてくれるようになります。あくびをしたり、体を伸ばして寝転がったり、小さな声でクックッと鳴いたり。そんな穏やかなしぐさの数々が増えていくことは、飼い主にとっても大きな喜びになるはずです。
まとめ
モルモットのあくびは、ほとんどの場合リラックスや眠気といったポジティブな感情のあらわれです。飼い主の前であくびを見せてくれるのは、その場に安心感を覚えている可能性が高く、日々のお世話が少しずつ実を結んでいる証と言えるでしょう。
日頃からモルモットの「普段の様子」をよく知っておくことで、小さな変化にいち早く気づくことができます。あくびひとつをとっても、モルモットは私たちに多くのことを伝えてくれています。その小さなサインを丁寧に受け取りながら、穏やかで幸せな暮らしを一緒に築いていきましょう。