モルモットの体を観察していると、「しっぽがない?」と感じる方は少なくありません。結論から言うと、モルモットには尾の痕跡が残っています。ただし外から見える部分はほぼなく、被毛をかき分けてようやく小さな突起として確認できる程度です。犬や猫のように目立つしっぽではないため、存在に気づかないまま飼育を続けているケースも珍しくありません。
本記事では、モルモットのしっぽの構造や短い理由、おしり周りの健康チェックとケア方法、動物病院を受診する目安までまとめて解説します。

モルモットの体を観察していると、「しっぽがない?」と感じる方は少なくありません。結論から言うと、モルモットには尾の痕跡が残っています。ただし外から見える部分はほぼなく、被毛をかき分けてようやく小さな突起として確認できる程度です。犬や猫のように目立つしっぽではないため、存在に気づかないまま飼育を続けているケースも珍しくありません。
本記事では、モルモットのしっぽの構造や短い理由、おしり周りの健康チェックとケア方法、動物病院を受診する目安までまとめて解説します。


モルモットのしっぽは、おしりの中央やや上あたりに位置しています。体の外側に突き出す長さがほぼないため、目視だけでは確認しにくい部位です。被毛をそっとかき分けると、小さな突起のような尾が見つかります。
モルモットの尾は、被毛に隠れた突起程度の大きさです。毛に覆われた状態では、指先で触ってようやく存在がわかるほどしかありません。個体差や被毛量によっては、まったく視認できない場合もあります。初めてモルモットを迎えた日に、おしり周りを拭こうとして「ここに何かある」と気づく飼い主もいるようです。
品種による差はほとんどなく、イングリッシュモルモット(ショートヘア)でもアビシニアンでも、尾の大きさに目立った違いは見られません。長毛種のペルビアンやシェルティでは、長い被毛がおしり全体を覆うため、さらに見つけにくくなります。
外からは見えにくいモルモットのしっぽですが、内部には尾椎(びつい)と呼ばれる小さな骨が存在します。尾椎の数は文献により幅がありますが、犬と比べるとかなり少ない数です。骨の周囲には筋肉や皮膚がついており、わずかながら動かすこともできます。
ただし、モルモットが自分のしっぽを振ったり持ち上げたりする動作は、日常的にはほとんど見られません。尾を大きく動かす必要がない生活をしているためです。しっぽを感情表現に使う犬や、バランス維持に活用する猫とは大きく異なります。


モルモットのしっぽが短い理由は、進化の過程でしっぽを長く保つ必要がなくなったからだと考えられています。祖先の生活環境と体の使い方が、現在の姿に深く関わっています。
モルモットは、南米アンデス地方の岩場や草原に暮らしていた野生のテンジクネズミ類を起源とする動物です。祖先は樹上で生活する動物ではなく、地面の上を移動しながら草を食べる地上性の動物でした。
樹上で暮らすリスやサルは、枝の上でバランスをとるために長いしっぽを必要とします。一方、地上で暮らすテンジクネズミ類にとって、長いしっぽはバランス維持の道具として不要でした。使わない器官は世代を重ねるうちに退化していく傾向があり、モルモットのしっぽもその流れの中で短くなったと考えられています。
長いしっぽには、捕食者につかまれやすいというデメリットもあります。南米の草原にはキツネやタカなどの天敵が多く、テンジクネズミ類は岩の隙間や茂みに素早く逃げ込むことで身を守っていました。体から余計な突起物がなければ、狭い隙間にもスムーズに入り込めます。
しっぽが短いことは、逃走の成功率を高める一因だった可能性があります。生存に有利な形質が世代を超えて受け継がれた結果、現在のモルモットの姿があるわけです。ただし、進化の要因は複合的であり、これだけが理由とは限りません。
モルモットは数千年前からアンデスの人々に家畜として飼育されてきた歴史を持ちます。食用や儀式用として飼われる中で、しっぽの長さが選択的に重視されることはありませんでした。犬ほど強い選択育種は行われにくく、少なくとも尾の長さは重視されなかったため、野生時代の短いしっぽがそのまま引き継がれています。

モルモットは感情表現にしっぽをほとんど使いません。その代わり、鳴き声や体全体の動きで気持ちを伝える動物です。
モルモットは小動物の中でも鳴き声のバリエーションが豊富な動物として知られています。お腹が空いたときや飼い主の足音を聞いたときに発する「プイプイ」という高い声は、多くの飼い主が最初に覚える鳴き声です。この声は要求や喜びを表すことが多く、冷蔵庫を開ける音に反応して鳴き始める個体もいます。
リラックスしているときには、低く喉を鳴らすような「ゴロゴロ」という音を出します。一方、痛みや強い恐怖を感じたときには、甲高い悲鳴のような声を出すことがあります。状況によって音の高さや強さは変わるため、普段の鳴き声を把握しておくと変化に気づきやすくなります。こうした音声の使い分けが、しっぽの代わりにモルモットの気持ちを伝える手段になっています。
嬉しいときにモルモットが見せる特徴的な行動に「ポップコーンジャンプ」があります。その場で体をひねりながらぴょんと跳ねる動きで、特に若い個体に多く見られます。おやつをもらったときや、部屋んぽ(室内での散歩)の開始直後に飛び跳ねる姿は、見ていて思わず笑顔になる光景です。
警戒しているときは体を硬直させ、じっと動かなくなります。これは「フリーズ」と呼ばれる行動で、野生時代に天敵の目をやり過ごすための名残です。また、不満を感じると頭を上に持ち上げて相手を押しのけるような仕草を見せることがあります。
このように、モルモットは鳴き声と全身の動きを組み合わせて豊かなコミュニケーションを行います。しっぽの動きに頼る必要がないほど、他の表現手段が発達している動物です。


モルモットのしっぽは小さいながらも、周辺の状態を観察することで健康上の異変に早く気づけるポイントになります。日々のお世話の中で、おしり周りを定期的に確認する習慣をつけましょう。
しっぽの付け根からおしりにかけては、排泄物で汚れやすいエリアです。特に下痢をしている場合、おしり周りの被毛がベタベタと湿った状態になります。モルモットの下痢は脱水や腸内細菌のバランス崩壊につながりやすいため、下痢が見られたら早めに受診を検討しましょう。食欲の低下、ぐったりしている、血便が出ている、幼齢や高齢の個体である場合は、当日中の受診が望まれます。
長毛種では、排泄物が毛に絡まって固まることがあり、放置すると皮膚がかぶれることも。おしり周りの毛が汚れやすい個体は、定期的に周辺の毛を短くカットすることで清潔を保てます。
しっぽの付け根付近に赤みや腫れが見られる場合、皮膚炎や真菌感染の可能性があります。モルモットは皮膚トラブルを起こしやすい動物で、特に皮膚糸状菌症はよく見られる疾患の一つです。円形の脱毛やフケが目立つ場合は、早期に獣医師の診察を受けましょう。皮膚糸状菌症は人にも感染することがある人獣共通感染症のため、疑わしい場合はモルモットに触れた後の手洗いを徹底し、ケージや用品の消毒も行いましょう。
また、ダニの寄生によるかゆみで体を頻繁にかく行動が見られることもあります。おしり周りを執拗にかいている、毛が薄くなっている、といった変化に気づいたら、自己判断で市販の薬を使うのではなく、動物病院で検査を受けましょう。

モルモットのしっぽは小さいため、ケガや異常が起きても見落としやすい部位です。日頃からおしり周りを観察しておくと、変化に気づきやすくなります。
モルモットのしっぽがケガをするケースは多くありませんが、ゼロではありません。ケージの金網に足や皮膚を挟む、扉に体を挟む、同居している個体に噛まれる、といった状況でおしり周辺に傷ができることがあります。多頭飼育の場合、相性が悪い個体同士がケンカをしておしり付近を噛むケースも報告されています。
出血や腫れを見つけた場合は、傷口を清潔に保ち、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。モルモットは体が小さいぶん、小さな傷でも感染症に発展するリスクがあります。
モルモットを診察できる動物病院は、犬猫専門の病院に比べると数が限られます。体調を崩してから病院を探すと、対応が遅れてしまう場合があります。モルモットを迎える前の段階で、エキゾチックアニマル対応の動物病院を2〜3か所リストアップしておくと安心です。日本獣医師会のウェブサイトや、各地域の動物病院検索サービスで「小動物」「エキゾチック」などのキーワードで絞り込むと見つけやすくなります。
モルモットには短い尾椎が残っており、被毛に隠れた突起程度の尾が存在します。地上で暮らす生活スタイルの中でしっぽを使う場面がなかったため、進化の過程で退化し、現在の姿になりました。感情表現にはしっぽではなく、豊富な鳴き声や体全体の動きを活用しています。
目立たない存在だからこそ見落としがちなモルモットのしっぽですが、その構造や役割を知ることは、モルモットという動物への理解を一歩深めてくれます。日々のお世話の中で、おしり周りにもそっと目を向ける習慣を取り入れてみてください。

