モルモットはネズミの仲間?違いや分類をわかりやすく解説
「モルモットってネズミの仲間なの?」という疑問を持つ方は少なくありません。結論からお伝えすると、モルモットは分類学でいう「ネズミ科」には属していません。ただし、両者は「げっ歯類」という大きなグループに属しているため、広い意味では親戚のような関係にあります。
モルモットを飼おうと考えている方や、すでに一緒に暮らしている方にとって、この違いを正しく理解しておくことは、適切なケアを行ううえでとても役立ちます。この記事では、モルモットとネズミの違いについて、分類学的な観点から日常的な特徴まで、詳しく解説していきます。
モルモットの分類学的な位置づけ

モルモットは、げっ歯目テンジクネズミ科テンジクネズミ属に分類される動物です。学名は「Cavia porcellus」といい、和名では「テンジクネズミ」と呼ばれることもあります。「テンジクネズミ」という名前に「ネズミ」が入っているため混乱しやすいのですが、これは見た目がネズミに似ていることから付けられた名前であり、分類上のネズミ科とは別のグループに属する動物です。
モルモットの原産地は南米のアンデス山脈周辺で、古くから現地の人々に家畜として飼育されてきた歴史があります。16世紀にヨーロッパに持ち込まれて以降、世界中でペットとして親しまれるようになりました。日本には1843年(天保14年)にオランダ人によって長崎へ持ち込まれたとされており、江戸時代末期から日本人に親しまれてきたペットでもあるのです。
「ネズミ」という言葉の定義
分類学でいう「ネズミ科(Muridae)」に属する動物としては、ハツカネズミやドブネズミ、クマネズミなどが代表的です。ペットとして人気のあるファンシーラットやマウスも、このネズミ科に含まれます。
げっ歯類という大きなグループの中には、ネズミ科のほかにも、リス科、ビーバー科、ヤマアラシ科など、さまざまな科が存在します。モルモットが属するテンジクネズミ科は、ネズミ科とは別の進化の道をたどってきたグループなのです。つまり、モルモットとネズミは、人間とサルが霊長類という共通のグループに属しながらも異なる動物であるのと同様の関係といえます。
モルモットとネズミの違い

モルモットとネズミは、分類上の違いだけでなく、見た目や性格、生態においても多くの違いがあります。ここでは、具体的な違いについて詳しく見ていきましょう。
体の大きさと外見の違い
体の大きさはモルモットとネズミの最もわかりやすい違いのひとつです。成体のモルモットは体長20〜30cm程度、体重は700g〜1.2kg程度になります。一方、一般的なハツカネズミの体長は6〜10cm程度、体重は20〜40g程度です。モルモットはネズミの10倍以上の体重があることになります。
外見上の大きな違いとして、尻尾の有無が挙げられます。ネズミには体長と同じくらいの長い尻尾がありますが、モルモットには目に見える尻尾がほとんどありません。また、モルモットの耳は丸みを帯びた形をしているのに対し、ネズミの耳は薄くて大きいという特徴があります。
モルモットの体型は全体的にずんぐりとしており、脚は短めです。毛色や毛質のバリエーションも豊富で、短毛種から長毛種、巻き毛を持つ品種まで、さまざまな種類が存在します。イングリッシュ、アビシニアン、ペルビアン、シェルティ、テディなど、品種によって見た目が大きく異なるのもモルモットの魅力のひとつです。
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性格や行動パターンの違い
性格面でも、モルモットとネズミには顕著な違いがあります。モルモットは一般的に穏やかで臆病な性格をしており、急な動きや大きな音に敏感に反応します。慣れるまでに時間がかかることもありますが、一度信頼関係を築くと飼い主に甘えてくる個体も多く見られます。
モルモットは社会性が高い動物で、野生では群れで生活しています。そのため、仲間とのコミュニケーションを大切にする習性があり、「プイプイ」「キューキュー」といった多彩な鳴き声を使って感情を表現します。飼い主がエサを持っていることに気づくと、大きな声で鳴いてアピールする姿はモルモット飼いならではの日常的な光景です。
一方、ネズミ(特にペットとして飼育されるファンシーラットやマウス)は、好奇心が旺盛で活動的な傾向があります。狭い場所に入り込んだり、高いところに登ったりすることを好み、モルモットに比べて機敏に動き回ります。
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食性の違い
食性においても、モルモットとネズミには決定的な違いがあります。モルモットは完全な草食動物で、牧草(チモシーなど)を主食とし、野菜や果物、ペレットを副食として摂取します。特にビタミンCを体内で合成できないという特徴があり、これは哺乳類の中でもモルモットや人間など限られた種にしか見られない性質です。そのため、食事からビタミンCを摂取する必要があります。
また、モルモットの消化器官は繊維質の多い食べ物を消化するために発達しており、常に牧草を食べ続けることで腸内環境を整えています。牧草の繊維は歯の伸びすぎを防ぐ役割も果たしており、モルモットの健康維持には欠かせない存在です。
これに対して、ネズミは雑食性で、穀物や種子だけでなく、昆虫やその他のタンパク源も食べることができます。野生のネズミは環境に応じてさまざまなものを食べる適応力を持っており、この食性の違いは、両者の消化器官の構造にも反映されています。
寿命の違い
寿命の違いもモルモットとネズミを区別する大きな要素です。モルモットの平均寿命は4〜7年程度で、適切な飼育環境と栄養管理を行えば8年以上生きる個体もいます。小動物の中では比較的長寿な部類に入ります。
一方、ハツカネズミやファンシーラットの平均寿命は1.5〜3年程度と、モルモットに比べてかなり短くなっています。この寿命の違いは、ペットとして迎える際の心構えにも影響するポイントでしょう。モルモットを飼う場合は、5年以上にわたってお世話を続ける覚悟が必要になります。
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モルモットがネズミと混同されやすい理由

モルモットとネズミが別の動物であることは理解できても、なぜこれほど混同されやすいのか疑問に思う方もいるかもしれません。ここでは、その理由について考えてみましょう。
げっ歯類という共通点
モルモットとネズミが混同されやすい最大の理由は、どちらもげっ歯類に属しているという点です。げっ歯類の特徴として、一生伸び続ける門歯(前歯)を持っていることが挙げられます。この門歯で硬いものをかじることで歯の長さを調節しており、「げっ歯」という名前もこの特徴に由来しています。
モルモットもネズミも、この特徴的な前歯を持っており、何かをかじる姿は確かによく似ています。また、小さな黒い目や、柔らかい毛に覆われた体など、外見上の共通点も少なくありません。
見た目の類似性
日本語名の「テンジクネズミ」に「ネズミ」が含まれていることも、混同を招く一因となっています。この名前は、外見がネズミに似ていることから付けられたもので、分類学的な意味を持つものではありません。しかし、名前に「ネズミ」と入っていれば、ネズミの一種だと考えてしまうのも無理はないでしょう。
また、ペットショップでは小動物コーナーにまとめて展示されていることが多く、ハムスターやマウスと同じエリアに並んでいることも、混同を招きやすい環境といえます。実際には必要なケアや飼育環境が大きく異なるにもかかわらず、似たような動物として認識されてしまいがちです。
モルモットを飼う上で知っておきたいこと

モルモットがネズミとは異なる動物であることを理解したうえで、ここからはモルモットを飼育する際に押さえておきたいポイントについて解説します。
ネズミとは異なるケアが必要
モルモットを飼育する際には、ネズミ類とは異なるアプローチが必要になります。まず、体が大きいぶん、より広いケージが必要です。最低でも幅60cm以上、できれば80cm以上のケージを用意し、十分な運動スペースを確保してあげましょう。
先述のとおり、モルモットはビタミンCを体内で合成できないため、食事から摂取する必要があります。ビタミンCが含まれたペレットや、パプリカ、ブロッコリーなどの野菜を適切に与えることが健康維持のカギとなります。ビタミンC不足は壊血病の原因となり、毛並みの悪化や食欲低下、歯茎からの出血などの症状を引き起こすことがあります。
また、モルモットは温度変化に敏感で、適温は18〜24度程度といわれています。夏の暑さにも冬の寒さにも弱いため、エアコンなどを活用して一年を通じて快適な環境を維持する必要があります。
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モルモット特有の習性
モルモットには、他の小動物にはあまり見られない独特の習性がいくつかあります。たとえば、うれしいときや興奮したときに、その場で跳ねる「ポップコーンジャンプ」と呼ばれる行動を見せることがあります。これはモルモットの感情表現のひとつで、見ている飼い主を幸せな気持ちにさせてくれます。
また、モルモットは社会性が高い動物であるため、できれば多頭飼いが理想的です。ただし、個体同士の相性もあるため、初めて会わせるときは慎重に様子を見ることが大切です。繁殖を望まない場合は、同性同士のペアや去勢済みの個体を組み合わせるとよいでしょう。単独飼育でも問題はありませんが、その場合は飼い主が積極的にコミュニケーションを取り、寂しさを感じさせないよう心がけることが大切です。毎日のスキンシップや、声をかけながらお世話をすることで、モルモットとの絆を深めることができます。
モルモットは基本的に臆病な性格をしていますが、安心できる環境で時間をかけて接していけば、飼い主の声や足音を覚えて反応してくれるようになります。帰宅したときに鳴き声で出迎えてくれる姿は、モルモットと暮らす醍醐味のひとつといえるでしょう。
まとめ
モルモットはネズミの仲間なのかという疑問について、分類学的な観点から具体的な違いまで詳しく解説してきました。モルモットとネズミは、どちらもげっ歯類に属していますが、モルモットはネズミ科(Muridae)ではなくテンジクネズミ科(Caviidae)に属する別の動物です。
体の大きさや尻尾の有無、食性、寿命など、両者には多くの違いがあります。特に、モルモットが完全な草食動物であること、ビタミンCを体内で合成できないことは、飼育するうえで必ず知っておくべきポイントです。
モルモットは穏やかで社会性が高く、飼い主に対して豊かな感情表現を見せてくれる魅力的な動物です。ネズミとの違いを正しく理解し、モルモットに適したケアを行うことで、より長く健康に一緒に暮らすことができます。この記事が、モルモットへの理解を深めるきっかけになれば幸いです。