ペットとして人気が高まっているデグーですが、野生ではどのような場所に住み、どんな暮らしを送っているのでしょうか。結論からお伝えすると、野生のデグーは南米チリのアンデス山脈に生息しており、乾燥した厳しい環境のなかで群れを作って暮らしています。
この記事では、野生のデグーの生息地や食べ物、天敵から身を守る術、そして「アンデスの歌うネズミ」と呼ばれる理由まで、詳しくご紹介していきます。

ペットとして人気が高まっているデグーですが、野生ではどのような場所に住み、どんな暮らしを送っているのでしょうか。結論からお伝えすると、野生のデグーは南米チリのアンデス山脈に生息しており、乾燥した厳しい環境のなかで群れを作って暮らしています。
この記事では、野生のデグーの生息地や食べ物、天敵から身を守る術、そして「アンデスの歌うネズミ」と呼ばれる理由まで、詳しくご紹介していきます。


デグーの故郷は、南米チリにあるアンデス山脈の西側斜面です。アンデス山脈というと、標高数千メートル級の険しい山々を思い浮かべるかもしれませんが、デグーが暮らしているのは標高およそ1,200メートル付近の高原地帯になります。日本でいえば、富士山の2合目くらいの高さをイメージするとわかりやすいでしょう。
この地域は草地や低木、茂み、岩場が点在する半乾燥地帯で、デグーたちは険しい山肌や岩場に巣穴を掘って生活しています。チリの首都サンティアゴにも近い場所で、人里からそれほど離れていない環境に生息しているのも特徴です。
アンデスの気候は、デグーにとって決して楽な環境ではありません。夏には気温が30℃後半に達することもあり、冬には0℃付近まで下がるという、寒暖差の激しい厳しい気候です。ちなみに南半球に位置するチリは日本と季節が逆で、10月から4月が夏、5月から9月が冬にあたります。
ただし、気温が高くても湿度は低いのがこの地域の特徴です。カラッとした乾燥した空気のなかで暮らしているため、デグーは高温多湿が苦手な体質になっています。日本の夏のようなジメジメした蒸し暑さは、野生のデグーが経験したことのない環境なのです。


野生のデグーは、地下に巣穴を掘って集団で生活しています。巣穴は地表から15〜60センチほどの深さに掘られており、長さは約2メートル、直径は8〜10センチほどのトンネル状になっています。
巣穴のなかには寝床だけでなく、子育て用の部屋や食べ物の貯蔵庫など、複数の部屋が設けられています。まるで人間の家のように機能的な構造になっているのは驚きです。さらに、巣穴の出入り口は複数あり、天敵から逃れるときにすぐに避難できるようになっています。出入り口には小枝や草を置いてカモフラージュすることもあるそうで、デグーの賢さがうかがえるエピソードです。
デグーの群れは通常、1〜2匹のオスと2〜5匹のメス、そしてその子どもたちで構成されており、5〜15匹程度の規模で暮らしています。なかには100匹を超える大きな群れが観察されたこともあるそうです。群れの仲間同士は協力して生活しており、冬には体を寄せ合って寒さをしのいだり、メス同士が一緒に子育てをしたりする姿が観察されています。
デグーは完全な草食動物です。野生では主に草や葉っぱ、樹皮、種子などを食べて暮らしています。アンデスの乾燥した環境では植物が豊富に生えているわけではないため、限られた食料を効率よく摂取する必要があります。
具体的には、ロゼットビオラと呼ばれるアンデス特有のスミレの仲間や、エリシオケ属のサボテン、チリマツ(チリ―パイン)の樹皮や葉などを食べていると考えられています。サボテンの果肉も食べるというのは、乾燥地帯ならではの食性です。山脈や岩肌には川や湖が少ないため、草についた雨水や朝露を舐めて水分を補給することもあります。
野生のデグーは食料が乏しい環境で生きているため、実はかなりの粗食です。ペットとして飼われているデグーに甘いものや脂肪分の多いものを与えすぎると糖尿病になりやすいのは、もともと糖質の少ない食事に適応した体のつくりになっているからです。
小さなデグーにとって、野生の世界は危険がいっぱいです。主な天敵はワシやフクロウ、ミミズクなどの猛禽類と、キツネなどの肉食獣です。特に空から襲いかかってくる猛禽類は大きな脅威で、デグーたちは常に上空を警戒しながら生活しています。
そのため、デグーには天敵から身を守るためのいくつかの特徴が備わっています。
まず、デグーの尻尾は切れやすい構造になっています。これは、天敵に捕まったときに尻尾だけを残して逃げられるようにするためです。トカゲのしっぽ切りと同じ原理ですね。一度切れた尻尾は再生しないので、飼育下でも尻尾を引っ張ったりつかんだりしないよう注意が必要です。
また、デグーは上からつかまれることを本能的に極度に嫌がります。これは猛禽類に上空から「わしづかみ」にされて捕食される経験が、本能として刻み込まれているためです。飼育下のデグーが上から手を出されると暴れたり、噛みついたりすることがあるのは、この野生での経験に由来しています。
群れで暮らすことも、天敵対策のひとつです。仲間がたくさんいれば、誰かが天敵を発見したときにすぐに警戒の鳴き声を上げて知らせることができます。デグーは15〜20種類もの多彩な鳴き声を使い分けており、危険を仲間に伝えるための専用の鳴き声も持っています。
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デグーは「アンデスの歌うネズミ」という愛称で呼ばれることがあります。これは、デグーが持つ豊かな声のバリエーションに由来しています。
先ほども触れたように、デグーは15〜20種類以上の鳴き声を使い分けてコミュニケーションをとります。嬉しいとき、警戒しているとき、甘えたいとき、不満があるときなど、状況に応じて異なる鳴き声を発するのです。「チッチッ」「ピロピロ」「キーッ」「プキュプキュ」など、まるで歌を歌っているかのような多彩な音を出すことから、この愛称がつきました。
しかも、デグーは仲間から鳴き方を学ぶことが知られています。つまり、鳴き声は単なる本能的な反応ではなく、学習によって身につける「言語」のような側面を持っているのです。この特性から、デグーは言語学や脳の認知機能の研究にも使われています。1960年代中頃に研究目的で日本に持ち込まれたのも、こうした高い知能と社会性に注目されたからでした。
飼育下でも、デグーの鳴き声をよく聞いていると、喜怒哀楽がわかるようになってきます。「今は嬉しそうだな」「何か不満があるのかな」といった気持ちの変化を読み取れるようになると、デグーとの暮らしがより楽しくなるはずです。

野生での天敵の話で触れましたが、デグーは上から手を出されることを本能的に怖がります。これを知らずに上からつかもうとすると、デグーにとっては「天敵に襲われる」のと同じ恐怖体験になってしまいます。
デグーと触れ合うときは、下からすくい上げるように抱っこするのが基本です。また、手を近づけるときも上からではなく、横から見えるようにゆっくり近づけましょう。この小さな配慮が、デグーとの信頼関係を築くうえで大きな違いを生みます。
野生のデグーは群れで暮らす動物です。この社会性の高さは、飼育下でも変わりません。
1匹で飼育する場合、飼い主さんが「群れの仲間」の役割を果たす必要があります。毎日話しかけたり、一緒に遊んだり、こまめにコミュニケーションをとることで、デグーの孤独感を和らげることができます。逆に、あまり構ってもらえないとストレスを感じて体調を崩すこともあるので、スキンシップの時間を大切にしてください。
複数匹での飼育はデグーの本来の暮らし方に近いですが、相性の問題もあるため慎重に検討する必要があります。いずれにしても、「デグーは寂しがりやな動物」ということを心に留めておくとよいでしょう。
野生のデグーは、夏は暑く冬は寒いアンデスの気候に適応していますが、高温多湿には慣れていません。日本の夏のような蒸し暑さは、野生では経験したことのない過酷な環境です。
飼育下での適温は20〜25℃程度、湿度は40〜60%程度が理想とされています。特に夏場は25℃を超えないようにエアコンで温度管理をすることが大切です。カラッとした乾燥した環境を好むことを覚えておきましょう。
一方で、野生では冬に0℃近くまで気温が下がる環境で暮らしているため、ある程度の寒さには耐性があります。ただし、急激な温度変化は体に負担をかけるので、季節の変わり目には注意してください。
野生のデグーは、チリ・アンデス山脈の標高約1,200メートル付近に生息し、乾燥した厳しい環境のなかで群れを作って暮らしています。地下に巣穴を掘り、寝床や子育て部屋、貯蔵庫などを備えた機能的な住まいで、仲間と協力しながら生活しているのです。
野生での食べ物は草や樹皮、種子、サボテンなど。猛禽類や肉食獣といった天敵から身を守るために、尻尾が切れやすい構造になっていたり、上からつかまれることを極度に嫌がったりする習性が身についています。また、「アンデスの歌うネズミ」と呼ばれるほど多彩な鳴き声を持ち、高い社会性とコミュニケーション能力を備えています。
こうした野生での暮らしを知ることは、飼育環境を整えるうえでの大きなヒントになります。上からつかまない、社会性の高さを理解してたくさんコミュニケーションをとる、高温多湿を避けて乾燥した環境を心がける——これらはすべて、野生のデグーの生態から学べることです。デグーという動物の背景を理解して、より良い暮らしを一緒に作っていけたらいいですね。



