うさぎの換毛期はいつ?抜け毛の量と飼い主がやるべきケアを解説
うさぎを飼い始めて最初の春や秋を迎えたとき、ケージの中や部屋のすみに驚くほどの毛が溜まっていて戸惑った経験を持つ飼い主は少なくありません。うさぎの換毛期は春と秋を中心に訪れ、特に大きく毛が生え替わる時期には日常のケアが欠かせなくなります。
室内飼育の場合はエアコンや照明の影響で換毛の回数や時期が変動し、年に2回で済む個体もいれば、断続的に数回にわたって毛が抜ける個体もいます。換毛期のケアが不足すると、飲み込んだ毛が消化管トラブルの一因になることもあります。
この記事では、換毛期が起こる仕組みや具体的な時期、飼い主が実践できるケアの方法、そして気をつけたい体調の変化まで、順を追って解説します。
うさぎの換毛期とは?

換毛期とは、古い被毛が抜け落ちて新しい毛に生え替わる期間のことです。うさぎは野生下では屋外の気温変化に対応するために被毛の厚さを調整しており、この生理現象がペットとして室内で暮らすうさぎにも受け継がれています。
うさぎの被毛は、外側を覆う硬めの「ガードヘア(刺毛)」と、その下に密集する柔らかい「アンダーコート(下毛)」の二層構造になっています。換毛期にはおもにアンダーコートが大量に抜け替わるため、見た目以上に抜け毛の量が多くなります。手で軽く体を撫でただけで、ふわふわとした綿のような毛の塊が指に絡みつくほどです。
毛の生え替わりを促すきっかけは、日照時間の変化と気温の変化の2つです。日が長くなり始めると冬用の厚い被毛を脱ぎ、日が短くなり始めると夏用の薄い被毛から冬用の密度の高い被毛へと移行します。室内飼育のうさぎはエアコンや照明の影響で季節のシグナルが曖昧になりやすく、換毛のタイミングがずれたり、だらだらと長引いたりするケースも見られます。
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うさぎの換毛期は春と秋が中心

うさぎの換毛がもっとも目立つのは春(3〜5月頃)と秋(9〜11月頃)で、この時期は抜け毛の量が多い「大換毛」にあたります。それ以外の時期にも部分的・断続的に毛が抜けることがあり、室内飼育では季節感が薄れるため、換毛の波が複数回に分散する個体も少なくありません。品種や年齢、飼育環境によって時期や期間は前後するため、「毎年この時期に必ずこう抜ける」と決まっているわけではない点を覚えておいてください。
春の大換毛:冬毛から夏毛へ
春の換毛は、1年のなかでもっとも抜け毛が多い時期です。冬の間に蓄えた密度の高いアンダーコートが一斉に抜けるため、体をひと撫でしただけで手のひらいっぱいの毛が取れることもあります。期間の目安は2〜3週間程度ですが、個体によっては1か月以上続くこともあります。ネザーランドドワーフのような短毛種でも驚くほどの量が抜け、ホーランドロップやアメリカンファジーロップなど毛量の多い品種ではさらに顕著です。
春の換毛中は、体の部位によって毛が抜けるタイミングが異なるため、顔周りだけ先に夏毛に替わって色味が変わり、お尻のあたりはまだ冬毛のまま、というまだら模様のような見た目になることがあります。見慣れない姿に不安を感じるかもしれませんが、部位ごとに順番に生え替わるのはうさぎの換毛では自然な現象です。
秋の大換毛:夏毛から冬毛へ
秋の換毛は、薄い夏毛を脱いで保温性の高い冬毛を準備する時期にあたります。春ほどの抜け毛量にはならないことが多いものの、新しく生えてくる冬毛は密度が高いため、換毛が進むにつれて体のボリュームが増して見えるのが特徴です。触り心地もふかふかと変わり、冬に向けた体の準備が進んでいることを実感できます。
秋の換毛では、室内の暖房を早い時期から使い始めると、体が「まだ冬ではない」と判断して換毛が遅れることがあります。急激な温度変化を避けつつも、朝晩の自然な気温差をある程度感じられる環境のほうが、換毛のサイクルが整いやすいとされています。
春秋以外の時期の換毛
大換毛の間に挟まる時期にも、部分的に毛が抜けることがあります。抜け毛の量は春秋に比べると少なく、日常のブラッシングで対応できる程度であることが多いため、飼い主が気づかないうちに終わっている場合もあります。ただし、エアコンの効いた室内で過ごしているうさぎは季節感が薄れ、春秋以外の時期にまとまった量の毛が抜けることもあるため、日頃から被毛の状態を観察しておくと安心です。
換毛期に起こりやすいトラブルと体調の変化

換毛期は抜け毛が増え、体調の変化が起きやすい時期です。代表的なリスクとして消化管うっ滞・食欲低下・皮膚トラブルの3つが挙げられます。それぞれの仕組みと兆候を知っておくことで、早い段階で異変に気づきやすくなります。
消化管うっ滞
うさぎは毛づくろいで被毛をなめる習性があり、換毛期には抜けかけた毛を飲み込みやすくなります。飲み込んだ毛そのものが直接の原因になるというよりも、食欲低下・脱水・ストレスなどが重なって腸の動きが鈍くなり、結果として毛が胃や腸の中で停滞してしまう「消化管うっ滞」が起こりやすくなります。一般に「毛球症」と呼ばれることもありますが、実際には毛の塊だけが原因ではなく、消化管全体の運動低下が根本にある状態です。うさぎの命に関わる深刻なトラブルであるため、早期の対応が求められます。
兆候としては、フンの量が減る・フンが小さくなる・フンが数珠のように毛でつながって出てくる・食欲が落ちる・お腹を床に押しつけてうずくまる、といった変化が挙げられます。
緊急時に慌てないよう、うさぎの診療に慣れたエキゾチックアニマル対応の病院をあらかじめ調べておくと安心です。
食欲の低下と体重減少
換毛期には被毛の生え替わりに体力を使うため、一時的に食欲が落ちるうさぎがいます。普段完食しているペレットを残す、牧草を食べるペースが遅くなる、といった変化が見られたら、換毛による体力消耗のサインかもしれません。
1〜2日で食欲が戻れば過度に心配する必要はありませんが、食べない状態に加えてフンが減っている・出ていない、元気がない、歯ぎしりをしている、お腹が張っているといった症状が重なる場合は、至急受診してください。毛球症(消化管うっ滞)やほかの疾患が隠れている可能性があります。
皮膚のトラブル
大量に毛が抜けた部分は皮膚が露出しやすくなり、乾燥やかゆみが生じることがあります。うさぎが同じ場所をしきりに掻いていたり、脱毛が一部分だけ極端に進んでいたりする場合は、換毛ではなく皮膚炎やダニなどの寄生虫が原因である可能性もあります。換毛による自然な脱毛は体全体でまんべんなく進むのに対し、病的な脱毛は特定の部位に集中する傾向があるため、毛の抜け方のパターンを観察することが見分けるポイントになります。
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換毛期のブラッシング方法と頻度

換毛期のケアの中心はブラッシングです。大換毛の時期には毎日〜数日に1回を目安に、1回あたり5〜10分程度の短時間で行うと、抜け毛の飲み込みを減らす効果が期待できます。小換毛の時期や換毛期以外は、被毛の状態を見ながら数日に1回程度で十分です。ただし、うさぎの皮膚は薄くデリケートなため、嫌がる様子が強い場合や皮膚が赤くなっている場合は頻度や道具を見直し、必要に応じて獣医師に相談してください。
ブラシの選び方
うさぎのブラッシングに使う道具は、毛質や換毛の段階によって使い分けると効率が上がります。ラバーブラシ(ゴム製のブラシ)は皮膚への刺激が少なく、短毛種のうさぎや換毛初期の浮いた毛を取り除くのに適しています。手にはめて使うグローブタイプのラバーブラシは、撫でる感覚でブラッシングできるため、ブラシを怖がるうさぎにも受け入れられやすい道具です。
換毛が進んでアンダーコートが大量に浮いてきた段階では、スリッカーブラシやコームを使う方法もあります。スリッカーブラシは細いピンが密集した構造で、絡まったアンダーコートをほぐしながら除去できますが、うさぎの皮膚は薄いため注意が必要です。ピン先が丸くなっているタイプを選んだうえで、力を入れず短時間にとどめ、同じ場所を繰り返しこすらないようにします。
皮膚が赤くなったりフケが増えたりした場合はスリッカーの使用を中止し、ラバーブラシやコーム中心に切り替えてください。仕上げにコーム(くし)を通して、取り残した毛や毛玉がないか確認します。
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ブラッシングの手順とコツ
ブラッシングを始める前に、うさぎが落ち着いている状態かどうかを確認します。足ダンをしていたり、体を硬くして逃げようとしていたりする場合は無理に始めず、リラックスしているタイミングを待つほうが、うさぎにもストレスがかかりません。
手順としては、まず手やラバーブラシで全身を軽く撫でて浮いている毛を取り除き、次にスリッカーブラシやコームで背中からお尻にかけて毛の流れに沿って梳かします。お腹や足の内側は皮膚が薄くデリケートなため、無理にブラシを当てず、指先で軽くほぐす程度にとどめます。顔周りも嫌がるうさぎが多い部位ですので、目や耳の付け根に注意しながら、コームでそっと毛を整える程度にします。
ブラッシング中に取れた毛はその場に放置せず、こまめに集めて捨てるようにします。抜けた毛が周囲に散らばっていると、うさぎが再びそれを口にしてしまう可能性があるためです。ブラッシングが終わったあとに小さなおやつ(乾燥パパイヤを1かけら程度)を与えると、「ブラッシングのあとには良いことがある」と学習しやすくなります。
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換毛期の温度・湿度・掃除のポイント

換毛期を快適に乗り越えるためには、室温や湿度の管理と、抜け毛のこまめな掃除が効果的です。
温度と湿度の管理
うさぎは汗腺がほとんどなく、体温調節を耳の血管からの放熱に頼っています。室温の目安は18〜24度前後で、25度を超えないよう注意が必要です。高温多湿の環境は熱中症のリスクを高めます。湿度は40〜60%の範囲が快適とされています。
換毛期の春先や秋口は朝晩の気温差が大きくなりやすい時期であり、急激な温度変化はうさぎの体に負担がかかります。エアコンや暖房器具を使って温度変化を緩和しつつ、窓を開けて自然光を取り入れる時間を1日のなかで設けると、日照時間の変化を感じ取りやすくなり、換毛サイクルが整いやすくなります。
湿度が高すぎると被毛が蒸れて皮膚トラブルの原因になり、低すぎると皮膚が乾燥してフケが出やすくなります。梅雨時期と換毛期が重なる場合は除湿機を活用し、冬場の乾燥する時期には加湿器で湿度を50%前後に保つと、皮膚と被毛のコンディションを維持しやすくなります。
掃除の頻度と方法
換毛期にはケージ内にもケージ周辺にも大量の毛が溜まります。抜け毛を放置するとうさぎが吸い込んだり食べたりするリスクがあるほか、毛にホコリや雑菌が付着してアレルギーや衛生面の問題を引き起こすことがあります。
ケージ内のトレーや床材は1日1回は掃除し、すのこの隙間に詰まった毛も取り除きます。部屋全体の掃除は、フローリングであればフロアワイパーで毛を集めてから掃除機をかけると効率的です。カーペットや布製のソファには毛が絡みつきやすいため、粘着ローラー(コロコロ)を併用すると取り残しを減らせます。空気清浄機を稼働させておくと、空中に舞った細かい毛やホコリの除去にも役立ちます。
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まとめ
うさぎの換毛期は春と秋を中心に訪れ、特に大換毛の時期には目を見張るほどの毛が抜けます。室内飼育では時期がずれたり回数が変動したりすることもあるため、日頃から被毛の状態を観察しておくことが早めの対応につながります。
毎日のブラッシングで抜け毛の飲み込みを減らし、繊維質の多い牧草を十分に食べられる環境を整えることが、消化管うっ滞をはじめとするトラブルの予防につながります。
室温や湿度の管理、こまめな掃除、そしてフンの量や大きさといった日々の観察も、換毛期を安全に乗り越えるための具体的な手段です。換毛はうさぎにとって自然な生理現象ですが、飼い主の手助けがあるかないかで体への負担は変わります。次の換毛期が来る前に、ブラシの準備や牧草のストック確認など、できることから始めてみてください。