「うさぎって冬眠するの?」と疑問に思う方は少なくありません。雪原を駆け回る白いうさぎのイメージや、外飼いのうさぎが穴を掘ってあまり姿を見せなくなることから、冬眠しているのではないかと心配になることもあるでしょう。
結論から言うと、うさぎは冬眠しない動物です。 野生のうさぎであっても、ペットとして飼われているうさぎであっても、冬眠という行動はとりません。冬山でのフィールドワークでもうさぎの足跡や糞が確認されていることから、寒い季節でも活発に活動していることがわかっています。スキー場などでも野うさぎの足跡がよく見られ、天気の良い日には日向ぼっこをしているうさぎに出会えることもあります。
この記事では、うさぎがなぜ冬眠しないのか、そして冬を健康に乗り越えるための具体的な対策について詳しくお伝えしていきます。
野生のうさぎとペットのうさぎ、冬の過ごし方の違い

野生のうさぎは換毛で冬を乗り切る
野生のうさぎは、秋が深まり冬が近づいてくると毛が抜け始め、新たに冬用の被毛が生えてきます。この冬毛のおかげで厳しい寒さに耐えることができ、雪が降っていても餌を探して元気に駆け回ります。積もった雪を掘って埋もれている草や木の皮を食べながら、冬を越すのです。
特に日本の野うさぎの中には、豪雪地帯に生息する種類もいます。こうしたうさぎは秋頃から体毛が徐々に白く変化していき、雪景色に溶け込む保護色となります。これは外敵から身を守るための進化であり、冬でも活発に行動できる証でもあります。
また、ペットうさぎの祖先であるヨーロッパアナウサギは、土の中に巣穴を作って暮らす習性があります。土の中は外気温の変化が緩やかで、冬でも比較的暖かく過ごせる環境です。穴を掘る習性から「冬眠しているのでは?」と勘違いされることもありますが、これは冬眠ではなく、単に暖かい場所で休んでいるだけなのです。
ペットのうさぎは野生ほど寒さに強くない
一方で、室内で飼育されているペットのうさぎは、野生のうさぎほど寒さに強くありません。温度管理された快適な環境で育ったペットうさぎは、厳しい自然の中で生き抜く野うさぎに比べると、気温の変化に敏感で体調を崩しやすい傾向があります。
「うさぎは毛皮があるから寒さには平気」と思われがちですが、これは誤解です。寒さによってストレスを感じたり、低体温になったりすると、胃腸の動きが悪くなって「うっ滞」を起こすことがあります。うっ滞はうさぎにとって命に関わる深刻な症状であり、放置すると急速に体調が悪化してしまいます。
うさぎが寒がっているときのサイン

うさぎは体調不良を隠す傾向がある動物です。飼い主さんが気づいたときには、すでに症状が進行していることも珍しくありません。日頃からうさぎの様子をよく観察し、寒がっているサインを見逃さないようにしましょう。
体を丸めて動かなくなる
うさぎが寒いと感じているときの典型的なサインは、ケージの隅で体を丸め、手足を体の下に入れてじっとしている姿です。これは体温を逃さないようにする防寒姿勢であり、箱座りのように見えて可愛らしいですが、実は寒さを訴えているのかもしれません。
普段は活発に動き回っているのに、あまり動かなくなったり、部屋んぽに出しても遊ばなかったりする場合は、室温が低すぎる可能性を考えましょう。
耳が冷たくなる
うさぎの大きな耳には太い血管が通っており、体温調節の役割を担っています。耳を触ってみていつもより冷たく感じる場合は、体が冷えているサインかもしれません。
ただし、耳が冷たいだけで元気に動き回っているなら、それほど心配する必要はありません。しかし体を丸めて動かない状態に加えて耳が冷たいときは、低体温症の可能性があります。ぐったりしていたり、食欲がなかったり、呼吸がおかしいなどの症状が見られたら、すぐに動物病院を受診してください。
食欲が落ちる、うんちが小さくなる
うさぎは体温が低下すると消化器官の働きが鈍くなり、食べる量や水を飲む量が減ることがあります。食欲不振の状態が続くと、体力が落ちてさらに体調を崩す悪循環に陥ってしまいます。
また、うんちの大きさや量にも注目してください。いつもより小さかったり、数が少なかったりする場合は、胃腸の動きが悪くなっている可能性があります。冬場に食欲やうんちの状態がおかしいと感じたら、まずは室温をチェックしてみましょう。
うさぎの適温は18〜24℃
うさぎにとって快適な室温は18〜24℃程度とされています。特に過ごしやすいのは20〜22℃あたりで、この温度帯を一日を通して大きく変動させないことがポイントです。
うさぎは急激な温度変化に弱く、ストレスを感じて体調を崩すことがあります。秋から冬にかけては、日中は暖かくても朝晩は冷え込むことが多いため、エアコンやヒーターを活用して室温を一定に保つ工夫が必要です。
湿度についても気を配りましょう。うさぎに適した湿度は40〜60%程度です。冬場はエアコンの暖房によって空気が乾燥しがちなので、適度な湿度を維持してあげてください。
子うさぎや高齢うさぎは特に注意
生後1年未満の子うさぎや、7歳を超えた高齢うさぎ、そして病気療養中のうさぎは、自力での体温調節が苦手です。成長期の子うさぎは体温調節機能が未発達であり、高齢うさぎは代謝が落ちて寒さへの対応力が弱まっています。
こうしたうさぎを飼っている場合は、一般的な適温よりも少し高めの22〜24℃程度を目安にするとよいでしょう。室温計をケージのそばに置いて、こまめに温度をチェックする習慣をつけてください。
冬の寒さ対策として具体的にできること

エアコンと加湿器の併用がおすすめ
うさぎの冬の温度管理には、エアコンの暖房を活用するのがもっとも手軽で効果的です。24時間つけっぱなしに抵抗がある方もいるかもしれませんが、温度を一定に保つことでうさぎの体調が安定しやすくなります。
設定温度は22〜24℃程度を目安にしてください。ただし、エアコンの温風が直接ケージに当たらないように配置を工夫しましょう。風が直接当たると体温を奪われてストレスになりますし、逆に暑くなりすぎて体調を崩すこともあります。
暖房を使うと空気が乾燥するため、加湿器を併用することをおすすめします。
ペット用ヒーターを活用する
留守中や就寝中など、エアコンを切りたい場合はペット用ヒーターが便利です。うさぎ用のヒーターには、ケージの中に敷くボードタイプと、ケージの外側から温める遠赤外線タイプがあります。
ボードタイプは、うさぎが自分で乗り降りできるので、暑くなったら離れることができます。コードをかじられないよう保護されている製品を選びましょう。
遠赤外線タイプは、ケージの外に設置するため低温やけどやコードをかじる心配が少なく、安心して使えます。サーモスタット機能がついている製品なら、暑くなりすぎることもありません。
いずれのタイプを使う場合も、ヒーターから離れられる涼しい場所をケージ内に確保しておくことが大切です。逃げ場がない状態で温め続けると、かえって体調を崩してしまいます。
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ケージの保温対策
ケージ周りの工夫でも寒さ対策ができます。毛布や厚手の布でケージを覆うと、すきま風を防いでうさぎ自身の体温でケージ内が暖まります。うさぎはもともと土の中の巣穴で暮らしていたため、覆われた薄暗い空間は安心できる環境でもあります。
ただし、布で覆いっぱなしにすると通気性が悪くなり、湿気がこもってしまいます。日中は開けておき、夜間だけ覆うなど調節してください。また、布をケージ内に引き込んでかじってしまわないよう、うさぎの口が届かない位置に固定しましょう。
ケージ内にわらや木製の巣箱を入れるのも効果的です。狭くて暗い場所に潜り込むのが好きなうさぎにとって、自分の体温で暖を取れる巣箱は冬の必需品といえます。
ケージの置き場所を見直す
窓際にケージを置いていると、日中は日差しで暖かくても、夜間は窓からの冷気で急激に温度が下がってしまいます。また、窓やドアの近くはすきま風が入りやすい場所でもあります。
冬場は部屋の隅や壁際など、温度変化の少ない場所にケージを移動させましょう。ケージを床に直接置いている場合は、段ボールや厚手のマットを敷いて底冷えを防いでください。暖かい空気は上昇するため、床に近い場所は思っている以上に冷えていることがあります。
冬に注意したいうさぎの健康トラブル

うっ滞(消化管うっ滞)
寒さによって胃腸の動きが鈍くなると、「うっ滞」を起こしやすくなります。うっ滞とは消化管の動きが低下して食べ物やガスが溜まってしまう状態で、食欲不振や元気がなくなるといった症状が見られます。放置すると数時間〜数日で命に関わることもあるため、早期発見と早期治療が大切です。
食欲がない、うんちが出ない、お腹が張っている、ぐったりしているなどの症状があれば、すぐに動物病院を受診してください。
低体温症
体が冷えすぎると低体温症に陥ることがあります。低体温症は、体内で作り出す熱よりも外に奪われる熱のほうが多くなった状態です。食欲不振からうっ滞へ発展し、最悪の場合は命を落とすこともあります。
部屋を暖めるだけでは低体温症は改善しないため、湯たんぽやカイロをタオルで包んで体にあてながら、速やかに動物病院へ向かいましょう。
電気コードによる感電
冬場はこたつやヒーター、加湿器など電化製品を使う機会が増え、コンセントのコードが露出しがちです。うさぎは何でもかじる習性があり、電気コードをかじって感電したり、火災につながったりする危険があります。
部屋んぽの際はコードが出ていないか確認し、コードカバーを付けるなどの対策を取りましょう。うさぎが届かない高さにコードを配線したり、部屋んぽ中はコンセントを抜いておいたりするのも有効です。
まとめ
うさぎは冬眠しない動物です。野生のうさぎは換毛によって冬毛を生やし、雪の中でも活発に活動しています。一方、ペットとして飼われているうさぎは、温度管理された環境に慣れているため、野生ほど寒さに強くありません。
体を丸めて動かない、耳が冷たい、食欲がないなどのサインが見られたら、寒がっている可能性があります。寒さが続くとうっ滞や低体温症といった深刻なトラブルにつながることもあるため、日頃から様子をよく観察し、異変があれば早めに動物病院を受診してください。秋から少しずつ冬支度を始めて、うさぎと一緒に暖かく穏やかな冬を過ごしましょう。