ハムスターを手乗りにする方法|なつくまでの手順と期間をわかりやすく解説
ハムスターが手のひらの上でくつろぐ姿は、飼い主にとって何よりの喜びです。正しい手順を踏めば、手に慣れて乗ってくれるようになる個体は少なくありません。ただし、すべての個体が手乗りになるわけではなく、性格によっては手からおやつを受け取る距離感がベストという子もいます。
お迎えした翌日にいきなり手に乗せようとすると、恐怖心を植えつけてしまい逆効果です。手乗りまでの道のりは「環境に慣れる」「飼い主のにおいを覚える」「手の上で安心できる」という3つの段階に分けられます。この記事では、3つの段階を具体的な5つのステップに落とし込み、かかる期間の目安や失敗パターンまでまとめて解説します。
そもそもハムスターは手乗りになる動物なの?

ハムスターは雑食の動物で、主に種子や植物質を食べますが、昆虫などの動物性の食べ物も口にします。野生下では猛禽類やヘビなどに狙われる立場にあるため、上から覆いかぶさるような動きや急に近づく大きな影に強い恐怖を感じます。一方で学習能力が高く、「この手は安全だ」「この手からおいしいものが出てくる」と認識すると、自分から手のひらに乗ってくるようになります。
手乗りになりやすいかどうかは、種類と個体差の両方に左右されます。ゴールデンハムスターは体が大きく、比較的おっとりした性格の個体が多いため、手乗りの練習がしやすい傾向があります。ジャンガリアンハムスターも慣れてくれる個体が多い種類ですが、神経質な面を持つ子もおり、個体差が大きい点には注意が必要です。ロボロフスキーハムスターは動きが素早く臆病な気質の個体が多いため、手乗りまで時間がかかるケースが目立ちます。
ただし、同じ種類でも個体によって性格は異なります。ゴールデンでも警戒心が強い子もいれば、ロボロフスキーでも飼い主の手に自分から乗ってくる子もいます。「この種類だから無理」と決めつけず、目の前のハムスターの反応を見ながら進めることが、手乗り成功への近道です。
ハムスターがなつく方法と期間|初心者でもできる信頼関係の築き方
手乗りにするまでの5つのステップ

ハムスターを手乗りにするには、段階を飛ばさず1つずつ進めていく方法が効果的です。焦って先のステップに進むと、築きかけた信頼がリセットされてしまうことがあります。以下の5段階を順番に実践していきましょう。
ステップ1:お迎え後1週間はそっとしておく
ハムスターを家に迎えた直後は、新しい環境に対する緊張がピークに達しています。この時期にケージの中に手を入れたり抱き上げようとしたりすると、人間の手そのものを「怖いもの」として記憶してしまいます。
最初の1週間は、餌と水の交換だけを静かに行い、それ以外の接触は控えましょう。個体や環境によっては2週間以上かかることもあるため、ハムスターの様子を見ながら期間を調整します。ケージは人の出入りが激しい場所を避け、テレビやスピーカーのすぐ横も避けて設置します。ハムスターがケージの中を探検し始めたり、回し車で走ったりする姿が見られたら、環境に慣れてきたサインです。
この期間にできることが1つあります。ケージのそばで静かに話しかけることです。目安として1日に数回、1回あたり1〜2分ほど穏やかな声で声をかけます。内容は何でも構いません。飼い主の声を「日常の安全な音」として覚えてもらうことが目的です。
ステップ2:手のにおいを覚えてもらう
環境に慣れた様子が見えたら、次は飼い主の手のにおいに慣れてもらう段階です。ケージの入り口からゆっくり手を入れ、ハムスターが逃げない程度の距離に手を置きます。このとき、手を動かさず静止させることがポイントです。
ハムスターは鼻をひくひくさせながら、少しずつ手に近づいてきます。指先のにおいを嗅いで離れる、また近づいてにおいを嗅ぐ、という行動を繰り返すはずです。この段階では、ハムスターが手に触れても指を動かさないようにします。急に指が動くと驚いて逃げてしまい、警戒心が強まります。
1回あたり3〜5分を目安に、1日1〜2回行います。ハムスターが手のにおいを嗅いでも逃げなくなったら、次のステップに進む準備ができています。この段階に2〜3日で進める個体もいれば、1週間以上かかる個体もいます。
ステップ3:手の上でおやつを食べてもらう
手のにおいに慣れたら、おやつを使って「手=良いことが起きる場所」という記憶をつくります。ヒマワリの種やかぼちゃの種を1粒、手のひらの中央に置いてケージの中に手を差し入れましょう。
最初は手のひらからおやつだけを素早く奪い取って離れるかもしれません。それで問題ありません。回数を重ねるうちに手のひらの上に前足を乗せて食べるようになり、やがて体ごと乗って食べるようになります。
種子類は脂肪分が多いため、与える量には注意が必要です。ゴールデンハムスターでヒマワリの種なら1日2〜3粒、ジャンガリアンなどの小型種はさらに少なめの1〜2粒が目安です。おやつの総カロリーが1日の食事量の10%を超えないように意識しましょう。手乗り練習用のおやつは、普段の餌の量から差し引いて計算するとカロリーの摂りすぎを防げます。毎日続けて与えず、練習しない日を挟んで頻度を調整することも体重管理に役立ちます。
ステップ4:手のひらの上に乗せてみる
おやつを食べるために手のひらに乗ってくるようになったら、いよいよ手に乗せる練習です。ハムスターが手のひらに乗った瞬間に、もう片方の手をそっと添えてすくい上げるように持ち上げます。
ここで気をつけたいのが、上からつかむ動作です。ハムスターにとって上からの接近は天敵を連想させるため、必ず下からすくい上げる形で持ち上げます。両手でお椀をつくるイメージで、ハムスターの体を包み込むように支えましょう。
この段階から落下事故を防ぐ対策が欠かせません。練習は床に座った状態で行い、膝の上にタオルやクッションを敷いておきます。持ち上げる高さはごくわずかにとどめ、万が一落ちてもケガをしない環境を整えましょう。最初の数回は手のひらの上で数秒じっとしていたらすぐにケージに戻します。「手に乗っても怖いことは起きない」という経験を短時間で繰り返すことで、手の上にいる時間を少しずつ延ばしていけます。
ステップ5:手の上でくつろげるようになる
手のひらの上で体をこわばらせず、毛づくろいを始めたり、おやつを頬袋に詰め込んだりする姿が見られたら、ハムスターは手の上を安全な場所として認識しています。ここまで来れば「手乗り」の完成です。
この段階に達しても、手の上での滞在時間を一気に延ばす必要はありません。ハムスターが落ち着いている間だけ短時間の触れ合いを繰り返す方が、ストレスをかけずに信頼を深められます。最初は数十秒〜数分から始め、慣れてきたら少しずつ時間を延ばしていきましょう。ハムスターが手から降りたがる素振り(そわそわする、手の端に移動するなど)を見せたら、すぐにケージに戻します。降りたいのに降ろしてもらえない経験が続くと、手に乗ること自体を嫌がるようになる可能性があります。
ハムスターのおやつは何がいい?種類や頻度、注意点をわかりやすく解説
手乗りになるまでの期間の目安

ハムスターが手乗りになるまでにかかる期間は個体差が大きく、以下はあくまで目安です。実際には大幅に前後することがあるため、期間にとらわれず、ハムスターの反応を見ながら進めましょう。
ゴールデンハムスターの場合、お迎えから手乗りまで2〜4週間が平均的な目安です。人懐っこい個体であれば10日ほどで手に乗ってくることもあります。ジャンガリアンハムスターも同程度の期間で慣れる個体が多い傾向ですが、神経質な個体はさらに時間がかかることがあります。
ロボロフスキーハムスターは、手乗りまでに1〜3か月かかるケースが珍しくありません。中には、おやつは手から受け取るけれど手のひらの上には乗らないという段階で落ち着く個体もいます。その場合は、手から直接おやつを受け取る距離感がその子にとっての心地よい関係性だと考えて、無理に先へ進めない判断も必要です。なお、どの種類でも手乗りにならない個体は一定数います。期間が過ぎたからといって焦る必要はありません。
お迎え時の月齢も影響します。生後1〜2か月の若い個体は環境への適応力が高く、手乗りになるまでの期間が短い傾向があります。ペットショップで生後3か月以上経過している個体は、それまでの環境で人間との接触が少なかった場合、慣れるまでに時間がかかることがあります。
手乗り練習中にやってはいけないNG行動

手乗りの練習がうまくいかない原因の多くは、飼い主側の行動にあります。よくある失敗パターンを知っておくことで、遠回りを避けられます。
寝ているときに触る
ハムスターは夜行性の動物で、昼間は深い眠りについています。眠っているところを突然触られると、強い恐怖とストレスを感じます。手乗りの練習は、ハムスターが自分から起きて活動を始めた時間帯に行いましょう。夕方〜夜間に活動が活発になる個体が多いですが、個体や飼育環境によって異なるため、普段の生活リズムを観察して活動している時間帯を見極めます。
香水やハンドクリームをつけた手で触る
ハムスターは嗅覚に大きく依存して周囲の安全を判断しています。香水、ハンドクリーム、アルコール消毒液などの強いにおいがついた手は、ハムスターにとって未知の刺激です。せっかく覚えた飼い主のにおいがわからなくなり、警戒心が戻ってしまいます。練習前には石けんで手を洗い、十分に乾かしてから触れましょう。
噛まれたときに大きな声を出す・手を振り払う
手乗り練習の途中で噛まれることは珍しくありません。ハムスターが噛む理由は、恐怖、手についた食べ物のにおい、指を餌と間違えたなどが考えられます。噛まれた瞬間に「痛い!」と叫んだり手を急に引いたりすると、ハムスターは「手に近づくと大きな音がする」「手は急に動く危険なもの」と学習してしまいます。
噛まれたときは、声を出さずにそっと手を引きましょう。出血するほど強く噛まれた場合は、その日の練習を中止して翌日以降に前のステップからやり直します。傷口は流水と石けんですぐに洗浄し、腫れや痛みが続く場合は医療機関を受診してください。動物の咬傷は細菌感染のリスクがあるため、基礎疾患がある方は早めの受診を検討しましょう。
高い位置で手乗りの練習をする
手のひらから飛び降りる事故は、ハムスターの骨折や内臓損傷につながります。低い高さでもケガをする可能性があるため、落下リスクは最小限に抑える必要があります。練習は必ず床に座った状態で行い、膝の上にクッションやタオルを敷いておきましょう。万が一手から落ちても、柔らかい着地面があればケガのリスクを減らせます。テーブルの上やソファの上など、高さのある場所での練習は避けてください。
手乗りが難しい場合の対処法

数週間〜数か月かけても手乗りにならない個体は一定数います。その場合でも、飼い主との信頼関係を築く方法はあります。
まず試したいのが、おやつの種類を変えることです。ヒマワリの種に反応が薄い個体でも、乾燥ミルワームや小さく切ったりんごには強い興味を示すことがあります。ハムスターにとって「特別においしいもの」を見つけると、手への警戒心よりも食欲が勝り、練習が進みやすくなります。なお、乾燥ミルワームも高カロリーなため、与える量は1日1〜2匹程度にとどめましょう。
次に、練習の頻度を見直します。毎日欠かさず練習するよりも、2日に1回のペースに落とした方がストレスが軽減され、結果的に早く慣れるケースがあります。ハムスターがケージの隅で丸まって動かない、練習後に餌を食べないといった様子が見られたら、ストレスが蓄積しているサインです。数日間は練習を休み、通常のお世話だけにとどめましょう。
それでも手のひらに乗ることを嫌がる場合は、手からおやつを受け取る関係を最終的なゴールとして設定し直すことも1つの選択肢です。ハムスターの個性を尊重し、その子が心地よいと感じる距離感を保つことが、長い目で見たときに良好な関係につながります。
ハムスターの鳴き声の意味とは?キュッキュッ・プスプスなど音別に解説
手乗りハムスターとの暮らしで気をつけること

手乗りに成功した後も、いくつかの注意点を守ることで安全に触れ合いを楽しめます。
部屋んぽ中の事故と脱走に注意する
手乗りに慣れたハムスターを部屋に出して遊ばせる「部屋んぽ」は、運動と気分転換の機会になります。ただし、部屋んぽには脱走や事故のリスクが伴うため、安全対策が欠かせません。
安全なサークルやプレイフェンスの中で行うのが理想的です。部屋に直接出す場合は、家具の裏、ドアの隙間、配線の穴など脱走経路になりそうな場所を事前にふさぎましょう。小型種は数cmの隙間でもすり抜けてしまうため、隙間のチェックは念入りに行います。
部屋んぽ中は常にハムスターから目を離さないようにします。踏んでしまう事故や、電気コード・観葉植物などの誤飲も起こり得ます。他にペットがいる場合は別の部屋に隔離し、床の温度にも注意しましょう。冬場のフローリングは冷えやすく、夏場は直射日光で床が熱くなることがあります。手乗りができるからといって、呼べば戻ってくるわけではありません。
複数人で触るときはにおいの違いに配慮する
家族で飼育している場合、ハムスターに触れる人が複数いることがあります。ハムスターは人をにおいで識別しているため、普段触れていない家族がいきなり手に乗せようとすると、警戒して噛むことがあります。新しい人に慣れてもらうには、ステップ2のにおい慣れから始めましょう。
体調が悪いときは触れ合いを控える
ハムスターは体調不良を隠す傾向のある動物です。食欲の低下、毛並みの乱れ、目やにの増加、下痢などの症状が見られたら、手乗りの練習や触れ合いは中止しましょう。急激な体重減少、呼吸が荒い、出血、ぐったりして動かないといった症状は緊急性が高いため、早急に動物病院を受診してください。ハムスターを診察できる病院は限られるため、エキゾチックアニマル対応の動物病院を事前に調べておくと、いざというときに慌てずに済みます。
まとめ
ハムスターを手乗りにするには、「環境に慣れる期間を設ける」「手のにおいを覚えてもらう」「おやつで手への印象を良くする」「下からすくい上げるように乗せる」という段階を順番に踏むことが効果的です。かかる期間は個体によって2週間〜3か月以上と幅があり、手乗りにならない個体もいます。焦らずハムスターのペースに合わせて進めることで、その子に合った信頼関係を築けます。
もし手乗りにならなくても、手からおやつを受け取ってくれる関係は十分に信頼の証です。目の前のハムスターの性格やペースに合わせて、その子にとって心地よい距離感を見つけていくことが、飼い主とハムスター双方にとって幸せな暮らしにつながります。