フェレットを迎えるにあたって、最初に用意するもののなかで最も大きな買い物がケージです。フェレットのケージは、床面積(幅×奥行き)を最優先に考え、幅80〜90cm以上・奥行き50cm以上の多段式タイプを基本に、素材やレイアウトを生活スタイルに合わせて選ぶのがおすすめです。フェレットは1日のうち14〜20時間ほどを眠って過ごす動物ですが、睡眠時間には個体差があり、起きている時間は驚くほど活発に動き回ります。そのため、ケージは「安心して眠れる寝室」と「退屈しない遊び場」の両方の機能を兼ね備えている必要があります。
この記事では、ケージのサイズや素材の選び方から、中に置くグッズの配置、毎日の掃除の手順まで、フェレットとの暮らしを快適にするための情報をひとつずつ解説していきます。
ケージのサイズはどれくらいが適切?

フェレット1匹に対して、幅60cm×奥行き45cm×高さ55cm以上が最低限の目安です。ただし、この数値はあくまで最低ラインであり、ケージの中で過ごす時間が長い生活スタイルの場合は、幅80〜90cm×奥行き50cm×高さ60cm程度のゆとりあるサイズを選ぶと、ハンモックやトイレ、食器を配置しても窮屈になりません。ケージ選びでは高さよりも床面積(幅×奥行き)を優先するのがポイントで、フェレットが地面を走り回る動物である以上、広い床面積が快適さに直結します。
フェレットは体長35〜40cmほどですが、体をくねらせて移動するため、直線距離以上のスペースを使います。ケージの中で方向転換したり、ハンモックに飛び乗ったりする動作を想像しながらサイズを検討すると、必要な広さが具体的にイメージできます。2匹以上を同じケージで飼育する場合は、幅90cm以上のものを選び、ハンモックやトイレもそれぞれ用意するのが望ましいです。
多段式のケージ
フェレット用として販売されているケージには、棚板やステップがついた多段式と、1フロアのみの平面式があります。多段式はケージの床面積が限られていても上下の空間を活用できるため、日本の住宅事情に合いやすいという利点があります。フェレットは上下運動もこなせる動物なので、ステップを使って2階・3階部分に移動する姿を見られるのも多段式ならではの楽しみです。
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平面式のケージ
一方、平面式はシンプルな構造ゆえに掃除がしやすく、高い場所からの落下リスクがありません。シニア期に入って足腰が弱くなったフェレットや、術後で安静が必要なときには平面式のほうが安心です。最初に多段式を購入しておき、棚板を外して平面式として使うこともできるので、将来の変化を見越して選ぶ方法もあります。
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ケージの素材は何がベスト?

フェレット用ケージの素材は、スチール製のワイヤーケージが主流です。通気性が高く、ハンモックやウォーターボトルをワイヤーに引っかけて取り付けられるため、レイアウトの自由度が高いのが特徴です。ワイヤーの間隔は1.5〜2.0cm程度のものがより安全で、若齢や小柄な個体では2.0cm以下を選ぶようにしてください。購入前にはフェレットの頭が通らない幅かどうかを実測で確認し、頭が入る隙間はすり抜けの危険があると判断するのが目安です。
アクリルやプラスチック製のケージは、見た目がすっきりしていて部屋のインテリアに馴染みやすい反面、通気性がワイヤーケージより劣るため、夏場は内部に熱がこもりやすいという注意点があります。フェレットは汗腺が未発達で暑さに弱い動物なので、アクリルケージを使う場合はエアコンで室温を管理しましょう。
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ケージ内のレイアウトを考えよう

ケージの中に配置する基本アイテムは、トイレ、食器、給水器、ハンモック(または寝床)の4つです。これらをどこに置くかで、フェレットの快適さと飼い主の掃除のしやすさが大きく変わります。
トイレ
まずトイレは、ケージの角に設置します。フェレットには隅で排泄する習性があるため、ケージの四隅のうち、フェレットが好んで使う角にトイレを固定するのが成功のコツです。最初のうちはどの角を選ぶかわからないので、フェレットが排泄した場所にトイレを移動させるかたちで対応します。
トイレ容器は三角形のコーナータイプと四角形タイプがあり、コーナータイプは省スペースで設置しやすい一方、体格の大きい個体では体が収まりきらず排泄を失敗しやすいケースもあります。フェレットの体がトイレの中で余裕をもって収まるサイズかどうかを基準に選ぶと、失敗が減ります。背面が高くなっているものを選ぶと砂やシーツの飛び散りも抑えられます。
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食器と給水器
食器はトイレからできるだけ離れた位置に置きます。多くのフェレットはトイレ付近を避けて食べる傾向があるため、離して配置するほうが食事のトラブルが起きにくくなります。ケージの壁面に固定できるタイプの食器を選ぶと、フェレットがひっくり返してフードを散らかすトラブルを防げます。陶器製の重い食器を床に置く方法もありますが、フェレットは鼻先で物を押す力が意外と強いため、固定式のほうが安定します。
給水器はケージのワイヤーに取り付けるノズル式のウォーターボトルが広く使われています。ノズルの高さはフェレットが自然な姿勢で飲める位置、具体的には肩の高さ付近に調整します。高すぎると首を反らせなければならず、低すぎると水が漏れやすくなります。ボトルの容量は350〜500ml程度あれば1日分として十分ですが、夏場は消費量が増えるため、朝と夜の2回は残量を確認する習慣をつけると水切れを防げます。
ウォーターボトルは便利ですが、個体によってはノズルからうまく飲めなかったり、ノズルの不調で水が出にくくなったりすることがあります。飲水量が足りているかどうかは、尿の量や頻度を観察して判断してください。飲水量が少ないと感じたら、重い陶器製の水皿をケージ内に併設する方法も有効です。尿の量が明らかに減っている場合は脱水のおそれがあるため、早めに動物病院で相談してください。
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ハンモック
フェレットの睡眠時間は1日14〜20時間にもおよぶため、寝床の快適さはケージ選びと同じくらい生活の質に直結します。フェレット用のハンモックは、布製の吊り下げタイプが定番で、ケージの上部空間を有効に使えるのが魅力です。フリース素材のものは秋冬に暖かく、メッシュ素材のものは春夏に蒸れにくいため、季節に応じて使い分けると快適さが増します。
ハンモックのほかに、フリース製の寝袋型ベッドや、ケージの床面に置く小さなドーム型ハウスも選択肢に入ります。フェレットは暗くて狭い場所に潜り込んで眠る習性があるため、体をすっぽり包み込めるタイプの寝床を好む個体が多いです。新しい寝床を導入したときに使ってくれないこともありますが、飼い主の匂いがついた布を中に入れておくと、警戒心が薄れて使い始めることがあります。
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ケージの置き場所で気をつけることは?

ケージは直射日光が当たらず、エアコンの風が直接吹き付けない場所に設置しましょう。フェレットの快適な室温の目安はおおむね20〜24度で、25〜26度を超えたら警戒が必要です。28度前後以上になると熱中症の危険が高まり、30度を超える環境では命に関わる事態になりかねません。
湿度が高い環境では体感温度がさらに上がるため、温度だけでなく湿度にも気を配る必要があります。呼吸が荒くなる、ぐったりして動かないなどの異変が見られたら、体を冷やしながらすぐに動物病院へ連れていってください。窓際は季節によって温度変化が激しいため、部屋の中央寄りや壁沿いの安定した場所が適しています。
もうひとつ見落としやすいのが、ケージ周辺にフェレットが届く範囲の電気コードや布製品がないかどうかです。ケージのワイヤーの隙間から前足を出して、近くにあるものを引っ張り込むことがあります。コード類は噛むと感電の危険があるため、ケージから30cm以上離すか、コードカバーで保護しておくと安全です。
ケージのメンテナンスのやり方

フェレットのケージは、毎日のこまめな掃除と定期的な丸洗いを組み合わせて清潔を保ちましょう。フェレットには独特の体臭があり、ケージの掃除を怠るとにおいが部屋全体に広がりやすくなります。逆に言えば、掃除のサイクルを守ることで、においの大部分はコントロールできます。
毎日行う作業は、トイレの中身の交換と食器の洗浄です。トイレはペットシーツを使っている場合は1日1〜2回の交換、トイレ砂を使っている場合は固まった部分を取り除いて砂を補充します。食器は食べ残しが雑菌の温床になるため、フードを入れ替えるタイミングでぬるま湯と食器用洗剤で洗います。ウォーターボトルのノズル部分も、週に2〜3回は分解してブラシで内部を洗うと、ぬめりの発生を抑えられます。
週に1回程度を目安に、ケージからすべてのアイテムを取り出し、ケージ本体をぬるま湯で洗い流しましょう。トイレ容器は尿石(ミネラル汚れ)が蓄積しやすいため、クエン酸水に30分ほど浸け置きすると効果的に落とせます。においが気になる場合は浸け置き後にペット用の中性洗剤で洗い、十分にすすいでください。
まとめ
フェレットのケージ選びは、サイズ、素材、扉の形状、そして中のレイアウトまで考えると、思いのほか検討すべきポイントが多いものです。ケージは一度購入すれば数年にわたって使い続けるものですから、最初の段階で生活動線や掃除のしやすさまで想像して選びましょう。