冬になるとスーパーや八百屋さんに並ぶみかん。甘くてジューシーなみかんを食べていると、ふと「うちのフクロモモンガにもあげていいのかな?」と思ったことはないでしょうか。
結論からお伝えすると、フクロモモンガにみかんを与えること自体は問題ありません。みかんは柑橘類の中でも比較的食べやすく、フクロモモンガが口にしてよいフルーツのひとつです。ただし、そこには「あげ方」と「量」にちょっとしたコツと注意点があります。
この記事では、フクロモモンガにみかんを与えるときの適切な量・頻度・下準備の方法から、柑橘類ならではの注意点まで、丁寧にお伝えしていきます。「うちの子にあげてみたいけど、ちょっと不安」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
みかんはフクロモモンガに与えてOKな果物

与えてよいフルーツのリストに含まれている
フクロモモンガに与えてよいフルーツとしては、リンゴ、バナナ、ブドウ、イチゴ、キウイなど多くの種類が知られています。そしてみかんも、オレンジやタンジェリンと並んで「与えてよい果物」に分類されています。
ただ、「食べても大丈夫」と「どれだけあげてもいい」はまったく別の話。ここがフクロモモンガの食事管理で特に気をつけたいポイントになります。
フクロモモンガの食性を理解しておこう
フクロモモンガは雑食性の動物で、野生下では昆虫、花の蜜、樹液、果実、さらには小さなトカゲや鳥の卵まで食べることが確認されています。「シュガーグライダー」という英名からもわかるように、甘いものを好む傾向がありますが、それだけに偏食になりやすいという一面も持っています。
飼育下の食事はこれという唯一の正解があるわけではなく、推奨されている食事プランや獣医師の指示に沿いながら、主食と副食をバランスよく組み立てることが大切です。果物は与えすぎると栄養が偏りやすいので、少量をローテーションで取り入れるのが基本になります。
つまり、みかんを含むフルーツはあくまでも「おやつ」や「副食」のポジション。主食にはなりえないということを、まず頭に入れておきましょう。
みかんに含まれる栄養素とフクロモモンガへのメリット

ビタミンCが豊富
みかんは、可食部100gあたり約49kcalと低カロリーでありながら、ビタミンCを約32mg含んでいる栄養価の高い果物です。そのほかにも、β-クリプトキサンチンやカリウム、食物繊維などが含まれています。
フクロモモンガにとっても、ビタミンCは体の調子を整えるうえで有用な栄養素のひとつです。もちろん、人間ほど大量に摂取する必要はありませんが、日常の食事にちょっとしたプラスアルファとして取り入れるぶんには、良い意味での「変化」を食卓に加えてくれるでしょう。
水分が多く嗜好性も高い
みかんの約87%は水分で構成されています。そのため、普段あまり水を飲まないタイプのフクロモモンガには、さりげない水分補給の手段になることもあります。
また、フクロモモンガは甘いものが好きな子が多いので、ほどよい甘みのあるみかんは嗜好性が高いフルーツといえます。喜んで食べてくれる子は多いですが、反対に酸っぱいみかんだと口をつけないケースもあるため、甘みがしっかり乗った旬のものを選ぶのがおすすめです。
フクロモモンガにみかんを与えるときの適量と頻度

1回に与える量の目安
フクロモモンガの体重は個体差がありますが、おおむねメスで80〜110g、オスで90〜120gくらいが目安とされている、とても小さな動物です。そのため、人間の感覚で「ほんのひとかけら」と思う量でも、フクロモモンガにとってはかなりのボリュームになります。
みかんの場合、1回に与える量は米粒数個〜小指の先くらいを目安にするとよいでしょう。まずはごく少量から始めて、便がゆるくならないかどうかを確認しながら調整していくのが安心です。もともとフクロモモンガの食事量の目安は体重の15〜20%程度(専用フード含む全量)とされているので、おやつの果物でお腹がいっぱいになってしまうと、ペレットなどの主食を食べなくなってしまうリスクがあります。
「もっとちょうだい」と催促してくる姿はかわいいですが、おねだりに負けて与えすぎないことが長い目で見た健康管理につながります。
毎日あげるのは避けたほうがいい
みかんを与える頻度は、週に1〜2回程度にとどめるのが無難です。フクロモモンガの食事は、毎日献立を変えて多くの種類の食材を少しずつ取り入れるのが理想的。同じフルーツを毎日続けて与えると、偏食の原因になったり、特定の栄養素の過剰摂取につながったりする可能性があります。
与える場合は他のフルーツとローテーションを組んで、日替わりでバリエーションを持たせてあげましょう。そうすることで、フクロモモンガ自身も食事の時間をもっと楽しんでくれるはずです。
みかんの与え方と下準備のポイント

皮・薄皮・種の処理
みかんをフクロモモンガに与える前に、まずは外皮(オレンジ色の皮)は必ずむいてください。外皮には農薬やワックスが付着している可能性があるほか、フクロモモンガの消化には向いていません。
薄皮については、食べさせても特に害はないとされていますが、消化の負担を考えると取り除いてあげたほうが安心です。特にまだ小さな個体やシニアの子には、薄皮をむいた果肉だけを与えるほうがやさしいでしょう。
白い筋の部分も人間にとっては食物繊維が豊富ですが、フクロモモンガにとっては食べにくいことがあるので、気になるようであれば取り除いてしまって問題ありません。種がある場合は、必ず取り除いてから与えてください。
おすすめの与え方
みかんを与えるときは、果肉を小さくちぎって手のひらに乗せてあげる方法がコミュニケーションにもなっておすすめです。ポーチの中にいるときに差し出してあげれば、飼い主さんの匂いと一緒に「おいしいもの」を関連づけてくれるようになります。
食器に入れてあげる場合は、他の野菜やフルーツと一緒に少量ずつ盛り合わせにすると、栄養バランスも整いやすくなります。ヨーグルトやペースト状のフードにほんの少しだけ混ぜ込むのもひとつの方法です。
みかんは水分が多く傷みやすいので、食べ残しは翌朝までに必ず片づけるようにしましょう。特に夏場はケージ内で雑菌が繁殖する原因になるため、衛生管理には気を配ってあげてください。
みかんを与えるときに知っておきたい注意点

柑橘類の与えすぎは下痢につながることがある
フクロモモンガに柑橘類を与えすぎると、軟便や下痢を引き起こす可能性があるとされています。
柑橘類がフクロモモンガの消化器系に具体的にどう影響するかは、まだ十分に解明されていない部分もあります。ただし、みかんの水分量の多さや糖分がお腹をゆるくする一因になっている可能性は十分に考えられます。みかんを与えたあとに便がゆるくなるケースもあるため、少量ずつ様子を見ながらあげるのが賢明です。
なお、便がゆるい状態が続くときは、食べすぎだけでなく細菌感染や寄生虫といった別の原因が隠れていることもあります。軟便が何日も続く場合や、元気・食欲が落ちているようなら、早めにエキゾチック動物を診られる動物病院に相談しましょう。
酸味が強いみかんは食べないこともある
フクロモモンガは甘いものが好きな一方、酸味には敏感な傾向があります。キウイのように酸っぱいフルーツを食べない個体が多いのと同様、酸味の強いみかんは口をつけてくれないこともあるようです。
あげるのであれば、旬を迎えた甘みの強い温州みかんを選びましょう。時期外れのものや、まだ青みが残っているものは酸味が強いことがあるので、まずは飼い主さん自身がひと口味見して、甘さを確認してからあげるのがいいでしょう。
肥満のリスクにも要注意
みかんはカロリーが低めのフルーツとはいえ、糖分を含んでいることに変わりはありません。フクロモモンガは甘いものを好むあまり、果物を中心とした食事に偏りがちになる子も少なくないです。
果物の食べすぎは肥満の原因になり、肥満は心疾患や肝疾患といった深刻な病気にもつながる可能性があります。体重の変化をこまめにチェックして、週に1回は体重を測定する習慣をつけておくと安心です。
まとめ
フクロモモンガにみかんを与えること自体は、問題なくできるということがおわかりいただけたかと思います。みかんはビタミンCやカリウムを含む栄養価の高い果物であり、嗜好性も高いため、おやつとして上手に取り入れてあげれば、フクロモモンガの食事をより豊かにしてくれるでしょう。
ただし、何度もお伝えしてきたように、柑橘類の与えすぎは軟便や肥満の原因になる可能性があるため、量と頻度には細心の注意が必要です。1回に与える量は米粒数個〜小指の先くらいを目安に、週に1〜2回のペースで他のフルーツとローテーションしながらあげるのがベストです。
外皮や種はきちんと取り除き、できれば薄皮もむいてから与えること。そして甘みの強い旬のみかんを選んであげること。こうしたひと手間が、フクロモモンガの健康と安全を守ることにつながります。
フクロモモンガとの暮らしは、毎日の食事ひとつとっても奥が深いものです。この子に何をあげたら喜んでくれるかな、体にいいかなと考える時間そのものが、飼い主さんとフクロモモンガの絆を深めてくれるのだと思います。みかんをきっかけに、ぜひフルーツのバリエーションも広げてみてくださいね。