「うさぎに牛乳を飲ませても大丈夫?」と疑問に思ったことはないでしょうか。犬や猫が牛乳を飲んでいる姿を見かけることもあり、「うさぎにもあげていいのかな」と考える飼い主さんは少なくありません。
結論からお伝えすると、うさぎに牛乳を与えるのは避けるべきです。たとえ水で薄めたとしても、牛乳に含まれる成分はうさぎの消化器官にとって大きな負担となり、下痢や体調不良を引き起こす原因になります。
この記事では、うさぎに牛乳を飲ませてはいけない具体的な理由から、万が一飲ませてしまった場合の対処法、赤ちゃんうさぎに適したミルクの選び方まで、幅広くお伝えしていきます。大切なうさぎの健康を守るために、ぜひ最後まで読んでみてください。
うさぎに牛乳を飲ませてはいけない理由

うさぎは乳糖を消化できない体のつくりをしている
うさぎに牛乳を与えてはいけない最大の理由は、うさぎの体が牛乳に含まれる「乳糖(ラクトース)」をうまく消化できないからです。
乳糖を分解するためには、「ラクターゼ」という消化酵素が必要になります。うさぎも赤ちゃんのうちは母乳を飲んで育つため、生まれたばかりの頃にはラクターゼがある程度分泌されています。しかし、離乳を迎えて草食中心の食生活に切り替わると、このラクターゼの分泌量は急激に低下していきます。
これは実はうさぎに限った話ではなく、哺乳類全般に見られる自然な現象です。母乳を必要としなくなった体が、乳糖を分解する機能を徐々に手放していくのです。そのため、大人のうさぎが牛乳を飲むと、消化しきれなかった乳糖がお腹の中に残り、さまざまなトラブルの引き金になってしまいます。
牛乳の乳糖含有量はうさぎの母乳よりもはるかに多い
もうひとつ知っておきたいのが、牛乳とうさぎの母乳では乳糖の含有量にかなりの差があるという点です。
うさぎの母乳に含まれる乳糖は2%前後と低めで、これはうさぎの消化特性に合わせた組成です。それに対して、牛乳の乳糖含有量はおよそ4.7〜4.8%ほど。つまり、牛乳にはうさぎの母乳の2倍以上もの乳糖が含まれていることになります。
もともとラクターゼの分泌が少ない大人のうさぎにとって、この量の乳糖を処理するのは到底無理な話です。たとえ少量であっても、消化できない乳糖が腸に到達すると浸透圧を上昇させ、腸壁から水分を引き込んでしまいます。これが水様性の下痢を引き起こすメカニズムです。
牛乳の脂肪・タンパク質もうさぎの体には合わない
乳糖の問題に加えて、牛乳に含まれる脂肪分やタンパク質の組成もうさぎの消化にとっては不適切です。
牛乳に含まれる脂肪やタンパク質の組成は、あくまでも子牛を育てるためのもの。草食動物であるうさぎの消化器官は牧草や野菜などの繊維質を効率よく処理するために進化してきたため、乳製品のような動物性食品を日常的に消化・吸収する設計にはなっていないのです。牛乳を継続的に与えると、消化器官への負担が蓄積し、慢性的な体調不良につながるおそれがあります。
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うさぎが牛乳を飲んでしまったときに起こりうる症状

下痢や軟便が最も起こりやすい
うさぎが牛乳を飲んでしまった場合、最も多く見られるのが下痢や軟便の症状です。
先ほど説明したとおり、消化しきれなかった乳糖が腸内にとどまると、浸透圧の変化によって腸壁から水分が引き出され、便が水っぽくなります。さらに、未消化の乳糖が大腸に到達すると腸内細菌によって発酵が始まり、ガスが大量に発生します。これがお腹の張りや腹痛、ゴロゴロとした腹鳴の原因となります。
うさぎにとって下痢は命に関わることもある深刻な症状です。体が小さいうさぎは脱水を起こしやすく、特に子うさぎや高齢のうさぎの場合は急速に状態が悪化するケースもあります。「ほんの少しだから大丈夫だろう」という考えは、思わぬ事態を招きかねません。
腸内環境の乱れが長引くことも
一度の牛乳摂取ですぐに深刻な状態になるとは限りませんが、繰り返し与えていると腸内環境のバランスが崩れてしまうおそれがあります。
うさぎの腸内には、草食動物として生きていくために必要な善玉菌が多く生息しています。未消化の乳糖が腸内で発酵すると、腸内環境が酸性に偏り、本来いるべき善玉菌が減少してしまうことがあります。腸内細菌のバランスが崩れると、慢性的な軟便やガスだまりが続き、食欲の低下にもつながります。
うさぎは食欲が落ちると消化管の動きそのものが鈍くなる「うっ滞」を起こしやすい動物です。腸内環境の乱れから食欲低下、そしてうっ滞という負の連鎖に陥ってしまう前に、牛乳を与える習慣があればすぐにやめることが大切です。
誤ってうさぎに牛乳を飲ませてしまったときの対処法

少量であればまずは落ち着いて様子を見る
「うっかりコップの牛乳をこぼしてしまい、うさぎが少し舐めてしまった」というような場合は、すぐにパニックになる必要はありません。ほんの少量であれば、そのまま体調に問題が出ないケースもあります。
ただし、飲んでしまった後はしばらくの間、うんちの状態と食欲に注意してください。普段どおりのコロコロした丸い便が出ているか、牧草やペレットをいつもと同じように食べているかを確認しましょう。水をしっかり飲めるよう、新鮮な水を切らさないようにしておくことも大切です。
下痢や食欲不振が見られたら早めに動物病院へ
牛乳を飲んでしまった後に水っぽい下痢が出た、お腹がパンパンに張っている、食欲がまったくないといった症状が見られた場合は、速やかに動物病院を受診してください。
うさぎを診てもらえる動物病院はまだまだ限られています。普段からうさぎを診察できる病院をリストアップしておくと、いざというときに慌てずに済みます。受診の際は、「いつ、どのくらいの量の牛乳を飲んだか」「いつから症状が出始めたか」をメモしていくとスムーズです。
習慣的に牛乳を与えていた場合はすぐに中止する
もし以前から牛乳を与えてしまっていた場合は、牛乳を中止して新鮮な水に切り替えることが基本的な対応になります。体に合わない飲み物を「少しずつ減らす」のではなく、やめてしまうのが安全です。
牛乳の味を覚えてしまったうさぎが水を嫌がることもありますが、そのときはひっくり返しにくい陶器の水入れやケージに固定できるタイプの給水器を活用して、水を飲みやすい環境を整えてあげましょう。牧草をしっかり食べていれば、自然と水も飲むようになるケースが多いです。もし牛乳を中止したあとに食欲の低下や下痢、元気がないといった様子が見られたら、早めに動物病院を受診してください。
赤ちゃんうさぎにミルクが必要なケースと正しい与え方

人工保育が必要になる場面とは
通常、赤ちゃんうさぎは母うさぎからミルクをもらって育ちます。うさぎの授乳は1日1〜2回と回数が少なく、1回あたりわずか数分程度で終わるのが特徴です。そのため、飼い主さんから見ると「ちゃんとミルクをあげているの?」と不安に感じることもあるかもしれませんが、赤ちゃんのお腹がぷっくりと膨れていれば、しっかり授乳が行われている証拠です。
しかし、母うさぎが育児放棄をしてしまった場合や、母うさぎの体調不良で授乳ができない場合には、飼い主さんが人工保育に切り替える必要があります。このとき絶対にやってはいけないのが、代わりに牛乳を与えることです。
赤ちゃんうさぎには小動物用のペットミルクを使う
人工保育で赤ちゃんうさぎにミルクを与える場合は、必ず小動物用に調整されたペットミルクを使用してください。
小動物用のペットミルクは、乳糖の量が調整されているうえに、うさぎの成長に必要な栄養素がバランスよく配合されています。ミルクオリゴ糖の配合により腸内のビフィズス菌の増殖を助けてくれる製品もあり、デリケートな赤ちゃんうさぎの消化器官に配慮された設計になっています。
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うさぎに適した飲み物は「水」だけ

成長したうさぎの飲み物は新鮮な水一択
離乳を終えた大人のうさぎにとって、日常的に必要な飲み物は新鮮な水だけです。牛乳はもちろん、ジュースやスポーツドリンク、お茶なども与えてはいけません。
うさぎは体の大きさに対して意外と多くの水を飲みます。体重1kgあたり50〜150ml程度の水分を1日に摂取するのが一般的です。水は給水ボトルや水入れで常に新鮮なものを用意し、1日に最低1回は交換するようにしましょう。特に夏場は水が傷みやすいため、朝晩の2回交換するとより安心です。
水を飲んでくれないときの工夫
「うちの子はあまり水を飲まない」と心配する飼い主さんもいるかもしれません。うさぎの中には、生野菜から十分な水分を摂取しているために、あまり水を飲まない個体もいます。普段から水分の多い葉物野菜を食べている場合は、それほど心配しなくて大丈夫なケースもあります。
ただし、ペレット中心の食事や牧草のみの食事の場合は、水分摂取が不足しがちです。給水ボトルのノズルの高さが合っていなかったり、ボトルの出が悪かったりすると、うさぎが飲みにくさを感じて水分を控えてしまうこともあります。ボトルの位置や種類を変えてみる、お皿タイプの水入れを試すなど、うさぎが飲みやすい環境を整えてあげましょう。
水の温度にこだわるうさぎもいます。夏はやや冷たい水、冬は常温の水を好む傾向があるため、季節に合わせて調整してみるのもひとつの方法です。
まとめ
うさぎに牛乳を与えてはいけない理由は、うさぎの体が牛乳に含まれる乳糖を消化できないことに尽きます。離乳後のうさぎはラクターゼの分泌が減少しており、牛乳を飲むと下痢や腹部膨満、腸内環境の悪化といったトラブルを引き起こす可能性があります。
「かわいいうさぎが欲しがるから」とつい甘やかしたくなる気持ちは、飼い主さんなら誰もが抱くものです。しかし、その子が長く元気に暮らしていくためには、体に合った食事と飲み物を選んであげることが何より大切です。迷ったときは、かかりつけの獣医師に相談してみてくださいね。