大きくてクリっとしたうさぎの目は、見ているだけで癒される魅力的なパーツです。「うさぎの目ってどれくらい見えているんだろう」「うちの子、なんだか目の様子がおかしい気がする」と気になっている飼い主さんも多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、うさぎの目はほぼ全周に近い広い視野を持つ一方で、視力自体は高くなく、遠くの細部を識別することは得意ではありません。また、顔の側面に少し飛び出すように付いているため、外傷や感染症による目のトラブルが起きやすいという特徴もあります。
この記事では、うさぎの目の構造や視野、視力、色の見え方といった基本的な特徴から、目の色の種類、そして飼い主さんが知っておきたい目の病気について詳しくお伝えしていきます。
うさぎはどれくらい広い範囲が見える?

うさぎの目は顔の側面に付いているため、驚くほど広い範囲を見渡すことができます。
ほぼ全周に近い視野
うさぎはほぼ全周に近い広い視野を持っています。そのため、後ろからそっと近づいても、しっぽを触ろうとしても、うさぎはすぐに気づきます。「気づかれないように触ろうと思ったのにバレていた」という経験がある飼い主さんも多いのではないでしょうか。
立体的に見える範囲
ただし、うさぎの広い視野のほとんどは片目だけで見ている「単眼視野」です。両目で同じものを見て立体的に認識できる「両眼視野」は狭い範囲に限られています。つまり、うさぎが見ている世界の大部分は平面的に映っており、距離感を正確に把握することが難しいのです。犬や猫のように飛んでくるボールを口でキャッチしたりすることが苦手なのは、このためです。
見えない場所(死角)
広い視野を持つうさぎですが、真正面から足元側にかけてのスペースは死角になっています。口元が見えないため、鼻先におやつを差し出しても「どこどこ?」とすぐに認識できないことがあります。この死角は、ひげや口の感覚で補っていると言われています。おやつをあげるときは、うさぎが認識しやすいように少し離れた場所から見せてあげるとよいでしょう。
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うさぎの視力はどれくらい?

広い視野を持つうさぎですが、視力自体は高くありません。
細部の識別は苦手
うさぎは遠くのものの細部を識別することが得意ではありません。そのため、信頼している飼い主さんであっても、急に動くと「天敵かもしれない」と驚いて逃げてしまうことがあるのは、視力で相手を判別するのが難しいためです。
薄暗い場所でも行動できる
うさぎは夜行性ではなく、早朝や夕方に活発になる「薄明薄暮性」の動物です。薄暗い環境でも行動しやすい特性を持っています。ただし、犬や猫が持っている「タペタム」と呼ばれる光を増幅する反射板のような構造は持っていないため、暗闇で目が光ることはありません。
うさぎの目が顔の横についている理由は?

うさぎを正面から観察してみると、目が顔の側面にやや飛び出すように付いていることがわかります。これは草食動物に共通する特徴で、肉食動物から身を守るために進化した結果と考えられています。
目が顔の横に付いていることで、うさぎは首を動かさなくても周囲の広い範囲を見渡すことができます。野生のうさぎは常に天敵に狙われる立場にあるため、どこから敵が近づいてきてもすぐに察知できるよう、このような目の位置になったのです。
一方で、目が飛び出した構造になっているため、物にぶつけたり、牧草の先端が刺さったりと、外傷を受けやすいという面もあります。飼育環境ではケージ内の鋭利なものや、伸びた爪で目をこすってしまうことなどに注意が必要です。
うさぎの目を守る仕組み

うさぎの目には、乾燥や外部の刺激から眼球を守るための独自の仕組みが備わっています。
ハーダー腺
うさぎはまばたきの回数が少ない傾向があります。人間や他の哺乳類と比べてもかなり少ないと言われていますが、それでも目が乾燥しないのは、うさぎには「ハーダー腺」と呼ばれる分泌腺が発達しており、脂質を含んだ分泌物で常に目を潤わせているためです。
瞬膜
うさぎには「瞬膜」と呼ばれる目を保護する半透明の膜も発達しています。この膜が目の乾燥や異物から眼球を守る役割を果たしています。まばたきが少なくても目を保護できるのは、この瞬膜のおかげでもあります。
うさぎのまばたきが少ない理由
うさぎのまばたきが少ないのは、野生での生活に由来しています。近づいてくる敵を一瞬でも見逃さないように進化した結果だと考えられています。
同じ理由で、うさぎは目を開けたまま眠ることができます。野生では目を閉じていると捕食されるリスクがあるため、このような能力が身についたのでしょう。飼い主さんの前でリラックスして目を閉じて眠る姿が見られるのは、そこが安全な場所だと認識している証拠とも言えます。
うさぎは視力をどう補っている?

視力が高くないうさぎですが、他の感覚器官でそれを補っています。
聴覚による補完
うさぎは聴覚が発達しており、周囲の変化に敏感です。左右の耳を別々の方向に動かすことができ、さまざまな方向からの音をキャッチして、危険をいち早く察知することができます。可聴域(聞こえる音の範囲)も人間とは異なると言われています。
嗅覚による補完
うさぎは嗅覚も発達しており、においで状況や個体を把握しています。常に細かく鼻を動かしており、この動きで周囲のにおいを感じ取っています。野生では餌や天敵、仲間の認識をにおいで行っています。
遠くからうさぎに呼びかけるときは、名前を呼んだり、おやつの袋を振って音を出したりすると、気づいてもらいやすくなります。
うさぎは何色が見える?

うさぎの色の見え方は人間とは異なります。
色の識別は人と異なり、赤系の識別は得意ではない可能性があると考えられています。一方で、緑や青系の色は認識しやすい傾向があるとも言われています。
草を食べる生活をしてきたうさぎにとって、緑色を見分けられることは生存に適していると考えられています。赤いおもちゃやおやつを与えても、うさぎにとっては人間が見ているような鮮やかな色には見えていないかもしれません。色でうさぎの興味を引きたいときは、青や緑系の色を試してみるとよいでしょう。
うさぎの目の色は3種類に分かれる
うさぎの目の色は、虹彩に含まれるメラニン色素の量によって決まります。
ブラウン・マーブル
メラニン色素が多い場合に見られる目の色です。野生のうさぎに多く、ペットうさぎでもよく見られます。マーブルは茶色と他の色が混ざったような色合いで、ブラウンの仲間とも言える目の色です。
ブルー・ブルーグレー
メラニン色素が少ない場合に見られる目の色です。透明感のある美しい青色の目は、特定の品種や毛色のうさぎに見られます。
赤い目(アルビノ)
「うさぎの目は赤い」というイメージを持っている方も多いかもしれませんが、赤い目を持つうさぎは実は珍しい存在です。野生のうさぎや一般的なペットうさぎの目は、黒や茶色が普通です。
赤い目を持つのは、生まれつきメラニン色素を持たない「アルビノ」と呼ばれる個体です。アルビノのうさぎは全身の毛が白く、目の虹彩にも色素がありません。目が赤く見えるのは、目の中の血管が透けて見えているためです。また、ヒマラヤン種は品種の特徴として赤い目を持っています。
なお、通常うさぎの目の色は生涯を通じて変わりませんが、ケガや病気によって目の色が変化することがあります。突然目の色が変わった場合は、何らかの異常が起きている可能性があるため、早めに動物病院を受診しましょう。
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うさぎに多い目の病気
うさぎは目の構造上、さまざまな目のトラブルを起こしやすい動物です。飼い主さんが知っておきたい主な病気について解説します。
結膜炎
結膜炎は、うさぎに最も多く見られる目の病気のひとつです。まぶたの裏側から白目の表面までを覆う「結膜」という粘膜に炎症が起こった状態を指します。
結膜炎になると、目の充血、腫れ、目やに、涙が増える、目をまぶしそうにするといった症状が見られます。感染性の場合は白〜黄色のドロッとした目やにが出ることが多く、刺激による場合は透明で水っぽい目やにが出る傾向があります。
原因はさまざまで、細菌やウイルスの感染、アレルギー、牧草やほこりなどの異物が目に入ること、ケージ内の不衛生な環境などが挙げられます。また、呼吸器の感染症(スナッフル)から目に炎症が波及することもあります。
結膜炎を放置すると、目やにや腫れで目が開けられなくなったり、涙で目の周りの皮膚が炎症を起こしたりすることがあります。さらに、違和感から目を前足でひっかいて角膜を傷つけてしまうこともあるため、早めの治療が大切です。
角膜潰瘍
角膜潰瘍は、目の表面を覆う角膜に傷がつき、炎症や感染を起こす病気です。うさぎの目は顔の側面に飛び出すように付いているため、物にぶつけたり、牧草の先端が刺さったり、自分の爪でこすったりして角膜を傷つけやすい傾向があります。
症状としては、目を細める、涙が多く出る、目やにが増える、目が充血するなどが見られます。症状が進行すると、角膜が白く濁る「角膜混濁」を起こすこともあります。
角膜潰瘍は放置すると視力低下や失明につながる可能性があるため、目に異変を感じたら早めに動物病院を受診しましょう。点眼薬による治療が一般的ですが、重度の場合は手術が必要になることもあります。
流涙症・鼻涙管閉塞
流涙症は、涙が目からあふれ出して止まらなくなる症状です。うさぎによく見られる症状で、さまざまな原因で起こります。
涙は通常、目から「鼻涙管」という細い管を通って鼻へ流れていきますが、この管が詰まったり狭くなったりすると、涙が目から流れ続けるようになります。鼻涙管が狭くなった状態を「鼻涙管狭窄」、完全に詰まった状態を「鼻涙管閉塞」と呼びます。
鼻涙管が詰まる原因としては、細菌感染による炎症、歯根の伸びによる圧迫、分泌物やゴミの詰まりなどがあります。特に、ネザーランドドワーフなど丸顔の品種は先天的に鼻涙管のトラブルを起こしやすい傾向があると言われています。
涙が流れたままにしておくと、目の周りの皮膚が炎症を起こしてしまうため、こまめに拭き取るケアが必要です。
白内障
白内障は、目のピント調節をする水晶体が白く濁り、視力が低下する病気です。加齢によって発症することが多いですが、若年性のものや先天性のものもあります。また、目の傷や炎症、エンセファリトゾーン(微胞子虫)という寄生虫の感染が原因になることもあります。
初期段階では目立った症状がなく、飼い主さんが気づきにくいことがあります。進行すると目が白く濁って見えるようになり、最終的には失明に至ります。
一度発症すると完治させることは難しく、点眼薬で進行を遅らせる治療が中心となります。ただし、うさぎは視覚以外の聴覚や嗅覚が発達しているため、目が見えなくなっても日常生活にはあまり支障が出ないことが多いと言われています。
緑内障
緑内障は、眼球内の「房水」という液体がうまく排出できなくなり、眼圧が上昇する病気です。眼圧が高くなると眼球が膨らみ、飛び出しているように見えることがあります。
うさぎでは先天性(遺伝性)の緑内障が報告されており、一部の系統で発症しやすい例があることが知られています。また、ぶどう膜炎などの病気から二次的に発症することもあります。
症状としては、目が大きく見える、目が飛び出しているように見える、目やにが増えるなどがあります。痛みを伴うこともあり、うずくまって動かなくなったり、食欲が低下したりすることもあります。
うさぎの目の病気を予防するポイント

うさぎの目の健康を守るために、日頃からできる予防策を見ていきましょう。
清潔な環境を保つ
目の病気を予防するには、飼育環境を清潔に保つことが大切です。排泄物はこまめに掃除し、ケージ内に汚れがたまらないようにしましょう。不衛生な環境では細菌が繁殖しやすく、目の感染症のリスクが高まります。部屋の環境も大切で、ホコリっぽい場所やエアコンの風が直接当たる場所は避けましょう。乾燥も目に負担をかけるため、適度な湿度を保つことを心がけてください。
目を傷つけるものを置かない
目を傷つける可能性があるものをケージ内に置かないことも予防につながります。鋭利な角のあるものや、先端がとがった牧草入れなどには注意が必要です。牧草に顔をうずめて食べるうさぎでは、牧草の先端が目に刺さることもあるため、牧草の状態にも気を配りましょう。
爪を適切に管理する
うさぎの爪が伸びすぎていると、毛づくろいの際に自分の目を傷つけてしまうことがあります。定期的に爪切りを行い、爪を適切な長さに保ちましょう。爪切りが難しい場合は、動物病院やうさぎ専門店でケアしてもらうことをおすすめします。
目の異常に気づくためのチェックポイント

目の病気は早期発見が大切です。日頃からうさぎの目をよく観察し、以下のような変化がないか確認しましょう。
涙や目やにの量
涙や目やにが増えていないかは、最もわかりやすいサインのひとつです。目の周りの毛がいつも濡れている、前足の内側がゴワゴワになっている場合は、頻繁に目をこすっている可能性があります。目やにの色も確認し、白や黄色、緑色のドロッとしたものが出ていたら感染の疑いがあります。
充血や腫れの有無
目が充血していないか、腫れていないかも確認しましょう。白目が赤くなっている、まぶたが腫れているなどの症状が見られたら、結膜炎などの炎症が起きている可能性があります。目をまぶしそうにしている、目を細めていることが多いといった様子も、痛みや違和感のサインです。
目の大きさの左右差
目の大きさに左右差がないか、飛び出して見えないかもチェックポイントです。片方の目だけが大きく見える場合は、眼圧が上がっている可能性があります。また、目が白く濁っているように見える場合は、白内障や角膜の異常が疑われます。
うさぎは病気を隠す傾向があるため、痛みがあってもわかりにくいことがあります。いつもと違う様子が見られたら、自己判断せずに動物病院で診てもらいましょう。
まとめ
うさぎの目について振り返ると、ほぼ全周に近い広い視野を持つ一方で、遠くの細部を識別することは得意ではないことがわかりました。広い視野とまばたきの少なさは、天敵から身を守るために進化した結果と考えられています。また、色の見え方は人間とは異なり、赤系の識別は得意ではない可能性があるとされています。
うさぎは目が顔の側面に飛び出すように付いているため、外傷や感染症による目のトラブルを起こしやすい特徴があります。結膜炎、角膜潰瘍、流涙症、白内障、緑内障など、さまざまな病気に注意が必要です。