ぺたりと垂れた大きな耳に、丸くてつぶれたような愛嬌のある顔立ち。耳たれうさぎは、そのぬいぐるみのような見た目から、うさぎの中でも特に人気の高い存在です。「耳たれうさぎを飼ってみたい」「どんな種類がいるんだろう」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、耳たれうさぎは「ロップイヤー」と呼ばれる品種群で、ホーランドロップやイングリッシュロップなど複数の種類があります。穏やかで人懐っこい性格の個体が多い傾向にあり、初めてうさぎを飼う方にも人気があります。ただし、垂れた耳の構造上、耳の中が蒸れやすく外耳炎のリスクが高いという特徴があるため、立ち耳のうさぎとは異なるケアへの意識が求められます。
この記事では、耳たれうさぎの種類や性格の傾向、飼い方のポイント、そして垂れ耳ならではの耳ケアについて詳しくお伝えしていきます。
耳たれうさぎ(ロップイヤー)とは

まずは、耳たれうさぎがどのような動物なのか、基本的な特徴を見ていきましょう。
耳がたれている理由
耳たれうさぎは正式には「ロップイヤー(Lop Eared Rabbit)」と呼ばれ、耳が垂れ下がっているうさぎの品種群を指します。一般的なうさぎはぴんと立った耳を持っていますが、ロップイヤーは耳がゆるく垂れ下がり、耳の開口部が頭蓋骨の方を向いています。
この垂れ耳は、品種改良によって生まれた特徴です。ロップイヤーの起源については諸説ありますが、古くから家畜化されたうさぎを改良して誕生したとされています。歴史的にはイギリスで品種改良が進み、イングリッシュロップなど古い品種が生まれました。その後、さまざまな品種との交配を経て、ホーランドロップやアメリカンファジーロップなど、多彩な種類が誕生しています。
多くのロップイヤーの頭には「クラウン」と呼ばれる部位があり、これは耳の付け根がわずかに隆起した部分を指します。品種によってはショーの評価基準で注目される部位でもあります。
立ち耳うさぎとの違い
立ち耳うさぎとロップイヤーの違いは、見た目だけではありません。耳の構造が異なることで、健康管理の面でも違いが出てきます。
うさぎの耳には、音を集める役割のほかに体温調節の機能があります。うさぎは汗腺が発達しておらず、汗をかいて体を冷やすことができません。そのかわりに、血管が豊富に通っている耳に風を当てることで血液を冷やし、体温を下げています。
ロップイヤーは耳が垂れているため、この体温調節が立ち耳のうさぎとは異なる可能性があります。また、耳の中が閉じた状態になりやすいため、湿気がこもりやすく、耳垢がたまりやすい傾向があります。そのため、立ち耳のうさぎよりも耳の健康に気を配る必要があるでしょう。
耳たれうさぎは5種類に分かれる
ロップイヤーにはさまざまな種類があります。なお、日本で流通している名称と、アメリカのうさぎ協会(ARBA)などの品種標準における名称が一致しないケースもあるため、品種名については店舗やブリーダーに確認することをおすすめします。
ホーランドロップ
ホーランドロップは、日本で最も人気のある耳たれうさぎのひとつです。ロップイヤーの中では小柄な品種で、体重は1.5〜2kg程度が一般的な目安とされています。丸くてつぶれたような顔立ちと、ころんとした体型が特徴で、まるでぬいぐるみのような愛らしさがあります。
性格は穏やかで人懐っこい傾向があり、飼い主さんの後をついてまわる甘えん坊な一面を見せる個体もいます。好奇心旺盛で活発な子も多いですが、性格には個体差が大きいため、その子の性格を見ながら接することが大切です。スキンシップを好む傾向があることから、初めてうさぎを飼う方にも選ばれやすい品種です。
ホーランドロップはカラーバリエーションが豊富で、ブラック、ブルー、チョコレートなどの単色から、複数の色が混ざった模様まで、さまざまな毛色の個体がいます。
イングリッシュロップ
イングリッシュロップは、ロップイヤーの中でも古い歴史を持つ品種のひとつです。古くからイギリスで飼育されてきた記録があり、現在のロップイヤーの代表的な原型とも言われています。
最大の特徴は、うさぎの中でも特に長い垂れ耳を持っていること。耳の長さは個体や系統によって差がありますが、その存在感は圧倒的です。体も大きく、5kgを超える個体も珍しくありません。
性格はおとなしく穏やかな傾向があると言われています。ただし、長い耳は床を引きずって歩くこともあるため、耳を踏んでしまわないよう広いスペースでの飼育が必要です。耳のお手入れにも気を配る必要があり、飼育にはある程度の経験と環境が求められます。
フレンチロップ
フレンチロップは、ロップイヤーの中でも体が大きい品種のひとつです。体重は4〜6kg程度になることが多く、大きな個体ではそれ以上になることもあります。イングリッシュロップほど耳は長くありませんが、がっしりとした体格とパワフルな印象が特徴です。
性格は穏やかな傾向がありますが、体が大きいぶん力も強いため、抱っこや移動の際には注意が必要です。大型のうさぎを飼育できるスペースと設備が整っている方に向いています。
アメリカンファジーロップ
アメリカンファジーロップは、ふわふわとした長毛が特徴の耳たれうさぎです。ホーランドロップをベースに、フレンチアンゴラを交配して作出された品種で、綿毛のような柔らかい被毛を持っています。
体型は丸くコンパクトで、ロップイヤーの中では小さめの部類に入ります。ややつぶれ気味の愛嬌のある顔と、大きく垂れた耳がぬいぐるみのような可愛らしさを醸し出しています。
性格は活発で自己主張がはっきりしている傾向があると言われています。長毛種のためブラッシングなどの毛のお手入れが欠かせず、飼育には手間がかかります。毛のケアを楽しめる方に向いている品種と言えるでしょう。
ミニロップ
ミニロップは、中型サイズのロップイヤーとして知られる品種です。体重は2〜3kg程度が目安とされていますが、個体差があります。丸みのある体型と垂れた耳が愛らしく、バランスの良い見た目が魅力です。
なお、日本で「ミニロップ」として販売されている個体が、ARBAの品種標準における「Mini Lop」と必ずしも一致するとは限りません。品種にこだわりがある場合は、購入前にブリーダーや専門店で確認することをおすすめします。
耳たれうさぎの性格

ロップイヤーは、立ち耳のうさぎとは少し異なる性格の傾向があると言われています。ただし、性格は個体差や飼育環境によって大きく異なるため、あくまで傾向として参考にしてください。
人懐っこく甘えん坊
ロップイヤーは全般的に人懐っこく、飼い主さんとのスキンシップを好む傾向があると言われています。特にホーランドロップは、触られることを嫌がらず、抱っこを受け入れてくれる個体が多いとされています。
慣れてくると、飼い主さんの後をついてまわったり、そばに寄り添ってきたりと、甘えん坊な一面を見せてくれることも。寂しがりやな個体も多い傾向にあるため、一緒に過ごす時間をしっかり確保してあげることが望ましいでしょう。
好奇心旺盛で環境に慣れやすい
ロップイヤーは好奇心が旺盛で、新しい環境にも比較的慣れやすい傾向があると言われることがあります。警戒心よりも好奇心が強く、新しいおもちゃや部屋の探検に積極的に取り組む姿が見られることも。
ただし、これは個体差が大きい部分でもあります。臆病な性格の子もいますので、その子のペースを尊重しながら接することが大切です。
縄張り意識と自己主張が強い
ロップイヤーは縄張り意識が強い傾向があるとも言われています。縄張りを主張している時期は、トイレの場所がなかなか定まらないこともあり、トイレトレーニングには時間がかかる場合があります。
また、自己主張がはっきりしている個体も多く、飼い主さんの気を引こうとしたり、やきもちを焼いたりすることもあるようです。そんなところも含めて、表情豊かで一緒に暮らしていて楽しい存在と言えるでしょう。
耳たれうさぎの耳ケア

垂れ耳は耳たれうさぎの最大の魅力ですが、同時に健康管理で注意が必要な部分でもあります。
立ち耳のうさぎは自分で耳を振ったり掻いたりして耳垢を外に出すことができるため、基本的に飼い主さんが耳掃除をする必要はありません。しかし、ロップイヤーは耳が垂れているため耳垢が外に出にくく、耳の中に汚れがたまりやすい構造になっています。
近年の研究でも、ロップイヤーは立ち耳のうさぎと比べて外耳炎などの耳のトラブルを抱えやすいことが指摘されています。耳の中が蒸れやすく、細菌や真菌が増殖しやすい環境になりやすいためです。
家庭でできるケアをする
家庭での耳ケアは、専用のイヤークリーナーで湿らせたコットンで、耳の内側を優しく拭く程度にとどめましょう。力を入れすぎると皮膚を傷つけてしまうため、軽く撫でるように拭き取ります。
綿棒や耳かきを使って奥まで掃除しようとするのは避けてください。うさぎが動いたときに耳の中を傷つけてしまったり、かえって耳垢を奥に押し込んでしまったりする可能性があります。耳の奥の汚れが気になる場合は、必ず動物病院で相談しましょう。自己判断で耳道内を触ることは避けてください。
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耳の状態のチェックを欠かさない
日頃から耳の状態をチェックする習慣をつけましょう。耳垢が急に増えた、耳の中がにおう、耳を頻繁に掻いている、頭を振っているなどの様子が見られたら、耳の病気の可能性があります。
また、耳の中が赤くなっている、腫れている、分泌物が出ているなどの異常が見られた場合も、早めに動物病院を受診しましょう。
耳たれうさぎがかかりやすい病気

垂れ耳の構造上、ロップイヤーは耳の病気にかかりやすい傾向があります。
外耳炎
外耳炎は、耳の外側から鼓膜までの部分(外耳)に炎症が起こる病気です。細菌や真菌(カビ)の感染、耳ダニの寄生、爪で耳を傷つけることなどが原因で発症します。
ロップイヤーは耳が垂れていることで耳の中が蒸れやすく、菌が増殖しやすい環境になっています。そのため、立ち耳のうさぎと比べて外耳炎になりやすいことが研究でも示されています。
症状としては、耳垢が増える、耳や頭を振る、後ろ足で耳を掻く、耳を傾ける、耳がにおうなどが見られます。なお、耳垢の色は感染の種類によって異なることがありますが、色だけで原因を判断することはできません。異常に気づいたら、早めに動物病院を受診しましょう。
耳ダニ
耳ダニは、うさぎの耳に寄生するダニで、強いかゆみを引き起こします。感染するとカサカサした耳垢が増え、うさぎは頻繁に耳を掻いたり頭を振ったりします。
他のうさぎから感染することが多いため、新しくうさぎを迎えた際は耳の状態をよく確認しましょう。症状が見られたら、早めに動物病院で治療を受けることが大切です。
中耳炎・内耳炎
外耳炎が悪化すると、炎症が中耳や内耳にまで広がることがあります。中耳炎・内耳炎になると、平衡感覚に異常をきたし、首が傾く「斜頸(しゃけい)」や、眼球が揺れる「眼振(がんしん)」、体がくるくると回転する「ローリング」などの症状が現れることがあります。
内耳は脳に近い場所にあるため、炎症が進行すると命に関わる病気につながる恐れもあります。耳の異常に気づいたら、症状が軽いうちに動物病院を受診しましょう。
耳たれうさぎの値段

耳たれうさぎをお迎えする際の価格についても触れておきましょう。
品種ごとの価格目安
耳たれうさぎの価格は、品種や毛色、血統、月齢、販売店によって大きく幅があります。同じ品種でも、時期や地域、個体の状態によって価格が異なるため、あくまで参考程度にお考えください。
ホーランドロップは流通量が多く、比較的手に入りやすい品種ですが、価格は数万円程度から、珍しい毛色や血統書付きの個体ではそれ以上になることもあります。
イングリッシュロップやフレンチロップなどの大型品種は、流通量が少ないため価格は高めになる傾向があります。アメリカンファジーロップも、長毛種として人気がありますが、取り扱い店舗が限られています。
お迎えを検討する際は、複数のペットショップやうさぎ専門店を比較してみることをおすすめします。ブリーダーから直接購入する方法もあります。
初期費用と飼育費用
生体価格のほかに、ケージ、トイレ、食器、給水器、ハウスなどの飼育用品を揃える初期費用がかかります。用品の内容やグレードによりますが、数万円程度を見込んでおくとよいでしょう。
月々の飼育費用としては、牧草やペレットなどのエサ代、トイレ砂代、電気代(温度管理)などがかかります。医療費も視野に入れておくことが大切で、特にロップイヤーは耳のトラブルが起きやすいため、定期的な健康チェックや治療費の備えも考慮しておきましょう。
まとめ
耳たれうさぎ(ロップイヤー)について振り返ると、ホーランドロップ、イングリッシュロップ、フレンチロップ、アメリカンファジーロップ、ミニロップなど、さまざまな品種があることがわかりました。中でもホーランドロップは小柄で穏やかな性格の傾向から、初めてうさぎを飼う方にも人気があります。
ロップイヤーは人懐っこく甘えん坊な傾向のある個体が多く、飼い主さんとのスキンシップを楽しめる存在です。ただし、垂れ耳の構造上、耳の中が蒸れやすく外耳炎などのトラブルが起きやすいという特徴があります。立ち耳のうさぎとは異なり、定期的な耳のチェックが欠かせません。異常を感じたら、自己判断で対処しようとせず、早めに動物病院を受診しましょう。