ハムスターを飼っていると、「牛乳を飲ませてもいいのかな?」と気になることがありますよね。栄養たっぷりの牛乳を少しだけ分けてあげたい、そんな気持ちはよくわかります。
しかし結論から言うと、人間用の牛乳をハムスターに与えるのは避けるべきです。ハムスターは牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)をうまく消化できないため、下痢や消化不良を引き起こしてしまうおそれがあります。とくに体の小さなハムスターにとって、下痢は命にかかわることもある深刻な症状です。
この記事では、ハムスターに牛乳を与えてはいけない具体的な理由から、万が一飲んでしまったときの対処法、さらには安全に与えられる代替ミルクやおやつの選び方まで、まるごとお伝えしていきます。
ハムスターに牛乳を与えてはいけない理由

乳糖(ラクトース)を分解できない体のしくみ
ハムスターに牛乳を与えてはいけない最大の理由は、乳糖(ラクトース)を消化しにくい体質にあります。乳糖とは、牛乳をはじめとする哺乳類の乳に含まれる糖質のこと。この乳糖を消化するには、ラクターゼという消化酵素が必要です。
実は哺乳類のほとんどは、赤ちゃんのうちはラクターゼを豊富に分泌して母乳を消化できるのですが、離乳を終えるとラクターゼの分泌量が大きく減少するという特徴があります。これはハムスターも例外ではなく、成長したハムスターの体内では乳糖を十分に分解することができません。
分解されなかった乳糖は小腸で吸収されずに大腸へと流れ込み、腸内の浸透圧を上昇させます。その結果、腸内に水分が引き込まれて水っぽい下痢を引き起こしてしまうのです。さらに、大腸に到達した乳糖は腸内細菌によって発酵され、ガスが発生しておなかの張りや腹痛の原因にもなります。
下痢がハムスターにとって危険な理由
人間にとっての下痢は、多くの場合そこまで深刻な問題にはなりません。しかし体の小さいハムスターにとっては、下痢による脱水は急速に体力を奪います。
ハムスターが下痢を起こすと、短時間で体内の水分バランスが崩れてしまいます。おしりまわりが濡れた状態(いわゆる「ウェットテイル」)が続くと、衰弱が一気に進むこともあります。たかが下痢、と軽く考えず、ハムスターにとって下痢は体の大きさに対してダメージの大きいトラブルだということを覚えておきましょう。
牛乳の脂肪分や成分もハムスターには不向き
乳糖の問題だけでなく、牛乳そのものの成分構成もハムスターの体には合いません。牛乳は子牛の成長を目的とした栄養バランスになっており、ハムスターの母乳とは脂肪の含有量やたんぱく質の比率がまったく異なります。
脂肪分の高い牛乳を継続的に与えれば、肥満の原因にもなりかねません。ハムスターにはハムスターに合った栄養バランスの食事を与えることが大切です。
ハムスターの下痢は命に関わる。原因・症状・対処法から予防まで徹底解説
赤ちゃんハムスターや高齢ハムスターにミルクを与えたいとき

人間用の牛乳ではなく小動物用ミルクを選ぶ
母ハムスターが育児放棄をしてしまった場合や、母乳の量が足りていなさそうな場合、また高齢になって食欲が落ちてきたハムスターの栄養補給など、どうしてもミルクを与えたい場面は存在します。
そのようなときに選ぶべきは、ペットショップやホームセンターで販売されている小動物用の粉ミルクです。たとえば森乳サンワールドの小動物用ミルクは、乳糖を調整した設計になっており、ハムスターの消化器官に配慮した製品として知られています。ほかにもハムスター・リス用と明記されたミルクがいくつかのメーカーから販売されているので、購入時にはパッケージの対象動物を確認しましょう。
これらの小動物用ミルクは乳糖の含有量が調整されているため、人間用の牛乳と比べておなかへの負担が小さく設計されています。価格は数百円から購入できるものも多いので、いざという時のために一つ常備しておくと安心です。
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小動物用ミルクの正しい与え方
小動物用の粉ミルクを与える際は、いくつかのポイントを押さえておきましょう。
まず、ミルクを溶かすお湯の温度や濃度は、製品パッケージに記載されている作り方に従うのが基本です。冷たいまま与えるとハムスターのおなかを冷やして下痢を誘発する原因になるので、与える前に人肌程度のあたたかさに調整してからあげるようにしましょう。
赤ちゃんハムスターの場合は、シリンジ(注射器型の容器)を使って少量ずつ口元に運んであげるとスムーズに飲ませることができます。100円ショップのコスメコーナーで売っている小さなシリンジが使いやすいと評判です。また、動物病院で医療用のシリンジをもらえることもあるので相談してみるとよいでしょう。
高齢のハムスターであれば、ミルクにペレットを浸してふやかしたものを与えるのも効果的です。硬いペレットが食べにくくなったハムスターでも、ミルクでやわらかくなったペレットなら口にしやすく、栄養補給と水分摂取を同時にサポートできます。
なお、作ったミルクはその都度使い切るのが鉄則です。作り置きは雑菌が繁殖しやすく、とくに気温の高い季節は数時間で傷んでしまいます。飲み残しがあればすみやかに片付けましょう。
誤って牛乳を飲んでしまったときの対処法

少量であれば慌てなくて大丈夫
もしハムスターが飼い主の目を盗んでコップの牛乳を舐めてしまった、あるいは知らずに与えてしまったという場合、まず落ち着いてください。牛乳そのものに毒性があるわけではないため、ごく少量を口にした程度であれば、すぐに命にかかわるような事態にはなりにくいです。
ただし、そのあとの便の状態を注意深く観察することが大切です。普段と変わらない硬さのコロコロとした便が出ていれば、大きな心配はないと考えてよいでしょう。
下痢が続く場合は動物病院へ
牛乳を飲んだあとに水っぽい便が出たり、おしりまわりが濡れて汚れている状態が見られたりする場合は、できるだけ早く小動物を診察できる動物病院を受診しましょう。
ハムスターの下痢は、人間と違って「しばらく様子を見れば治るだろう」と放置すると危険なケースがあります。体が小さいぶん脱水の進行が速く、数時間から半日で急激に衰弱してしまうこともあります。
受診の際には、「いつ、どのくらいの量の牛乳を飲んだか」「下痢が始まったのはいつか」「普段の食事内容」などをメモしておくと、獣医師がスムーズに状況を把握できます。可能であれば便を少量持参すると、より適切な診断につながります。
ハムスターに安全な飲み物と栄養補給

基本の飲み物は「水」で十分
ハムスターの飲み物としてもっとも適しているのは、新鮮な水です。特別な理由がなければ水道水で問題ありません。
給水ボトルに入れた水は毎日新しいものに取り替え、ボトル自体も定期的に洗浄するようにしましょう。とくに夏場は水が傷みやすいので、1日2回の交換を心がけると安心です。ミネラルウォーターを与えたいという飼い主さんもいますが、ミネラル成分がハムスターの腎臓に負担をかける可能性もあるため、日常的には水道水で十分です。
お茶や紅茶はカフェインやタンニンが含まれているためNG、ジュース類も糖分が多すぎるため避けてください。また、ココアやコーヒーにはハムスターに有毒なテオブロミンやカフェインが含まれているので、絶対に与えてはいけません。
たんぱく質補給は食事から
牛乳で栄養をつけてあげたい、と考える飼い主さんの多くは、たんぱく質やカルシウムの補給を意図していることが多いのではないでしょうか。しかし、これらの栄養素はわざわざ牛乳に頼らなくても、日常の食事から十分に摂取できます。
ハムスターの主食であるペレットには、必要な栄養素がバランスよく配合されています。加えて、動物性たんぱく質の補助としてゆで卵の白身、ペット用の煮干し、ミルワーム、ペット用チーズなどを少量おやつとして与えることで、たんぱく質やカルシウムを効率的に補えます。
とくに妊娠・授乳中の母ハムスターや成長期の若いハムスターには、たんぱく質を少し多めに摂らせてあげたい時期ですが、その場合でも牛乳ではなく小動物用ミルクやゆで卵の白身を選ぶのが安全な方法です。
まとめ
ハムスターに人間用の牛乳を与えるのは、乳糖をうまく消化できず下痢を起こすリスクがあるため避けるべきです。ハムスターの体は離乳後にラクターゼの分泌が減少し、牛乳に含まれる乳糖を十分に分解できなくなっています。体の小さなハムスターにとって、下痢は脱水や衰弱を招く深刻なトラブルです。
万が一、牛乳を飲んでしまった場合も、少量であれば慌てる必要はありません。ただし便の状態をしっかり観察し、下痢が見られた場合はすみやかに動物病院を受診してください。
ハムスターの基本的な飲み物は新鮮な水で十分ですし、たんぱく質やカルシウムの補給はペレットやゆで卵の白身などで対応できます。安全な選択肢を知っておくことが、ハムスターの健やかな暮らしを支える第一歩になるはずです。