ハムスターを飼い始めると、「かじり木って本当に必要なの?」と疑問に思う方は少なくありません。ペットショップで購入をすすめられたものの、そもそもどんな役割があるのか、どれを選べばいいのかがわからないまま迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、かじり木はハムスターの歯の健康とストレスケアの両面で役立つアイテムです。必須かどうかは飼育環境にもよりますが、用意しておいて損はありません。
この記事では、かじり木がどんな役割を果たすのか、どんな種類があるのか、そして選び方のコツやかじってくれないときの対処法まで、まとめて解説していきます。これからかじり木を導入しようと考えている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
ハムスターにかじり木は「あったほうがいい」

まず気になるのは、「かじり木って絶対に必要なもの?」という点ですよね。ここでは、かじり木がハムスターにとってどんな役割を果たすのかを整理していきます。
歯の伸びすぎを防ぐ効果がある
ハムスターをはじめとするげっ歯類の前歯(切歯)は、一生伸び続けるという特徴を持っています。自然界では硬い木の実や植物をかじることで自然と歯がすり減っていきますが、ペットとして飼育されているハムスターは、個体差や食事内容によっては歯の摩耗が十分でないことがあります。
歯が伸びすぎてしまうと、上下の歯がうまくかみ合わなくなる「不正咬合(ふせいこうごう)」という状態になることがあります。不正咬合になると、食事がうまくとれなくなり、体重が落ちて衰弱してしまうことも。動物病院で歯を切る処置を受けることもできますが、ハムスターにとっては負担がかかるため、できるだけ日頃からケアしておきたいところです。
かじり木を与えておくことで、ハムスターが自発的にかじって歯をすり減らすことができます。不正咬合の原因は遺伝や外傷などさまざまですが、かじれる素材を用意しておくことは歯の健康を助ける補助策として有用です。
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ストレス解消にも一役買っている
かじり木のもうひとつの役割が、ストレス解消です。ハムスターはもともとストレスに弱い動物で、ケージという限られた空間で暮らしていると、どうしてもフラストレーションがたまりやすくなります。
何かをかじるという行動は、ハムスターにとって本能的な欲求のひとつです。かじり木があれば、その欲求を安全に満たすことができ、精神的な安定にもつながります。回し車での運動と同じように、かじるという行為そのものがハムスターの生活の質を高めてくれると考えてよいでしょう。
ケージかじりの防止にもつながる
ハムスターを金網タイプのケージで飼育していると、「ケージをガリガリかじって困っている」という悩みを抱える飼い主さんも多いですよね。ケージかじりが続くと、歯が損傷したり、口周りをケガしてしまったりすることがあります。
かじり木をハムスターがよくかじる位置に設置しておくと、興味がケージからかじり木に移り、ケージかじりが軽減されることがあります。もちろん個体差はありますが、ケージかじりに悩んでいる方は試してみる価値があるでしょう。
かじり木がなくても大丈夫なケースもある
一方で、すべてのハムスターにかじり木が絶対に必要かというと、そうとも限りません。たとえば、ハードタイプのペレットを主食として与えている場合は、食事のなかである程度歯がすり減ることもあります。
また、木製の巣箱を使っている場合は、巣箱をかじることでかじり木の代わりになっていることもあります。ただし、食事だけで十分に歯が摩耗するかは個体差があるため、かじれる素材を別途用意しておいたほうが安心です。ストレス解消の面も考えると、ひとつはケージに入れておくのがよいでしょう。
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かじり木の種類と特徴を知ろう

ひとくちに「かじり木」といっても、実はさまざまなタイプがあります。それぞれの特徴を把握しておくと、ハムスターに合ったものを選びやすくなります。
小枝タイプ:はじめてのかじり木にぴったり
もっともオーソドックスなのが、細い枝状のかじり木です。小動物用として販売されている商品にはりんごの木や梨の木などさまざまな素材があり、それぞれ硬さや香りが異なります。
小枝タイプの魅力は、なんといっても手軽さです。ケージの中にポンと1本入れておくだけで、多くのハムスターが自然とかじり始めてくれます。細めの枝なら、ハムスターが前足で持ってかじる姿が見られることもあり、その光景はたまらなくかわいいものです。なお、庭木の枝などを自分で用意するのは、農薬や防腐剤が付着しているリスクがあるため避けたほうが無難です。必ず小動物用として販売されているものを選びましょう。
複数本入りで販売されていることが多いので、1本かじり終わったら次の1本を入れるというサイクルで使えるのも経済的です。かじり木を初めて試すという方には、まずこの小枝タイプから始めてみるのがおすすめです。
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取り付けタイプ:ケージかじり対策に効果的
ケージの金網や壁面に固定して使うタイプのかじり木です。ハムスターがよくケージをかじる場所にピンポイントで設置できるため、ケージかじりの対策として使い勝手がよいのが特徴です。
取り付けタイプはケージに固定されているため、転がったりケージの隅に押し込まれたりする心配がありません。スペースもほとんどとらないので、ケージ内を広く使いたい方にも向いています。
ただし、取り付け式はケージの種類や金網の間隔によっては固定できない場合があるので、購入前にサイズを確認しておくことが大切です。
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おもちゃ・ハウス兼用タイプ:一石二鳥で楽しめる
かじり木のなかには、おもちゃやハウスとしても使えるタイプのものがあります。たとえば、木をくり抜いたトンネル型のもの、キューブ型の中にボールが入っているもの、はしご型で曲げたりねじったりできるものなど、デザインのバリエーションが豊富です。
こうしたタイプは、ハムスターがかじるだけでなく、中に入って遊んだり隠れたりする楽しみもあるため、シンプルな小枝タイプに興味を示さなかったハムスターにも効果的なことがあります。サイズが大きめのものが多いぶん、かじっても壊れにくく、長期間使えるのもうれしいポイントです。
珍しいところでは、綿の木の実を使ったかじり木もあります。周りの殻をかじると中から綿が出てくる仕組みになっていて、ハムスターがその綿を引っ張り出して巣作りに使うことができます。かじる楽しみと巣作りの楽しみを同時に満たせるユニークなアイテムです。
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かじり木を選ぶときのポイント

種類がたくさんあるぶん、「結局どれを選べばいいの?」と悩んでしまいますよね。ここでは、かじり木を選ぶうえで意識しておきたいポイントを紹介します。
素材の安全性は最優先で考える
かじり木はハムスターが口に入れてかじるものなので、安全性は何よりも大切です。無着色であること、農薬が使用されていないことを確認しましょう。天然木を使用した商品であっても、着色料や保存料、添加物が含まれている場合があるので、パッケージの表記はしっかりチェックしておきたいところです。
また、使い続けているうちに先端がとがってきたり、中に入っている固定用の金具が露出したりすることがあります。こうした状態になると、ハムスターが口や体をケガしてしまう危険があるため、定期的に状態を確認して、傷んできたら新しいものに交換するようにしましょう。
ハムスターの体の大きさに合った太さを選ぶ
かじり木の太さは、ハムスターの体格に合わせるのが基本です。ジャンガリアンハムスターのような小型種には細めの枝が持ちやすく、ゴールデンハムスターのような大型種にはもう少し太さのあるものが適しています。
硬すぎるとすぐに飽きてしまうことがありますし、逆に柔らかすぎるとボロボロと崩れてしまい、かじる楽しさが半減してしまいます。小動物用として販売されている商品であれば、ハムスターに合った硬さに設計されているので、パッケージの対象動物をチェックして選ぶのがよいでしょう。
迷った場合は、細めの枝から試してみるのが無難です。細い枝のほうがハムスターの小さな口でもかじりやすく、受け入れてもらいやすい傾向があります。
好みは個体によってバラバラ
かじり木の好みは、ハムスターの個体差が大きい部分です。ある素材は大好きだけど別の素材には見向きもしない子もいれば、小枝タイプよりもおもちゃタイプのほうが気に入る子もいます。
「せっかく買ったのに全然かじってくれない…」という経験は、ハムスターを飼っていれば誰しも通る道です。最初から「この子に合うものを一発で見つけよう」と気負わず、いくつか試しながらお気に入りを探っていくくらいの気持ちで取り組むのがちょうどよいでしょう。
初めてかじり木を選ぶなら、複数の素材がミックスで入っている商品を選ぶと、どれが好みかを確かめやすくて便利です。
かじり木を使ってくれないときの対処法

「かじり木を入れてみたけど、まったく興味を示してくれない」というのは、わりとよくある話です。すぐに諦めてしまうのはもったいないので、いくつかの方法を試してみましょう。
置く場所を変えてみる
意外と見落としがちなのが、かじり木を置く場所です。ハムスターの動線から離れた場所に置いていると、そもそも存在に気づいていないこともあります。ハムスターがよく通る場所や、ケージをかじりがちな場所のそばに移動させてみると、ふとした拍子にかじり始めることがあります。
巣箱の入り口付近や、エサ入れのそばなど、ハムスターが日常的に立ち寄るポイントに置くのもひとつの方法です。
別の種類や素材を試してみる
先ほども触れたとおり、かじり木の好みは個体によってまったく違います。小枝タイプでダメなら取り付けタイプを、りんごの木でダメならヘチマやパパイヤの茎を、というように素材や形状を変えて試してみるのが効果的です。
おもちゃタイプの「ラタンボール(マンチボール)」は、ボール状の木の中にエサを入れられる仕組みになっていて、食べ物につられてかじり始めるハムスターもいます。通常のかじり木に興味がない子でも、こうした仕掛けのあるアイテムならハマってくれる可能性があります。
木製の巣箱やおもちゃで代用する
どうしてもかじり木単体に興味を示さない場合は、ケージ内のアイテムを木製のものに切り替えるという手もあります。たとえば木製の巣箱にすると、ハムスターが巣箱をかじることで自然と歯が削れ、かじり木の代わりになります。
木製の回し車というユニークなアイテムもあり、運動しながらかじることもできるので一石二鳥です。「かじり木そのものを与える」ことにこだわりすぎず、ハムスターの生活空間のなかに自然と"かじれるもの"がある環境を整えてあげる、という発想で考えると、選択肢が広がります。
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かじり木を使うときに気をつけたいこと
かじり木は便利なアイテムですが、与えっぱなしにしておけばいいというものでもありません。安全に使い続けるために、いくつかの注意点を押さえておきましょう。
先端がとがったら早めに交換する
ハムスターがかじり木を使い続けていると、かじられた部分が鋭くとがってくることがあります。このまま放置すると、ハムスターが口の中や頬袋を傷つけてしまう恐れがあるため、定期的にかじり木の状態を確認し、とがりが目立ってきたら新しいものに交換しましょう。
とくにおもちゃタイプやトンネルタイプのかじり木は、一部分だけ集中的にかじられることがあるため、ケージの掃除のタイミングで一緒にチェックする習慣をつけておくと安心です。
着色料・農薬が使われていないかを確認する
かじり木は口に入れるものだからこそ、無着色・無農薬の商品を選ぶのが基本です。ペットショップやオンラインショップで販売されている商品の多くは安全性に配慮されていますが、なかには見た目をよくするために着色されているものや、原材料の安全性が不明なものもあります。
信頼できるメーカーの商品を選ぶのはもちろんですが、パッケージに「天然木使用」「無着色」「農薬不使用」などの記載があるかどうかは確認しておきたいポイントです。また、香りの強い針葉樹(松や杉など)や樹脂が多い木材は、ハムスターの体に合わないことがあるため避けたほうが安心です。
歯のトラブルのサインを見逃さない
かじり木を用意していても、歯のトラブルが起きる可能性はゼロではありません。よだれが増えた、口元が濡れている、食べにくそうにしている、体重が減ってきたといった様子が見られたら、歯に問題が起きているサインかもしれません。自分で対処しようとせず、早めに動物病院を受診するようにしましょう。
まとめ
ハムスターのかじり木は、歯の伸びすぎを防ぐだけでなく、ストレス解消やケージかじりの防止にも役立つ、日々の暮らしを支えるアイテムです。
小枝タイプ、取り付けタイプ、おもちゃ兼用タイプ、おやつタイプと種類が豊富にあるので、飼っているハムスターの性格や好み、ケージの環境に合わせて選んであげましょう。最初からぴったりのものが見つかるとは限りませんが、いくつか試しながら「この子のお気に入り」を見つけていく過程も、ハムスターとの暮らしの楽しみのひとつです。
素材の安全性や交換のタイミングには気を配りつつ、ハムスターが安心してかじれる環境を整えてあげてください。かじり木をガリガリとかじっている姿を眺める時間は、飼い主にとってもきっと癒しのひとときになるはずです。