うさぎにほうれん草を食べさせてもよいのか、結論から言えば「少量なら与えられるが、日常的に選ぶ野菜としては向いていない」です。ほうれん草にはシュウ酸が多く含まれており、カルシウムと結合して尿路トラブルの一因になり得ます。特に尿路結石の既往がある個体は避けた方が安全です。
この記事では、ほうれん草に含まれる成分がうさぎの体にどう影響するのか、与える場合の量と頻度の目安について解説します。

うさぎにほうれん草を食べさせてもよいのか、結論から言えば「少量なら与えられるが、日常的に選ぶ野菜としては向いていない」です。ほうれん草にはシュウ酸が多く含まれており、カルシウムと結合して尿路トラブルの一因になり得ます。特に尿路結石の既往がある個体は避けた方が安全です。
この記事では、ほうれん草に含まれる成分がうさぎの体にどう影響するのか、与える場合の量と頻度の目安について解説します。


ほうれん草を日常の野菜に選ばない方がよい最大の理由は、シュウ酸の含有量が多い点にあります。ほうれん草は葉野菜の中でもシュウ酸が多い傾向があり、小松菜などと比べると含有量に大きな差があります。
シュウ酸は体内でカルシウムと結びつき、シュウ酸カルシウムという結晶を作ります。うさぎはカルシウムの代謝が独特な動物です。食事から摂取したカルシウムの多くを腸で吸収し、余分なカルシウムを尿から排出する仕組みを持っています。健康なうさぎの尿が白く濁って見えることがあるのは、この排出されたカルシウムが原因です。
こうした体質を持つうさぎがシュウ酸を多く摂取すると、尿中でシュウ酸カルシウムの結晶ができやすい条件が整います。結晶が大きくなると尿路結石へと発展し、排尿時の痛みや血尿、食欲の低下といった症状が現れます。結石の位置や大きさによっては外科手術が必要になるケースもあります。
シュウ酸がカルシウムと結合すると、本来体に利用されるはずだったカルシウムが使われにくくなります。成長期の若いうさぎや妊娠中のうさぎは、骨の形成や胎児の発育のためにカルシウムを多く必要とします。こうした時期にシュウ酸を多く含む食材を頻繁に与えると、カルシウム不足を招く可能性があります。
カルシウムが不足すると骨がもろくなり、ちょっとした段差からの着地で骨折するリスクが高まります。うさぎの骨は体重に対して軽く、犬や猫と比べて骨折しやすい構造です。食事からのカルシウム利用が妨げられる状態は、できるだけ避けたいところです。

シュウ酸のリスクがある一方で、ほうれん草自体は栄養価の高い葉野菜です。与え方を間違えなければ、少量で栄養補給に役立つ場面もあります。
ほうれん草にはビタミンAのもとになるβカロテンが豊富に含まれています。βカロテンは皮膚や粘膜の健康維持に関わる栄養素です。ほかにもビタミンCや鉄分を含んでいます。
ただし、うさぎは体内でビタミンCを合成できる動物です。人間のように食事から意識して摂取する必要はありません。また、βカロテンや鉄分は小松菜や大葉など他の葉野菜からも摂取できます。ほうれん草でなければ摂れない栄養素は特にありません。
日常の葉野菜はシュウ酸の少ない小松菜やリーフ系を選び、ほうれん草はあくまで「たまに少量」の位置づけにするのが実用的です。
飼育しているうさぎの中には、ほうれん草を好んで食べる個体がいます。葉が柔らかく水分を多く含むため、口当たりがよいのかもしれません。食欲が落ちている時期に少量だけ混ぜることで、他の野菜も一緒に食べ始めるきっかけになることがあります。
とはいえ、嗜好性が高いからといって頻繁に与えると、うさぎがほうれん草ばかりを選り好みするようになる場合があります。一度好みが偏ると他の野菜を受け入れにくくなることもあるため、与える頻度には注意が必要です。


ほうれん草は「絶対に与えてはいけない食材」ではありません。量と頻度を控えめにすれば、おやつ程度に与えることは可能です。ここでは具体的な目安を解説します。
体重1.5〜2.5kg程度の成うさぎの場合、1回に与える量はほうれん草の葉1〜2枚(約5〜10g)を上限の目安とするのが無難です。部位や株によってシュウ酸の含有量には差があるため、与えるならまずは葉の部分を少量から試しましょう。
初めてほうれん草を与える場合は、葉を半分程度からスタートします。食べた後の糞の状態や尿の色を24時間ほど観察し、下痢や極端に濃い尿が見られなければ、次回から少しずつ量を増やすことができます。
ほうれん草を与える頻度は控えめにし、月に数回程度を目安にしましょう。連日や毎週のように高頻度で与えると、シュウ酸の摂取量が増え、尿中で結晶ができやすい条件が整いやすくなります。あくまで「たまのお楽しみ」として位置づけるのが安全な付き合い方です。
同じ日にほうれん草以外のシュウ酸を含む食材を与えることも避けましょう。パセリなどもシュウ酸を多く含む野菜です。複数のシュウ酸含有野菜を同時に与えると、1回あたりの摂取量が想定を超えてしまいます。
なお、この頻度はあくまで一般的な目安です。個体の体質や持病の有無によって適切な量は変わるため、尿路疾患の既往がある場合や判断に迷う場合は獣医師に相談してください。
人間がほうれん草を食べるときは、下茹でしてシュウ酸を減らすのが一般的です。茹でることでシュウ酸の一部が水に溶け出すため、うさぎに与える場合もリスクをある程度下げられると考えられています。
ただし、茹でると水溶性のビタミンCやカリウムも一緒に流出します。また、うさぎは基本的に生の野菜を食べる動物であり、茹でた野菜の食感を嫌がる個体も少なくありません。茹でてから与える場合は水気を十分に切り、常温に戻してから少量を試すようにします。冷蔵庫から出した直後のものは避け、室温に戻してから与えましょう。

ほうれん草を含む野菜を与えた後にうさぎの体調が変化した場合は、早めの対応が回復の鍵を握ります。
ほうれん草を食べた後に以下のような変化が見られた場合は、体に合っていない可能性があります。
尿の色がいつもより濃いオレンジや赤みを帯びている場合、排尿時に体を丸めて痛がる様子がある場合、便が極端に小さくなったり数が減ったりしている場合です。これらの症状が1日以上続くようであれば、動物病院への相談を検討しましょう。
特に排尿の異常は尿路結石の初期症状である可能性があります。うさぎは痛みを隠す性質があるため、飼い主が気づいたときにはすでに症状が進行していることも珍しくありません。日頃からトイレの状態を観察する習慣をつけておくと、小さな変化に気づきやすくなります。
食欲がなくなり牧草にも口をつけない状態が12時間以上続く場合は、早急に動物病院を受診しましょう。うさぎは消化管の動きが止まる「うっ滞」という状態に陥ると、短時間で命に関わることがあります。「もう少し様子を見よう」と判断を先延ばしにするのが最もリスクの高い選択です。
幼齢・高齢のうさぎや持病のあるうさぎは、より短い時間でも状態が急変する場合があります。数時間の食欲不振でも受診を検討してください。
受診時には、いつ何をどれくらい食べたか、便や尿の状態がいつから変わったかを伝えられると、獣医師の診断がスムーズになります。スマートフォンで便や尿の写真を撮っておくのも有効な方法です。
うさぎにほうれん草を与えること自体は禁止ではありませんが、シュウ酸の含有量が多いため、日常的に与える野菜としては適していません。与える場合は葉の部分を1〜2枚、月に数回程度までを目安とし、体調の変化を観察しながら判断しましょう。
野菜の量や種類は個体差が大きいため、便や尿の状態を見ながら調整するのが実践的です。食事の選択に迷ったときや体調に不安を感じたときは、うさぎの診療に対応している動物病院に相談するのが最も確実な方法です。日々の観察と適切な食事管理が、うさぎとの穏やかな暮らしを支えてくれます。



