4月25日の「世界ペンギンの日」を記念して、すみだ水族館で開催された「The Penguin Passion Party!」が開催されました。その様子をレポートします。

すみだ水族館で「世界ペンギンの日」に特別イベント。トークショー&撮影会の様子をレポート
このイベントは、ペンギンを愛するファンを対象に開催された特別イベントで、プロの写真家と飼育スタッフによるトークセッション、オリジナルTシャツのデザイナーによるサイン会、そして閉館後のペンギンエリアでの特別撮影ワークショップが行われました。

「マゼランペンギンをもっと好きになって」
イベントは副館長の柿崎さんの挨拶から始まりました。柿崎さんは「ペンギンの魅力について、パッションを感じてもらい、より深く知ってもらおうという場を用意した」と述べ、「世界ペンギンの日はアデリーペンギンが南極基地に来たことから名付けられているが、すみだ水族館ではマゼランペンギンを飼育している。マゼランペンギンがどこに住んでいるか、どういう暮らしをしているかを知って、もっと好きになってもらえれば」と語りました。

続いてトークセッションには、すみだ水族館の海獣担当の高嶋悠加里さんと、プロ写真家の篠田岬輝さんが登壇しました。
パタゴニアでのマゼランペンギンたちの生態とは?
高島さんは昨年、マゼランペンギンの世界的な繁殖地であるアルゼンチンを訪れた経験を語りました。
「アルゼンチンへの旅は、13時間かけてニューヨークまで行って、トランジットに6時間、さらに13時間かけて到着。アルゼンチン国内でも2時間飛行機に乗り、現地にたどり着くまでに32時間ほどかかった」と、その遠さを強調。現地の環境については、「気温は24度程度だが、朝晩は8度ほどに下がる。水温は亜南極の海流が流れているため12度ほどで冷たかった。パタゴニアと言われるだけあって風がすごく強く、踏ん張っていないと飛ばされるほど」と説明しました。

高島さんが特に興味深かったのは、ペンギンたちが作る巣についてでした。「本や動画では穴を掘って巣を作ると勉強したが、実際には既存の穴を利用していた。毎年同じ巣に戻ってきていて、豪華な家もあれば、屋根だけの家、屋根すらない家もあり、様々だった」と驚いたことを写真と一緒に紹介しました。

また、同行した研究者から聞いた話として、「19年間同じペアで同じ場所に帰ってきているペンギンがいる」というエピソードも。「水族館では絆が強いのでずっと一緒にいるのは見てきたが、野生下でも半年毎に離れるのに毎年一緒に帰ってくるのはすごい」と感動を語りました。
子育てについては、「意外とオープンで、親がいない巣もあった。警戒心が少なく、真上から写真も撮れた。雛の声はとても小さく高いが、風が強い中でも耳を立てなくてもいいほど、あちこちから聞こえていて幸せだった」と報告しました。
プロ写真家・篠田さんのフォークランド島でのペンギン撮影
篠田さんは、同じマゼランペンギンが生息するフォークランド島での撮影体験を共有しました。
「フォークランドはアルゼンチンの右下にある島で、イギリス領。アルゼンチンからさらに2日ほどかかる」と位置を説明。「フォークランドには5種類のペンギン(ジェンツー、マゼラン、キング、ミナミイワトビ、マカロニ)が生息している」と紹介しました。

滞在環境については、「島に泊まる時は、羊を飼うための家が1件だけあり、そこを借りて滞在している。ジェネレーターで電気を起こし、冷蔵庫もある。朝起きるとペンギンたちが家の周りに集まっている」とのこと。
篠田さんによれば、フォークランドのマゼランペンギンはアルゼンチンのものと違って警戒心が強いといいます。「雛をこんな感じで出してくれることはほとんどない。雛はずっと穴の中にいる。雛がある程度大きくならないと巣から出てこない」と違いを説明しました。

また、フォークランドでは他の動物との共存も見られるそうです。「ジェンツーペンギンと他のペンギンが一緒にいたり、羊やゾウアザラシ、馬などと隣り合わせに暮らしている。お互い気にせず生きていて、不思議な光景」と話しました。

ちなみに巣作りについては、「フォークランドでは土壌が柔らかいため、ペンギンが後ろ足で砂を掘り上げて巣を作る。アルゼンチンより深めの巣を作る傾向がある」と指摘をしました。
カズ・オオモリさんによる特別デザインTシャツ
イベント参加者には、ディズニー&マーベルスタジオ公認アーティストのカズ・オオモリさんがデザインしたオリジナルTシャツが配られました。カズさんは自身のデザインについて次のように説明しました。
「マゼランペンギンをヒーロー化してみるとどうなのかというアイデアから始めました。ペンギンは可愛いという図形が多いじゃないですか。でも水中では飛んでいるように見えるので、スピード感のある動きをするというところから着想を得ました。いろんな個性あるマゼランペンギンがいるんじゃないかと思い、5匹のチームというイメージでデザインしています。マゼランアベンジャーズみたいな感じです」


抽選で選ばれた5名にはカズさんによる直筆のイラスト付きサインが施されました。
ペンギンファンからの質疑応答
トークセッションの合間には、参加者からの質問も多く寄せられました。
ある参加者が「どの種類のペンギンが一番気に入っていますか?」と質問すると、篠田さんは「ジェンツーですね。マゼランもめちゃめちゃ可愛いんですけど、ジェンツーの方が見ていて動きに特徴があったりして、性格がわかりやすい」と回答。高島さんも「マゼランが一番綺麗で可愛いなと思うんですが、ジェンツーは歩き方が可愛いですよね」と共感して答えました。

続けて「ペンギンの表情を見分けられるか?」という質問があると、高島さんは「目が割と丸いと思うんですけど、それが吊り上がるという感じがあるので、多分いろんなペンギンを見比べると多分わかるかと思います」と説明。篠田さんも「野生下だと他のペンギンとの争いがめちゃめちゃあったりするんで、そういう時は頭を下げて威嚇というか、下から睨み上げることをするんですけど、そういうのはすごくわかりやすい」と補足しました。

別の参加者からは「ペンギンを見て、今どんなことを考えているのかわかりますか?」という質問も。高島さんは「わかったらいいなって毎日思うんですけど…嬉しい時とか怒ってる時はわかりますけど、悲しいか楽しいかはわからないです」と率直に答えました。そして、「うちで言うと、アロエが腹ばいで寝ながら、あのフリッパー(翼)をパタパタってするので、夢を見てるのかなとか勝手に思うことはあります」と愛情を込めて語りました。

プロカメラマンが語る「ペンギン撮影のコツ」
イベントの最後には、篠田さんによるペンギン撮影のコツが伝授されました。
「ペンギンのパーツをクローズアップしてみるというのがひとつ。ペンギンのどこを切り取っても可愛いですが、例えば足裏や羽の質感、目のクローズアップなど、部分に注目すると面白い写真が撮れます」

また、「前景と背景に気を付ける」というアドバイスもありました。「ペンギンを撮るときってペンギンのことだけを見がちですが、前に何を入れるかと、後ろがどんな感じになっているのかを意識しながら撮ると、ペンギンが引き立ちます。手前にぼかしたペンギンを入れ、奥にもペンギンを配置するとペンギンのレイヤー構造ができて綺麗に撮れます」と紹介。
また、すみだ水族館の照明の特徴に触れた上で、「ここは暗いので、入ってくる光で遊ぶといい写真が撮れます」とアドバイスしました。
イベント終了後、参加者たちは閉館後のペンギンエリアで、篠田さんのアドバイスを参考にしながら撮影を楽しみました。
ペンギン撮影の様子と編集部による作例









すみだ水族館の特別なイベントは、「世界ペンギンの日」にふさわしい、ペンギンへの理解と愛情を深める貴重な機会となりました。
記事の執筆者
- Minima編集部
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