「うちのうさぎがいつもと違ううんちをしている」「下痢っぽいけど様子を見ていて大丈夫かな」と心配になっている飼い主さんも多いのではないでしょうか。うさぎのうんちは健康のバロメーターとも言われており、いつもと違う状態を見つけると不安になりますよね。
結論からお伝えすると、水状・泥状で形のない便や、食欲低下・元気消失を伴う場合は緊急性が高く、早急に動物病院を受診する必要があります。一方で、うさぎの場合は盲腸便の食べ残しが「下痢に見える」ケースも多いため、便の形と全身状態をあわせて判断することが大切です。迷ったら便を持参して動物病院で確認してもらいましょう。
この記事では、うさぎの下痢の原因や症状、盲腸便との見分け方、動物病院を受診するまでの応急処置、そして予防法について詳しくお伝えしていきます。
うさぎのうんちは2種類ある

うさぎの下痢について理解するためには、まずうさぎのうんちの種類を知っておく必要があります。うさぎは「硬便」と「盲腸便」という2種類のうんちをします。
硬便は、多くの飼い主さんがよく目にするコロコロとした丸い形のうんちです。乾燥していて、トイレやケージの中に転がっているのを見かけることが多いでしょう。この硬便は、体内に吸収されなかった不要なものを排出する役割を持っています。
一方、盲腸便は柔らかくブドウの房のような形をしたうんちです。盲腸で発酵させて作られる栄養豊富なうんちで、ビタミンやタンパク質、微生物がたくさん含まれています。うさぎにとっては生きていく上で欠かせない栄養源であり、通常は肛門から直接口をつけて食べてしまうため、飼い主さんが目にする機会はあまりありません。
盲腸便を見たことがない飼い主さんもいるかもしれませんが、それは正常な状態です。むしろ、盲腸便がケージ内に落ちていることが増えた場合は、何らかの異常があるサインかもしれません。
下痢と盲腸便の見分け方

うさぎの柔らかいうんちを見つけたとき、それが下痢なのか盲腸便なのかを見分けることは、飼い主さんにとって悩ましい問題です。実際、盲腸便を下痢と間違えてしまうケースは少なくありません。うさぎで「真の下痢(完全に水様で形がない便)」自体は比較的少なく、盲腸便の異常が「下痢っぽく見える」ケースが多いという点を知っておくと、適切な判断がしやすくなります。
下痢の特徴
真の下痢は水状や泥状で、形を保っていないうんちです。トロッとしていたり、粘液が混じったゼリー状だったりすることもあります。粘液が混じった「ゼリー状」の便は、腸粘膜の炎症が強いサインとして扱われることがあり、注意が必要です。色はこげ茶色、赤色、灰色などで、赤色の場合は血が混じっている可能性があります。
真の下痢をしているときは、通常の硬便がほとんど出なくなるという特徴があります。また、下痢は独特の不快なにおいがするため、うさぎ自身も食べようとしません。真の下痢をしているうさぎは一般的に全身状態が悪く、脱水や腹痛を感じていることが多いです。
盲腸便の特徴
盲腸便は柔らかいものの、小さな粒がブドウの房のように連なった形状をしています。表面はツヤツヤの粘液で覆われており、下痢とは異なる形をしています。
盲腸便には独特の発酵臭があり、牧場のようなムワッとしたにおいがします。通常はうさぎが食べてしまうため目にすることは少ないですが、肥満や関節の痛み、歯の問題などがあると食べられずに残ってしまうことがあります。盲腸便が落ちている場合でも、通常の硬便は普段通り排泄されているのが特徴です。
見分けるポイント
見分けが難しい場合は、通常の硬便も一緒に出ているかどうかを確認してみましょう。盲腸便が落ちているだけの場合は、通常の硬便も普段通り排泄されています。一方、真の下痢の場合は硬便がほとんど出なくなります。
また、うさぎの全身状態も参考になります。真の下痢をしているうさぎは、脱水や腹痛を感じていることが多く、元気がなかったり、背中を丸めてうずくまっていたりすることがあります。盲腸便の食べ残しだけの場合は、元気や食欲が保たれていることが多いです。
判断に迷う場合は、うんちを持参して動物病院で確認してもらうのが確実です。盲腸便の異常であっても原因の精査は必要ですが、真の下痢や全身症状を伴う場合に比べると緊急度は異なることがあります。
うさぎが下痢をする原因

うさぎが下痢をする原因はさまざまで、食事の問題から感染症まで多岐にわたります。原因によって対処法も異なるため、動物病院で正確な診断を受けることが大切です。
食事内容の問題
うさぎの下痢や盲腸便の異常で最も多い原因のひとつが食事内容の問題です。特に、繊維質が不足している場合に消化器トラブルを起こしやすくなります。
うさぎの消化器官は牧草などの繊維質を消化するように作られています。牧草をあまり食べていない、あるいは食べていてもごく少量という場合は、腸内環境が乱れやすくなります。また、野菜の与えすぎ、糖質や炭水化物の多いおやつ(パンやバナナ、クッキータイプのおやつなど)の与えすぎも原因となることがあります。
フード自体に問題がある場合もあります。添加物が多いフードや、保存状態が悪くカビが発生しているフードは、お腹の調子を崩す原因になりえます。
寄生虫感染
寄生虫もうさぎの下痢の原因となります。特に注意が必要なのは、コクシジウムやジアルジアといった原虫です。
コクシジウムは子うさぎに多く発生し、感染すると脱水症状を起こして命に関わることもあります。お迎えして間もない子うさぎが下痢をしていたら、すぐに動物病院で検便をしてもらいましょう。体力が低下する前に駆虫薬を投与すれば、多くの場合は回復が期待できます。
大人のうさぎでも、ストレスや体調不良で免疫力が下がると寄生虫に感染することがあります。
腸毒素血症(クロストリジウム感染症)
腸毒素血症は、うさぎにとって命に関わる怖い病気です。腸内のクロストリジウムという細菌が異常増殖し、毒素を発生させることで起こります。
発症すると、粘液が混じったゼリー状の便や水っぽい泥のようなうんちが出ます。腹痛からエサを食べなくなったり、脱水や発熱を起こしたりすることもあります。特に生後2ヶ月前後の離乳期の子うさぎに多く発生しますが、大人のうさぎでも高カロリーの食事を与えられている場合などに発症することがあります。
重症例では半日〜1日単位で急変し、48時間以内に命に関わることもあります。夜は元気でも朝には急変しているということもあるため、ゼリー状や泥状のうんちを見つけたら、様子を見ずにすぐ動物病院を受診してください。
歯の問題(不正咬合など)
うさぎの消化器トラブルの原因として意外と多いのが歯の問題です。うさぎの歯は一生伸び続けるため、牧草などの繊維質をしっかり噛むことで自然にすり減っていきます。しかし、柔らかい食事ばかり与えていると歯がすり減らず、伸びすぎてしまいます。
歯の痛みで食欲が落ち、牧草を噛めなくなると繊維不足になり、腸内環境が崩れて盲腸便の異常や消化器トラブルにつながることがあります。食べにくそうにしている、顎の周りが汚れている、よだれが出ているといった様子があれば、歯の問題を疑いましょう。
うっ滞(消化管停滞)
うっ滞は、胃腸の動きが低下してしまう状態です。ストレスや繊維不足、毛づくろいで飲み込んだ毛がお腹にたまることなどが原因となります。
うっ滞を起こすと、盲腸内の善玉菌が死滅し、悪玉菌が増えてしまいます。その結果、盲腸便が異常に作られて食べきれなくなったり、重度の場合は真の下痢を起こしたりすることがあります。真の下痢の場合は、においがきつく、うさぎの状態もかなり悪くなっていることが多いです。
ストレス
うさぎは繊細な動物で、ストレスがお腹の調子に影響しやすいという特徴があります。大きな音、不衛生な環境、慣れない場所への移動、長時間のコミュニケーションなどがストレスの原因となり、消化器トラブルを引き起こすことがあります。
環境の変化があった後に下痢や盲腸便の異常が見られた場合は、ストレスが関係しているかもしれません。
すぐに動物病院を受診すべきサイン

うさぎの消化器トラブルは放置すると命に関わる可能性があるため、できるだけ早く動物病院を受診することが大切です。特に以下のようなサインが見られたら、緊急性が高いと考えてください。
水状・泥状・ゼリー状のうんち
水状、泥状、粘液が混じったゼリー状のうんちが出ている場合は、腸毒素血症などの深刻な病気の可能性があります。粘液便は腸粘膜の炎症が強いサインとして扱われることがあります。夜間や休日であっても、早急に動物病院を受診することをおすすめします。
血が混じっているうんち
うんちに血が混じっている場合は、腸内で出血が起きている可能性があります。赤い鮮血が付着している場合も、黒いタール状の便が出ている場合も、すぐに動物病院で診てもらいましょう。
食欲がない、エサを食べない
下痢をしているうさぎがエサを食べなくなった場合は、脱水や栄養失調のリスクが高まります。特に牧草や生野菜を全く食べられない状態が12時間以上続いている場合は、すぐに動物病院に連絡してください。
ぐったりしている、動かない
うさぎがぐったりしている、背中を丸めてうずくまっている、歯ぎしりをしているといった様子が見られたら、腹痛やショック症状を起こしている可能性があります。重篤な状態になると体温が下がることもあるため、緊急で処置が必要です。
子うさぎの下痢
子うさぎの下痢は特に危険です。大人のうさぎに比べて体力がなく、脱水症状からあっという間に重篤な状態に陥ることがあります。お迎えして間もない子うさぎがうんちの異常を示したら、様子を見ずにすぐ動物病院を受診しましょう。
動物病院に行くまでの応急処置

動物病院を受診するまでの間に、飼い主さんができる応急処置があります。ただし、これらはあくまで応急処置であり、できるだけ早く動物病院で診てもらうことが最優先です。
お尻を清潔に保つ
下痢をしているうさぎは、お尻周りの毛が汚れやすくなります。うんちがついたままにしておくと、皮膚炎などの原因になることがあります。柔らかい布やペット用のウェットシートで優しく汚れを拭き取り、清潔に保ってあげましょう。
ただし、うさぎは水に濡れることを嫌うことが多いため、お風呂に入れたり、全身を洗ったりすることは避けてください。お尻周りだけを部分的に拭き取る程度にとどめましょう。
体を冷やさないようにする
お尻が濡れていると体が冷えやすくなります。特に冬場は体温が下がりやすいため、ペットヒーターや湯たんぽ(直接当たらないようにタオルで包む)などを使って、適度に温かい環境を整えてあげましょう。
ケージ内を清潔に保つ
下痢で汚れたケージ内は、細菌が繁殖しやすい環境になります。ペットシーツやタオルを敷いてこまめに取り換え、清潔な状態を保ちましょう。不衛生な環境は体調をさらに悪化させる原因になります。
水分補給について
下痢が続くと脱水状態になることがあります。飲める場合は新鮮な水を切らさないようにしましょう。ただし、飲まない・食べない場合は自宅で無理に飲ませず、早急に動物病院を受診してください。経口補水やシリンジ給水は誤嚥などのリスクもあるため、獣医師の指示に従うことをおすすめします。
うんちを持参する準備
動物病院に行く際は、できるだけ新しいうんちを持参しましょう。うんちを持っていくことで、検便検査がスムーズに行えます。ビニール袋やラップに包んで持っていくとよいでしょう。
うさぎの下痢を予防するポイント

下痢は予防できるものばかりではありませんが、日頃の飼育管理で発症リスクを下げることができます。
牧草をたっぷり与える
繊維質が豊富な牧草を主食にすることが、消化器トラブル予防の基本です。チモシーなどのイネ科牧草を食べ放題にして、たっぷり与えましょう。牧草をしっかり食べているうさぎは、腸内環境が安定しやすく、うっ滞や腸毒素血症のリスクも低くなります。
ペレットは年齢や体格、牧草の摂取量で適量が変わります。製品の推奨量や獣医師の指示を参考にし、牧草中心の比率が崩れないよう調整しましょう。
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甘いおやつを控える
果物やクッキータイプのおやつ、パンなどの炭水化物が多い食べ物は控えめにしましょう。うさぎが喜んで食べるものが、必ずしも体に良いものとは限りません。甘いものの与えすぎは腸内細菌のバランスを崩し、腸毒素血症の発症リスクを高める可能性があります。
ストレスを減らす
うさぎは繊細な動物なので、ストレスの少ない環境を整えることが大切です。十分な広さのケージを用意し、静かで温度変化の少ない場所に置きましょう。室温は18〜25℃程度、湿度は50〜60%程度が目安とされていますが、個体差や季節によって調整が必要です。
急な環境の変化や、長時間のコミュニケーションも避けた方がよいでしょう。うさぎのペースを尊重してあげることが、ストレス軽減につながります。
清潔な環境を保つ
ケージ内をこまめに掃除し、清潔な環境を保つことも予防につながります。排泄物が溜まった不衛生な環境は、細菌や寄生虫の繁殖を招きます。
また、フードの保存状態にも注意しましょう。ペレットは短期間で使い切れる量を購入し、開封後は適切に保存することで、カビの発生や品質の劣化を防ぎやすくなります。
定期的な健康チェックをする
元気なうちからうさぎを診られる動物病院を見つけ、定期的に健康診断を受けることをおすすめします。体重の変化や歯の状態などを記録しておくと、万が一のときに参考になります。
また、日頃からうんちの状態を観察する習慣をつけておくと、異常にいち早く気づくことができます。
まとめ
うさぎの下痢について振り返ると、水状・泥状で形のない便や、食欲低下・元気消失を伴う場合は緊急性が高く、早急に動物病院を受診する必要があることがわかりました。一方で、盲腸便の食べ残しが「下痢に見える」ケースも多いため、便の形と全身状態をあわせて判断することが大切です。
下痢の原因としては、食事内容の問題、寄生虫感染、腸毒素血症、歯の問題、うっ滞、ストレスなどが挙げられます。特に腸毒素血症は重症例では半日〜1日単位で急変し、48時間以内に命に関わることもあるため、ゼリー状や泥状のうんち、食欲不振、元気消失を伴う場合は夜間や休日でも早急に動物病院を受診しましょう。