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チャームの国産牧草は「牧草を食べない」悩みに応える。牧草王子さんが語る、品質を高める“手作業”の裏側【教えて!あの商品のコダワリ#2】
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チャームの国産牧草は「牧草を食べない」悩みに応える。牧草王子さんが語る、品質を高める“手作業”の裏側【教えて!あの商品のコダワリ#2】

毎日使っている、あのお気に入りの飼育用品。毎日あげている、いつものご飯。手に取るたびに「便利だな」「可愛いな」と感じているけれど、どんな想いで作られたのか、意外と知らないことも多いのではないでしょうか。

小動物メディアMinimaの連載「教えて!あの商品のコダワリ」では、定番商品の開発ストーリーをメーカーの方に直接伺います。

開発の裏側にある試行錯誤、込められた想い、そして知られざる工夫まで。商品の「向こう側」にいる作り手の声を、じっくりとお届けしていきます。

第2回は、天然素材のこだわり牧草と小動物に優しい無添加おやつを販売しているチャーム小石川店×Leaf corprationが手がける国産牧草。「牧草王子」と、スタッフのつかどんさんが、自慢の国産牧草について語ってくれました。

小動物の飼い主の悩み「牧草を食べない」を解決したい

小動物の飼い主にとって、よくある悩みのひとつが「牧草(チモシー)を食べなくなる」ことではないでしょうか。歯の問題や不正咬合にも繋がりやすいため、牧草選びは飼育の要となっています。

「現在市場の主流は、アメリカ産を中心とした輸入牧草です。輸入牧草は現地で刈り取って天日干しした後、ロールにまとめて船で日本に運ばれてきます」と語る牧草王子。

しかし天日干しという方法には課題がありました。

「輸入牧草は現地で刈り取って天日干しした後、ロールにまとめて船で日本に運ばれてきます。天日干しという方法だと、その年の天候や生育度合いで品質にバラつきが出るんです。グルメな子だと、ロットによって『いつもと違う』と食べないこともあります」

また、通常の畑で機械刈り取りを行うため、混入物のリスクもあります。

「機械で刈り取るので、雑草や石、砂、虫なども一緒に入ってしまうことがあるんです」

こうした輸入牧草の課題を解決するため、チャームが選んだのは、土づくりからこだわり、栽培から収穫作業まで一貫して自分たちで行うという道でした。

品質を守るためのこだわり

自分たちでこだわって作る理由について、牧草王子はこう語ります。

「僕たちのこだわりは、まず畑づくりから種まきまで全てこだわりをもって、自分たちで管理し取り組んでいるということ。収穫作業は手作業でおこないます。機械の方がずっと簡単なんですけど、茶色い葉っぱ、雑草、虫や砂が入らないようにするため、手作業にこだわっています」

現在の畑の規模は31反(2025.10月現在)で、わかりやすくいえば東京ドームの半分ほどだそう。群馬県と長野県に畑を持ち、多様な牧草を栽培しているとのこと。さまざまな個体ごとの好みに対応するため、栽培品種や硬さ、乾燥方法にも工夫を凝らしています。

「小動物たちは、とにかくグルメな子が多いので。栽培の品種を多く取り揃えるのはもちろんですが、例えば穂が出る前に収穫するのか、穂が出た後に収穫するのかでも硬さに違いが出たりするんですね。世の中の小動物のために、様々な部分をこだわりながら収穫までやっています」

品質へのこだわりは、小動物たちの健康を第一に考えた結果の選択でした。

高品質な素材を、手に取りやすい価格で。

自社の畑だけでは供給しきれない多様な野菜を確保するため、牧草王子は農家に専用栽培を依頼する取り組みも行っています。

「自分たちの畑以外に、農家さんに作ってもらうこともあります。たとえばブロッコリーを、葉っぱを収穫する目的で栽培してもらっています。枝豆の葉っぱも同じ。普通は豆が価値がありますが、うちは葉っぱが欲しいんです(笑)。枝豆に至っては、約2年間交渉を続けてやっと栽培してもらえました」

チャーム小石川店では、USAYAMAビュッフェという厳選された約20種類ほどの天然素材のおやつをビュッフェ形式で選ぶことができます。どれも素晴らしい品質ですが、価格はお手頃。どういった企業努力があるのでしょうか。

「農家さんとのきっかけ作りとして、畑で出荷されない、規格外だったり育ちが悪かったりするものがあるんです。味は一緒なんだけど一般的に流通できないもの。そういう畑を見つけては、農家さんに『うちに卸してくれませんか』という交渉をしています」

形が不揃いだったり、サイズが基準に満たなかったりという理由で市場に出せない野菜。味や栄養価は変わらないのに廃棄される作物を買い取ることで、農家のロスを減らしながら、お客様が買い求めやすい価格での提供も実現しているとのこと。

「苺や桃などもですが、なるべくお客様が手に取りやすい価格で提供したくて。規格外の野菜は味は同じなのに一般流通できないから、農家さんにとってはロスになってしまう。それをうちで活用させてもらえれば、結果的にSDGsにもつながりますよね」

「国産牧草で日本一」に込められた想い

牧草王子の日常についても聞いてみました。

「自分たちの畑を管理するのはもちろん、さっきお話しした規格外の野菜を探して交渉したりとか。僕は、社内で『国産牧草で日本一を取る』と掲げているんです。ただ、その日本一というのは、数を売るとか売上を作るとか、そういう意味ではなくて。困っている飼い主さんや、より多くのウサギさんやモルモット等の草食性小動物さんたちに届けられたらいいなという思いを込めて、日本一を目指しています」

売上や販売数ではなく、困っている飼い主とその小動物たちに「届けること」——これが牧草王子の掲げる日本一の意味でした。

小石川店では6〜7種類の牧草を販売しており、それぞれ特性が異なります。実際に店舗を訪れる方について、つかどんさんが教えてくれました。

「牧草のことでご相談される方は本当に多くて、イタリアンライグラスしか食べないという悩みもすごく多いんです。お客様のお悩みをお聞きしながら、『これはどうですか?』とおすすめしています。好き嫌いもありますし、昨日まで食べていたのに急に食べなくなったとか、年を取って食べなくなったとか、相談内容はさまざまです」

店舗で飼育しているウサギにも個体差があるものの、国産牧草への反応は良好だといいます。

「お店にはいま6羽のウサギがいるんですが、やっぱり好き嫌いする子もいます。私たちも試行錯誤するんですけど、国産牧草であげると食べるという子もいますね。国産牧草は本当にお店の推しです。刈りたてをすぐに低温乾燥しているので、色や香り、食いつきが特段に違うというのが自慢なんです」

チャームが扱う国産牧草の強みは、この「刈りたてをすぐに低温乾燥する」という製法にあります。実際に牧草王子のいる畑を訪問したつかどんさんは、生産現場のスピード感に圧倒されたようです。

「一回私も実際に畑に行って、王子にアテンドされて刈り取り体験したんですけど……王子は私の100倍ぐらいのスピードで刈っていました(笑)。刈りたての牧草を、すぐに低温乾燥する機械のところに持っていくんです。一連の流れがすごく楽しかったです」

刈り取りから乾燥までのスピードこそが、品質の高さを支える秘訣でした。

ちなみに牧草王子は木曜日か金曜日にチャーム小石川店へ来ることが多いそうです。お客さんが「王子!」と声をかけながら駆け寄ってくるというエピソードからも、そのお人柄の良さが伝わってきます。店舗を訪れた際には、ぜひ牧草や小動物の飼育について相談してみてはいかがでしょうか。

ペレットやおやつまで。食事のトータルサポートが可能

チャームの取り組みは国産牧草だけにとどまりません。今年8月には、「国産牧草使用 イタリアンライグラス100%ペレット 150g」の販売も開始しました。つかどんさんが新商品の特徴を教えてくれました。

「国産のイタリアンライグラス100%で作っていて、もちろん小麦粉などは入っていません。素材や食いつきを追求して開発しています。通販では少し前から販売していましたが、小石川店でも本格的に販売を始めました。品質はとてもおすすめなので、ぜひ試してみてほしいです。ペレット、牧草、かじり木、おやつと、ご飯のことは全部揃うようになりました」

また、小石川店の人気商品といえば、HOME BAKE(チモシークッキー手作りキット)。混ぜて、伸ばして、焼くだけ。簡単3ステップで、お家でグルテンフリーの美味しいクッキーが作れる品物です。

「本当に混ぜるだけで簡単に作れるんです。この間もハムスターを飼っているお客さんが、お子さんと一緒に楽しく作っていました。作る過程も楽しいし、それを食べてくれる姿を見るのも楽しいですね。お水と混ぜて、トースターやオーブンで焼くだけで、焼いている間の甘い香りもワクワクします」

焼き上がるまでの香りも楽しめるこのキットは、親子で楽しむ飼い主も多いといいます。SNSでの反響も広がっているそうです。

「ウサギちゃんの型やハムちゃんの型で抜いたりしてくださる方もいて。誕生日用のスタンプで『Happy Birthday』と入れて、一緒に飾って写真をSNSにあげてくださる方もいます。私たちが作ったものより、よっぽどクオリティが高くて驚くこともあります(笑)」

手作りの楽しさと、ペットとの触れ合いを両立できる商品として、幅広い層の飼い主に支持されています。

小動物好きが集まる場所。チャーム小石川店へ

インタビューの最後、牧草王子はこんなメッセージを届けてくれました。

「ご飯のこと、牧草のこと……何でも相談していただければ、スタッフ一同、全力でサポートさせていただきます。北海道から九州まで。チャーム小石川店には、遠方からもたくさんのお客様が来てくださっています。小動物好きの皆さんが集まる、楽しい場所です。ぜひ遊びに来てください。お待ちしています!」

小動物とその飼い主の幸せを本気でサポートしたいという想いから生まれたチャームの国産牧草。手作業による丁寧な製法と、飼い主の悩みに寄り添う姿勢——その真摯な取り組みが、北は北海道から南は九州まで、多くの飼い主さんの心に届いています。

公式サイト:https://koishikawa.charm.co.jp/

記事の執筆者

Minima編集部

小動物のかわいさと、ペットとしてお迎えするときに知っておきたい情報を、Minima編集部がお届け。

おうちでの豊かでしあわせな暮らしをサポートします。

なお編集部のペットはクレステッドモルモット。実体験に基づいた、確かな情報をお伝えしていきます。

本記事に関するお問い合わせはこちらまでお願いいたします。

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