2024年はモルモットの1年だったと言えるかもしれません。
アニメ『PUI PUI モルカー』初の劇場版が公開。そして「足立区生物園」ではモルモットを大々的に取り上げた「もっともっとモルモットキャンペーン2」が2024年11月20日から2025年1月13日まで開催中です。
この企画では、推しのモルモットに投票できる「モルモル総選挙」も行われています。
2024年はモルモットの1年だったと言えるかもしれません。
アニメ『PUI PUI モルカー』初の劇場版が公開。そして「足立区生物園」ではモルモットを大々的に取り上げた「もっともっとモルモットキャンペーン2」が2024年11月20日から2025年1月13日まで開催中です。
この企画では、推しのモルモットに投票できる「モルモル総選挙」も行われています。
足立区生物園はなぜモルモットをこんなにもプッシュしているのでしょうか? 足立区生物園の副園長の大川さん、飼育担当の政岩さんに、展示に込めた願いについて聞いてきました。
ーーこの企画の始まりを教えてください。
大川さん:「モルモル総選挙」は2022年に初めて開催しました。その頃はコロナの影響もあったため、ふれあい体験を子どもたちに提供できない状態だったんです。そこで、ふれあいをしなくてもモルモットの魅力をどうにか伝えられないかと考え、始めたキャンペーンでした。
おかげさまで、とても好評をいただきました。ちょうど、アニメ『PUI PUI モルカー』のシーズン2が始まったころでしたね。
ーーやはり『モルカー』の反響が大きかったんですね。
大川さん:そうですね。ですが、盛り上がる一方で、モルモットの生き物としての魅力というより、キャラクターやぬいぐるみのような扱いになってしまった側面もあって。コロナ禍で、モルモットを飼う人が増えたことも話題になりました。そうすると、いつか飼育を放棄する方も出てくるのではないか…という懸念もありました。
動物園で働く私たちとしては、動物を最後まで看取ることの意味も伝えていかなければいけない。そんな思いを、キャンペーンに込めたんです。
政岩さん:モルモットって今まで認知度が低くて、「ウサギだ」「ハムスターだ」などと言われてしまうことが多い動物でした。でも『モルカー』が始まったら、ちゃんと「モルモットだ!」って言ってもらえることがすごく増えました。
ただ、個体ごとの個性とかをもっとしっかり見てもらいたくて。それで選挙で選んでもらう形ならば、しっかり見てもらえるんじゃないか。そう思って実施してみたら、大きな手応えがありました。やってよかったです。
ーーそういう背景があったんですね。ここまでモルモットを取り上げている動物園はあまり見かけないので、納得の理由でした。
政岩さん:ほかの動物園さんとかだと、ゾウやホワイトタイガー、キリンとか、花形の動物がいますよね。そういった動物園ではモルモットはサブキャラみたいな感じになっていますが、足立区生物園では主役級に扱えるので、より前面に押し出しています(笑)。
ーー生物園のモルモットたちは名前もユニークですよね。どなたが名付けをしているのですか?
政岩さん:飼育担当の私たちでつけています。家系図で関連づけることによって、覚えやすいようにしています。「麦茶」からは「アッサム」「ダージリン」「チャイ」が生まれて…というふうにすると、お客様も覚えやすいし、私たち自身も管理がしやすいので。興味を持ってもらうきっかけに名前も一役買っているかなと思います。
ーー家系同士で毛の色が継承される子とそうでない子がいるんですね。
政岩さん:毛の色は本当に生まれてからのお楽しみです。お父さんとお母さんがこの色だから、きっとこういう色の子が生まれてくるかな? と思ってても、裏切られることの方が結構多いので(笑)。
ーー意外でした。
政岩さん:例えば「きのこ」は三毛で、その旦那さんは真っ白のモルモットだったんです。それで生まれてきた子どもは真っ黒の子で…。本当に全然繋がりが見えなくて、毎回何色が出てくるかこちらも楽しみにしています。
ーー「もっともっとモルモットキャンペーン2」では、総選挙だけでなく展示も大々的にされています。
政岩さん:第1回は、本当に選挙だけの企画でした。今回の「もっともっとモルモットキャンペーン2」では、もっと踏み込んで、分類や行動の理由、歴史についてもまとめています。あと、最近は「アニマルウェルフェア」という動物福祉についても重要視しています。そこも来園者の方に知ってもらえるように、踏み込んだ内容でパネルを作りました。
ーー大事な企画だと思います。モルモットとのふれあいで発生するストレスチェックの展示は、とても興味深かったです。
政岩さん:これまで来園者の方から、たまに「ふれあいとか、不特定多数の人に触られることってストレスじゃないんですか?」などと聞かれることがあったんです。私たちとしても、アニマルウェルフェアの考えに則って科学的な裏付けがあったうえでふれあい体験を提供していく必要があります。
ちょうどここ足立区には、かなり早い時期からアニマルウェルフェアを学問として扱っている帝京科学大学があり、そこの先生から共同研究のご依頼があったため、協力していただきました。
調査の結論としては、モルモットが人間とのふれあいの中で感じるストレスは、群れの中でたまに起こるいざこざによるストレスと同じくらいのレベルでした。それも1時間ぐらい経てばストレスの物質は消失するので、ふれあいに出てる間ずっと緊張しているわけではないことが分かりました。
ーーたしかに研究結果としてでていると、ふれあいをする側としても安心できますね。生物園のモルモットたちは触られること自体には慣れているんですか?
政岩さん:幼いころから私たちの方で優しく接して、触られることを練習しています。ある程度慣れてきたら短時間だけふれあいデビューして、徐々に徐々に時間を伸ばしていって、本格的にデビューします。
もし、たまに嫌がる触り方をしてしまった時も、私たちの方ですぐにお声がけして安心できる触り方をお伝えしています。それが繰り返されていけば、モルモットたちも膝の上が嫌なことがある場所じゃないと覚えてくれるので。
毛繕いをしたり、寝ちゃったり、うんちを食べたりとか、モルモットが自分からしたいって思う行動をしているのは、快適な場所って思ってくれているということですよ、とお伝えしています。
ーーちなみに、ふれあいに慣れない子はいたりしますか?
政岩さん:慣れない子はいたことないですね。でも、モルモットそれぞれに性格はやっぱあります。なので、ふれあいを過度に嫌がる子はいないのですが、飽きっぽい子とかは自由に動いちゃったりすることもありますね。
あと、年を取れば取るほど、安定感が増す傾向もありますね。若い子の方が少し活発かもしれません。
ーー「もっともっとモルモットキャンペーン2」は、モルモット好きの方たちを中心にSNSで大人気ですね。
大川さん:そうですね。モル飼いさんたちの聖地として、オフ会も行われたりしています(笑)。
ーー実際に来園者数も変わるくらいではないですか?
大川さん:11月から始まったキャンペーンなんですけど、来園社数は昨年と比べてもだいぶ増えましたね。
政岩さん:あと、大人だけの来園者の方がすごく増えました。今まで、大人の人だけで来ることがあんまりなかったんです。ふれあいコーナーに来る方はお子さんとご家族だけ、みたいな印象で。でもそうしたSNS人気もあってか、大人のカップルや、お友達同士というのがすごく増えたと実感しています。
「XやInstagramを見て来ました」という方が多いですし、遠方からわざわざ生物園のために来てくださる方もいらっしゃって。本当にありがたいと思っています。
インタビュー後編では、モルモットとのふれあいにおける工夫について聞きました。
「もっともっとモルモットキャンペーン2」
日程:2024年11月20日~2025年1月13日
場所:東京都 足立区生物園
公式サイト:https://seibutuen.jp/special/mottomotto/guineapig.html
公式X:https://x.com/seibutuen_info
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