ハリネズミをお迎えしたいと考えている方や、すでに一緒に暮らしている方の中には「ハリネズミってどんな性格なの?」「うちの子は懐いてくれるのかな」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、ハリネズミは臆病で警戒心が強い動物ですが、個体によって性格は大きく異なり、時間をかけて信頼関係を築くことで飼い主に慣れてくれる子もたくさんいます。犬や猫のように積極的に甘えてくるタイプではありませんが、その控えめな距離感こそがハリネズミならではの魅力でもあります。
この記事では、ハリネズミの基本的な性格の特徴から、個体ごとの性格の違い、人に慣れるまでの過程、そして良好な関係を築くためのポイントまで、詳しくお伝えしていきます。
ハリネズミの基本的な性格とは

ハリネズミという動物を理解するうえで、まず知っておきたいのがその基本的な性質です。ペットとして人気が高まっているとはいえ、もともとは野生で暮らしていた動物ですから、犬や猫とはまったく異なる特性を持っています。
臆病で警戒心が強い
ハリネズミの性格を一言で表すなら、臆病で警戒心が強いという表現がもっとも適切でしょう。自然界では捕食される側の動物であるため、身を守るための防衛本能がとても発達しています。
初めて見るものや聞き慣れない音に対しては、丸まって身を守ろうとすることがあります。これはハリネズミにとってごく自然な反応であり、決して飼い主を嫌っているわけではありません。新しい環境に連れてこられた直後は特にこの反応が顕著で、数日から数週間は警戒モードが続くことも珍しくありません。
また、ハリネズミは聴覚と嗅覚が発達している一方で、視力はあまり良くありません。そのため、急に近づいたり上から手を出したりすると、何が起きたのかわからずパニックになってしまうこともあります。
単独行動を好む
ハリネズミは基本的に単独で行動する動物です。野生では群れを作らず、それぞれが自分のテリトリーを持って生活しています。この習性はペットとして飼育されているハリネズミにも受け継がれており、他のハリネズミと一緒のケージで飼うことは推奨されていません。
単独行動を好むということは、言い換えれば「一匹でいても寂しくない」ということでもあります。ただし、これは「放っておいてもいい」という意味ではなく、適度なコミュニケーションは信頼関係を築くうえで欠かせません。
夜行性である
ハリネズミは夜行性の動物であり、この習性は性格にも大きく影響しています。日中はほとんど眠っていて、活発に動き回るのは夕方から夜にかけての時間帯です。
昼間にハリネズミと触れ合おうとしても、眠くて機嫌が悪かったり、なかなか起きてくれなかったりすることがあります。これを「懐いていない」と誤解してしまう飼い主さんもいますが、単純に活動時間の違いによるものです。ハリネズミとの時間を楽しみたいなら、彼らが自然と起きてくる夕方以降に合わせるのがおすすめです。
ハリネズミの性格は個体差が大きい

「ハリネズミの性格」と一括りに言っても、実際には個体によって性格がまったく異なります。同じ種類、同じブリーダーから来た子でも、性格は十匹十色です。
①好奇心旺盛なタイプ
ハリネズミの中には、新しいものに対して積極的に近づいていく好奇心旺盛なタイプの子もいます。ケージの中に新しいおもちゃを入れるとすぐに匂いを嗅ぎに行ったり、部屋んぽ(部屋の中での散歩)のときにあちこち探検したがったりします。
このタイプのハリネズミは、比較的人にも慣れやすい傾向があります。飼い主の手にも興味を持って近づいてきてくれることが多く、手に乗せるのもスムーズに進みやすいでしょう。初めてハリネズミを飼う方にとっては、こうした性格の子との出会いがあると心強いかもしれません。
②慎重で臆病なタイプ
反対に、とても慎重で臆病なタイプのハリネズミもいます。ちょっとした物音にも敏感に反応し、すぐに体を丸めてしまう子です。人の気配を感じるだけで針を立てることもあり、最初のうちは「この子は絶対に慣れてくれないんじゃないか」と不安になることもあるでしょう。
しかし、こうした臆病なタイプの子でも、時間をかけてゆっくり接していけば、少しずつ心を開いてくれることがほとんどです。むしろ、最初は警戒心が強かった子が徐々に慣れてくれる過程は、飼い主にとってかけがえのない喜びになります。焦らず、その子のペースを尊重することが大切です。
③マイペースなタイプ
なかには、あまり周囲のことを気にしないマイペースな性格のハリネズミもいます。飼い主が近くにいてもいなくても、自分のペースで食事をしたり、回し車で運動したりしています。
このタイプの子は、良い意味で動じないので、飼育環境の多少の変化にもストレスを感じにくい傾向があります。一方で、積極的に飼い主に近づいてくることは少ないかもしれません。ただ、これは懐いていないということではなく、その子なりの距離感で飼い主を受け入れているのです。
ハリネズミは人に懐くのか

ハリネズミを飼いたいと考えている方が気になるポイントとして、「本当に懐いてくれるのか」という疑問があるでしょう。この点については、「懐く」という言葉の定義によって答えが変わってきます。
犬や猫のような「懐き方」は期待しない
正直にお伝えすると、ハリネズミは犬や猫のように飼い主に積極的に甘えてくる動物ではありません。名前を呼んで駆け寄ってきたり、帰宅時に喜んで出迎えてくれたりということは、基本的に期待しないほうがいいでしょう。
これはハリネズミが飼い主を認識していないということではなく、そもそもの習性としてスキンシップを求める行動が少ないのです。群れで暮らす動物と違い、単独行動を好むハリネズミにとっては、誰かにべったり甘えるという行動パターン自体が自然ではありません。
「慣れる」という形での信頼関係
ハリネズミと飼い主の関係は、「懐く」というより「慣れる」という表現のほうが適切かもしれません。時間をかけて接していくうちに、飼い主の匂いや声を覚え、「この人は危険ではない」と認識してくれるようになります。
慣れてきたハリネズミは、飼い主が近づいても針を立てなくなったり、手のひらの上でリラックスして眠ったりするようになります。なかには、飼い主の匂いを嗅いで安心したように体の力を抜く子もいます。こうした小さな変化こそが、ハリネズミとの信頼関係の証といえるでしょう。
慣れるまでにかかる時間
ハリネズミが飼い主に慣れるまでの期間は、個体差がとても大きいです。早い子であれば数週間で触れ合えるようになりますが、数ヶ月以上かかる子もいます。
大切なのは、他の子と比べないことです。SNSなどで「うちの子はすぐに慣れた」という投稿を見ると焦ってしまうかもしれませんが、慣れるスピードは性格によって千差万別。ゆっくりでも、着実に信頼関係を積み重ねていけばいいのです。
ハリネズミに慣れてもらうための4つのポイント

ハリネズミに慣れてもらうためには、いくつかのポイントを押さえておくと効果的です。焦らず、その子のペースに合わせながら、少しずつ距離を縮めていくことを心がけましょう。
①まずは環境に慣れさせる
お迎えしたばかりのハリネズミは、新しい環境に大きなストレスを感じています。最初の1週間ほどは、必要最低限のお世話以外はそっとしておくのが基本です。
早く仲良くなりたい気持ちはわかりますが、この時期に無理にハンドリングしようとすると、「この場所は怖い」「この人は危険だ」という印象を与えてしまいかねません。まずはケージの中で安心して過ごせるようになることが、信頼関係の第一歩です。
②匂いを覚えてもらう
ハリネズミは視力が弱い分、嗅覚がとても発達しています。飼い主を認識する際も、匂いが大きな手がかりになります。
効果的な方法として、飼い主が着ていた服の切れ端や、手で触ったフリースの布をケージの中に入れておくというものがあります。こうすることで、ハリネズミは飼い主の匂いを安全な環境の中で学習し、「この匂いの人は大丈夫」と覚えてくれるようになります。
③無理強いしない
ハリネズミが嫌がっているときに無理にハンドリングを続けると、信頼関係が崩れる原因になります。針を立てている、シューシューと威嚇している、体を丸めて動かないといったサインが見られたら、その日は無理をせずにそっとしておきましょう。
「今日はダメでも明日があるさ」くらいの気持ちで、長い目で見ることが大切です。良い日もあれば悪い日もある、それがハリネズミとの生活です。
④毎日短時間でも接する
慣れてもらうためには、毎日少しずつでも飼い主の存在を感じてもらうことが効果的です。最初は無理にハンドリングしなくても、ケージの近くで静かに過ごしたり、優しく声をかけたりするだけでも構いません。
ハリネズミが活動的になる夕方から夜にかけての時間帯に、数分でいいので一緒の空間で過ごす習慣をつけると、少しずつ飼い主の存在に慣れてくれるはずです。
ハリネズミとの上手な付き合い方

ハリネズミの性格を理解したうえで、お互いにとって心地よい関係を築いていくことが、長く一緒に暮らすための秘訣です。
距離感を大切にする
ハリネズミは、犬や猫のように常に一緒にいることを求める動物ではありません。適度な距離感を保つことが、ハリネズミにとっても飼い主にとっても、ストレスのない関係につながります。
毎日長時間触れ合う必要はありませんし、むしろハリネズミによってはそれがストレスになることもあります。その子の性格を見極めながら、ちょうどいい距離感を探っていきましょう。
小さな変化を喜ぶ
ハリネズミとの生活では、小さな変化に気づき、それを喜ぶことが大切です。針を立てる頻度が減った、手のひらの上で少しだけじっとしていられるようになった、近づいても逃げなくなった。そうした小さな進歩の積み重ねが、信頼関係を育んでいきます。
派手なリアクションを期待するのではなく、ハリネズミなりの表現を受け止められるようになると、一緒に暮らすことがもっと楽しくなるはずです。
その子の個性を受け入れる
すべてのハリネズミが人懐っこくなるわけではありませんし、それでいいのです。その子の個性を丸ごと受け入れることが、ハリネズミを飼ううえでもっとも大切な心構えかもしれません。
「こうなってほしい」という期待を押し付けるのではなく、目の前のハリネズミがどんな性格で、何を好み、何を嫌がるのかを観察し、その子に合った接し方を見つけていく。それこそが、ハリネズミとの暮らしの醍醐味といえるでしょう。
まとめ
ハリネズミの性格について、基本的な特徴から個体差、人との関係性の築き方まで詳しく見てきました。犬や猫のように積極的に甘えてくることはありませんが、時間をかけて信頼関係を築くことで、飼い主に「慣れて」くれるようになります。
ハリネズミとの暮らしは、劇的な変化よりも小さな進歩の積み重ねです。針を立てなくなった、手のひらでリラックスしてくれた、そんな些細な変化を喜びながら、お互いにとって心地よい距離感を見つけていってください。