チンチラは、ふわふわの毛並みと愛らしい仕草で人気のペットですが、適切な飼育環境と日々のケアが健康維持の鍵となります。これからチンチラを飼いたいと考えている方や、すでに飼い始めたばかりの方に向けて、チンチラが快適に暮らせる環境づくりと飼育方法を詳しくご紹介します。

チンチラの飼い方完全ガイド|初心者でも安心の飼育方法と必要な準備
チンチラを飼う前に知っておきたい基本情報

チンチラは南米アンデス山脈原産の夜行性の動物で、寿命は10〜20年と長生きします。体長は25〜35センチほどで、大きなしっぽが特徴的です。性格は臆病で繊細な一面がありますが、慣れてくると飼い主に懐き、手から餌を食べたり、肩に乗ったりすることもあります。
チンチラの最大の特徴は、1つの毛穴から60〜80本もの細い毛が生えていることです。この密度の高い毛は、標高の高い寒冷地での生活に適応した結果ですが、そのため暑さには弱く、温度管理が欠かせません。
飼育に必要な環境と準備するもの
ケージの選び方と設置場所
チンチラは活発に動き回る動物なので、高さ1メートル以上、幅と奥行きが60センチ以上のケージが理想的です。金網タイプのケージを選ぶ際は、チンチラが足を挟まないよう、網目の間隔が1.5センチ以下のものを選びましょう。
ケージの設置場所は、直射日光が当たらず、エアコンの風が直接当たらない場所を選びます。リビングなど家族が集まる場所に置くことで、チンチラも人に慣れやすくなりますが、テレビやスピーカーから離れた静かな場所に設置することが大切です。

必須の飼育用品
チンチラの飼育には以下の用品が必要です。
給水器は、ケージに取り付けるボトルタイプがおすすめです。水皿だと、チンチラが中に入って濡れてしまう可能性があります。
餌入れは、ひっくり返しにくい陶器製のものか、ケージに固定できるタイプを選びます。チンチラは餌を散らかしやすいので、深めの容器が適しています。
回し車は直径30センチ以上の大きさで、足が挟まらない構造のものを選びます。プラスチック製の一体型タイプが安全です。
砂浴び容器は、チンチラが体を清潔に保つために欠かせません。市販のチンチラ用砂浴び容器か、大きめのガラス製容器を用意します。
巣箱やステップも用意しましょう。チンチラは高い場所が好きなので、ケージ内に段差を作ってあげると喜びます。木製のものを選ぶ際は、防腐剤を使用していないものを選んでください。
温度と湿度の管理方法

チンチラにとって適温は15〜22度で、25度を超えると熱中症のリスクが高まります。夏場はエアコンを24時間稼働させ、室温を一定に保つ必要があります。冬場も、急激な温度変化を避けるため、適切に室温を調整しましょう。
湿度は30〜40%が理想的です。梅雨時期や夏場は除湿器などでの調整が欠かせません。温湿度計をケージの近くに設置し、常に確認できるようにしておきましょう。
食事の与え方と栄養管理
主食のペレット
チンチラの主食は専用のペレットです。成体のチンチラには、1日あたり体重の3〜5%程度を目安に与えます。ペレットは繊維質が豊富で、低カロリー・低脂肪のものを選びます。

牧草の重要性
チモシー(牧草)は常に食べ放題にしておきます。牧草は歯の伸びすぎを防ぎ、消化器官の健康維持に欠かせません。新鮮な牧草を毎日補充し、古くなったものは取り除きます。
おやつの与え方
レーズンやひまわりの種などのおやつをあげる場合は、週に2〜3回、少量だけ与えます。糖分や脂肪分が多いおやつの与えすぎは、肥満や消化器疾患の原因になります。ドライフルーツを与える場合は、砂糖不使用のものを選びましょう。
水分補給
新鮮な水を常に飲めるようにしておきます。水は毎日交換し、給水器も定期的に洗浄して清潔に保ちます。
日常のお世話とスキンシップ

砂浴びの頻度と方法
チンチラは水浴びではなく砂浴びで体を清潔に保ちます。週に2〜3回、15〜20分程度砂浴びをさせます。専用の砂を5センチほどの深さまで入れた容器をケージ内に置き、チンチラが自由に砂浴びできるようにします。砂浴び後は容器を取り出し、砂は週1回程度交換します。
ケージの掃除
毎日の掃除では、糞や食べ残しを取り除き、給水器と餌入れを洗います。週に1回は床材を全て交換し、ケージ全体を水拭きします。月に1回程度は、ケージを分解して丸洗いし、しっかり乾燥させてから組み立て直します。
スキンシップの取り方
チンチラとの信頼関係を築くには時間がかかります。最初はケージ越しに話しかけることから始め、徐々に手から餌を与えるようにします。チンチラが慣れてきたら、優しく撫でたり、抱っこしたりできるようになります。ただし、無理に触ろうとすると怖がってしまうので、チンチラのペースに合わせることが大切です。
健康管理と病気の予防

日々の健康チェック
毎日の観察で食欲、排泄、活動量をチェックします。糞の大きさや形、硬さに変化がないか確認し、食事量が急に減ったり、じっとしている時間が長くなったりした場合は、体調不良のサインかもしれません。
かかりやすい病気と対策
チンチラがかかりやすい病気には、不正咬合、消化器疾患、皮膚病などがあります。不正咬合は牧草不足が原因となることが多く、十分な牧草を与えることで予防できます。消化器疾患は、急な餌の変更や不適切な食事が原因となるため、食事管理を徹底します。
皮膚病は、砂浴び不足や湿度の高い環境で発生しやすくなります。定期的な砂浴びと適切な湿度管理で予防しましょう。

動物病院の選び方
チンチラを診察できる動物病院は限られているため、飼い始める前に近くの病院を探しておくことが大切です。エキゾチックアニマルに対応している病院や、小動物の診療経験が豊富な獣医師がいる病院を選びます。年に1回は健康診断を受け、早期発見・早期治療を心がけましょう。
チンチラを飼う際の注意点

脱走対策
チンチラはジャンプ力が高く、狭い隙間も通り抜けられるため、脱走には十分注意が必要です。ケージの扉はしっかりと施錠し、部屋で遊ばせる際は窓やドアを閉め、家具の隙間をふさいでおきます。
他のペットとの相性
チンチラは臆病な性格のため、犬や猫などの肉食動物と一緒に飼うのは避けたほうが良いでしょう。同じチンチラ同士でも、相性が合わない場合は別々のケージで飼育する必要があります。
長期不在時の対応
旅行などで家を空ける際は、ペットホテルやペットシッターを利用します。チンチラは環境の変化に敏感なので、できれば自宅でお世話をしてもらえるペットシッターがおすすめです。預ける際は、普段の食事内容や砂浴びの頻度など、詳しい飼育方法を伝えておきます。
まとめ
チンチラの飼い方で最も大切なのは、適切な温度管理と毎日の健康観察です。15〜21度の快適な温度を保ち、栄養バランスの取れた食事を与え、定期的な砂浴びで清潔を保つことで、チンチラは健康的に長生きできます。
最初は臆病で人に慣れないかもしれませんが、愛情を持って接することで、必ず心を開いてくれます。チンチラとの生活は、その愛らしい仕草や柔らかな毛並みに癒される、かけがえのない時間となるでしょう。しっかりと準備を整え、チンチラが安心して暮らせる環境を作ってあげてください。
記事の執筆者
- Minima編集部
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