犬でも猫でもない、「小さな家族」と暮らす日々。近年、ハリネズミやフクロモモンガ、爬虫類などのエキゾチックアニマルを飼育する人が増えています。しかし、彼らを診療できる動物病院は限られており、いざという時に頼れる場所を見つけられないという課題があります。
小動物メディアMinimaは、この課題に向き合うため、エキゾチックアニマルに特化した動物病院の情報共有サービス「ミニケア」を立ち上げます。
サービス開始に先立ち、特別連載「エキゾのはなし。」をスタート。飼い主、事業者、そして獣医師の方々に登場いただき、エキゾチックアニマルとの暮らしや、ケアの現状と課題について様々な視点から語っていただきます。
第1回のゲストは、2025年5月に開業した「マーモット村」代表の今井英莉さん。国内でも飼育事例の少ないマーモットの日々の健康管理から、提携する動物病院のことまで、マーモット飼育のリアルな声をお届けします。
「(マーモットの)データが少しずつ蓄積されてきています」
ビスケ——マーモット村では、日々どのような健康チェックをされていますか?
基本的なことですが、目に見える範囲で気づけることって意外と少ないんですよね。なので、実際に触って異常がないかを確認することを心がけています。触診していると、怪我を早期に発見できたりするんです。
もう一つ重視しているのが、歯のチェックですね。げっ歯類なので歯が伸び続けるのですが、変な方向に伸びちゃうと噛み合わせが悪くなってしまって。餌をあげる時に上から差し出すと、マーモットは2足で立って上を向いてくれるので、そのタイミングで口の中をチェックできます。
ビスケ——マーモット特有の病気や、特に気をつけていることはありますか?
今のところ、マーモット特有の病気は確認されていません。生体自体がまだあまり知られていないこともあって、疾患に関するデータも少なくて。ただ、げっ歯類に共通する歯の噛み合わせの問題には注意が必要ですね。
今のところ大きな病気にかかった子はいないです。みんな元気に過ごしてくれていて、本当に嬉しいです。
——健康管理では動物病院と連携されていると聞きました。エキゾチックアニマルの病院探しは難しいことも多いですが、マーモットを診てくれる病院が近くにあるんですね。
中野にある「ココニイル動物病院」で、院長の芝﨑先生に診ていただいています。マーモットの生態について本当に真摯に向き合ってくださって、すごく感謝しています。海外で健康診断を受けて来日したマーモットたちですが、国内でも定期的に健康診断を行っていて、血液データなどが少しずつ蓄積されてきています。

——芝﨑先生は、もともとマーモットを診療されていたんですか?
実は、芝﨑先生も犬猫をはじめエキゾチック系の動物は診ていらっしゃったんですが、マーモットを診るのは初めてでした。マーモット村の子が、先生にとって初めてのマーモットでした。
それでも、血液を検査機関に出してデータを取ってくださったり、こちらからお願いしなくても積極的に動いてくださって。多分、手探りの部分もあると思うんですけど、一緒に学びながら進めてくださっているのが本当にありがたいです。
——素晴らしい関係性ですね。普段はどんな風にやり取りされているんですか?
病院まで車で5分という近さなので、何かあればすぐに連れて行けるという安心感があります。

——小動物の飼い主さんは病院探しで悩むことも多いと思います。これからマーモットを迎えたい方へは、どんなサポートをされていますか?
47都道府県で診察可能な病院をピックアップしてはいるのですが、お住まいの地域によっては近くにないこともあります。なので、飼いたいと希望される方には、まず近くでマーモットを診られる病院に問い合わせてみることをお勧めしています。
もしもの時、救急で診てもらいたい場面も出てくると思うので、近くに頼れる病院があることが大切だなと。それが、家族として迎える前の準備として重要なことだと思っています。
マーモットと一緒に暮らすことについて
大阪店のウッドチャック——一般のご家庭でマーモットを迎える場合、どのような飼育環境を整えるのが理想的でしょうか。広さの目安などがあれば教えてください。
マーモットが自由に動ける専用スペースとして、6畳ほどあると安心ですね。ただし、その6畳を「何をしてもいい部屋」として使える環境が必要です。噛んだり、走り回ったりしますので、家具や大切なものは置かないようにして、マーモット専用の空間を用意できると理想的です。
——マーモットとは、どのくらいの年月を一緒に過ごせるのでしょうか?
野生では10〜15年ほど生きるといわれています。飼育下でしっかりと環境を整えてあげれば、15年以上生きてくれる可能性もありますね。今、マーモット村ではいちばん年上の子が3歳で、みんな若いんです。これから成長していく姿を見守れるのが本当に楽しみです。
大阪店のヒマラヤマーモット——最近は、マーモットを家族として迎えたいという声も増えてきているそうですね。
そうですね。確実にお問い合わせは増えています。ただ、やはり「かわいいから」だけの気持ちではなく、命を預かる覚悟を持って迎えてほしいという思いがあるんです。そのため、審査はきちんと行わせていただいています。
——お迎えの際には、どんな点を確認されるのでしょうか?
飼育環境の確認はもちろんですが、近くにマーモットを診られる動物病院があるか、そして15年という長い時間を責任をもって一緒に過ごせるか。そのあたりを丁寧にお伺いしています。途中で飼えなくなってしまうと、マーモット自身が悲しい思いをしてしまいますから。だからこそ、最後まで家族として寄り添ってくださる方に、お迎えしていただきたいと思っています。
「マーモット村」は大阪にもオープン!
——東京・中野の「マーモット村」に続き、大阪店もオープンされるとのこと、おめでとうございます。どんなお店になるのでしょうか?
場所は大阪の中心地から少し離れた、静かで落ち着いた住宅街の中にあります。マーモットたちと穏やかな時間を過ごしていただけるよう、空間づくりにもこだわっていますので、ぜひ遊びに来ていただけたら嬉しいです。
大阪店のボバクマーモット——大阪店ならではの見どころや特徴があれば、ぜひ教えてください。
実は、大阪店には東京の店舗にはいない「ボバクマーモット」という種類の子がいるんです。まだ赤ちゃんなので、成長していく様子をお客様にも見守っていただきたいです。マーモットといっても種類によって性格や見た目が少しずつ違うので、その個性の違いを感じていただけるのもマーモット村の魅力だと思います。ぜひ会いに来てください。
大阪店のボバクマーモットたち■店舗情報
「マーモット村」大阪店
住所:大阪府守口市浜町2-1-21 2F マーモット村大阪店
大阪メトロ「守口駅」徒歩5分、京阪「守口市駅」徒歩8分
営業時間:10:00〜18:00(12:00〜13:00はマーモット休憩時間)
定員制:事前予約必須、各月に不定休メンテナンス日あり
予約方法:公式サイト内「大阪店予約ページ」から受付
Minimaでは「ミニケア」の本格始動に向けてクラウドファンディングを11月12日(水)16:00より実施します。
小さな命を守るために、エキゾチックアニマルの診療環境を一緒に変えていきませんか。あなたの応援が、誰かの大切な家族を救うことにつながります。
クラウドファンディングURL:https://readyfor.jp/projects/minicare
ミニケアX:https://x.com/minicare_app