ヒノトントンZOO(羽村市動物公園)のモルモット展示エリアは、たくさんのプイプイたちが一緒に暮らしている“ほっこり空間”。個性豊かな子たちがのびのびと暮らしています。
今回は飼育担当の方に、人気投票「モルモット総選挙」の舞台裏や、動物自身の意思を尊重する“出勤システム”など、アニマルウェルフェアを取り入れた飼育の工夫を伺いました。
ヒノトントンZOO(羽村市動物公園)のモルモット展示エリアは、たくさんのプイプイたちが一緒に暮らしている“ほっこり空間”。個性豊かな子たちがのびのびと暮らしています。
今回は飼育担当の方に、人気投票「モルモット総選挙」の舞台裏や、動物自身の意思を尊重する“出勤システム”など、アニマルウェルフェアを取り入れた飼育の工夫を伺いました。
ーーいま園では何頭くらいのモルモットを飼育しているんですか?
かつては300頭近くいましたが、相性や飼育スペースを考慮していまはだいぶ数を絞りました。それでもケージにはたくさんの子がいて、時々ちょっとした小競り合いが起こる程度で大きな喧嘩はありません。マイペースに過ごしている子も多いですよ。
ーー牧草が山盛りに入っていますね!
基本は乾燥牧草が主食です。ビタミンと水分補給のためにキャベツを与えていますが、このキャベツは廃棄予定の野菜をいただいているのでコストはほぼゼロ。牧草だけ購入している形です。自由にかじれる量を常に入れておくことで、採食行動も十分に引き出せています。
ーーモルモットたちの毛並みにもだいぶバリエーションがありますね。
大きく4タイプいます。①短毛で一番ポピュラーな「スムース」、②“くるん”とした巻き毛、③さらに硬めで縮れた「チリチリ」、④頭頂部に渦がある “カッパちゃん” タイプ。来園者には「お尻の毛の違いにも注目してみてください」と案内しています。
ーーそれぞれ名前がついていますが、どうやって決めているのですか?
担当者が中心になって名付けます。たとえば“おにくちゃん”という母親から生まれた3 匹は、かるび、はらみ、ろーすと、その系譜を受け継ぐ名前に。時には珍しい毛色や模様が出た子にユニークな名前を付けることもあります。
ーー妊娠中や治療中の個体も見かけました。健康管理はどうしていますか?
足に不調がある高齢個体や妊娠中でお腹が大きい子は、橋の下や静かな場所で休ませています。必要に応じて投薬も行い、投薬時間になると薬を待ち構えている子もいるほど。細かい状態は毎日チェックして、獣医とも連携しながらケアしています。
ーー触れ合いイベントは、“出勤システム”を採用していると聞きました。
以前は全頭を外へ出して膝に乗せてもらうスタイルでしたが、膝から落下してケガをするリスクがありました。現在は展示場横に台車を連結し、ゲートを開放したまま「出勤したい子」だけが出て来る方式です。野菜カップ(100 円)を購入してくださった方のもとへ自ら寄ってきた子だけ触れるという、モルモットの意思を尊重した形にしています。
ーー素敵な取り組みだと思います。“モルモット教室”もやっているんですよね。
週1回、15組限定で実施しています。飼育担当が講師になり、正しい抱き方やアニマルウェルフェアの考え方をレクチャーします。事故を防ぐために目の届く範囲・人数制限で行っています。
ーー編集部で飼育しているモルモットのてんちゃんは、ずっと隅っこでじっとしているような子です。単独行動を好む子とかもいますか?
いますね。単独行動派の子は「触られたくない、そっとしてほしい」という雰囲気を出します。性格はそれぞれで、そういう子は無理に触れ合いに出さず、好きな場所でのんびりさせています。
ーーアニマルウェルフェアの実践例はほかにもありますか?
様々工夫をするようにしていますが、ポイントは「動物本来の行動を引き出す環境づくり」です。たとえばインコは割った竹や木の葉を与えておくと、くちばしでかじる行動が促せたりします。あと、野生の子たちは餌を探すのが1日の大部分だったりするので、ただ置いておくのではなくて、探すような行動を促すことを意識しています。例えばビーバーであればプールに餌を沈めて潜水時間を延ばすようにしたり、キリンであれば高所に枝葉を固定し、長い舌で“プチプチ”ちぎる行動を引き出すようにしています。
餌を隠して探させるだけでも“暇な時間”が減って、脳を使う好循環につながります。飼育員同士で工夫を共有し合いながら日々アップデートしています。
ーーそういう工夫があると知れて、動物園に来る時の視点が変わりますね。最後に、スタッフさんから見たヒノトントンZOOの魅力を教えてください。
展示動物との距離が近く、飼育員との距離も近い“アットホームさ”が売りですね。大型動物もいる広い敷地なのに、モルモット展示のように密着感を味わえるエリアが多い。触れられなくても間近で見たい方、アレルギーで触れ合いが難しい方にも楽しんでいただけるスタイルだと思います。
「ヒノトントンZOO(羽村市動物公園)」
入園料:18才未満 無料、18才以上65才未満 500円、65才以上 200円
住所:205-0012 東京都羽村市羽4122番地
■アクセス
JR青梅線 羽村駅東口下車 徒歩20分
羽村駅からバスでお越しの場合
・立川バス長岡循環行または箱根ヶ崎駅行「羽村団地」下車
・羽村市コミュニティバスはむらん羽村東コース「動物公園前」下車
■営業時間
【3月~10月】9:00~16:30(最終入園時間16:00)
※8月4、11~18、25日は9:00~19:00(最終入園時間18:30)
【11月~2月】9:00~16:00(最終入園時間15:30)
休園日 毎週月曜日と1月1日
※ただし月曜日が国民の休日に当たるときや繁忙期には開園します。
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