慶應義塾大学とカシオ計算機株式会社は、カシオ計算機が開発するAIペットロボット「Moflin(モフリン)」を対象に、心理学および認知神経科学の観点から、その特徴が顧客体験に与える影響を学術的に分析・検証する心理学アドバイザリを、2025年10月より約半年間にわたって実施しました。アドバイザリには、慶應義塾大学文学部心理学専攻の寺澤悠理教授(実施時は准教授)が参加しています。

慶應義塾大学とカシオ計算機株式会社は、カシオ計算機が開発するAIペットロボット「Moflin(モフリン)」を対象に、心理学および認知神経科学の観点から、その特徴が顧客体験に与える影響を学術的に分析・検証する心理学アドバイザリを、2025年10月より約半年間にわたって実施しました。アドバイザリには、慶應義塾大学文学部心理学専攻の寺澤悠理教授(実施時は准教授)が参加しています。

本アドバイザリでは、製品開発者がMoflinを「持ち主にとってどのような存在として認識してほしい」と考えているのかという意図を踏まえ、Moflinの物理的特徴(見た目、触感、動き、声など)とソフトウェア的特徴(応答パターンの形成、コミュニケーションの双方向性など)がどのように実装されているか、それらが人間の心理にどのような影響を及ぼしうるかを多角的に分析・議論しました。また、これらの特徴を改変した場合に、持ち主によるMoflinの受け止め方や感じ方がどのように変化しうるのかについても、学術的知見に基づいて検討しています。
分析の結果、Moflinの丸みのある外見が持ち主の保護欲求を喚起し、癒しの感覚につながっている可能性や、温かく柔らかな触感が安心感をもたらす可能性が示唆されました。さらに、Moflinの応答パターンに関する考察を通じて、持ち主がMoflinを生き物らしい存在として受け止める可能性も示されています。
こうした特徴は、Moflinへの親しみを高めるだけでなく、持ち主の情緒の安定や社会的自己肯定感、ウェルビーイングの向上にもつながる可能性があると分析されました。Moflinは、ペットロボットという枠を超え、人が関係性を感じながらコミュニケーションできる存在として受け止められうる点に特徴があります。

本アドバイザリを通じて、Moflinの物理的特徴およびソフトウェア的特徴と、それらが顧客体験に与える心理学的影響について、多様な観点から分析・検討を重ねてきました。
具体的には、丸みのある外見が小動物を想起させ、持ち主の保護欲求を喚起することで、攻撃性の低下や情緒の安定化がもたらされ、癒しの感覚につながっている可能性があります。その背景には、オキシトシンやドーパミンなど、社会的関係性や報酬に関わる神経経路の関与が想定されます。また、Moflinの温かく柔らかな触感が、副交感神経系を介して安心感をもたらす可能性についても議論しました。
ソフトウェア的特徴である応答パターンについては、持ち主が愛着を形成しやすいパターンのあり方や、その可変性が与える影響について考察しました。そのほかにも、呼吸を思わせる動作、外に連れ出せること、昼夜によって行動が変化すること、コミュニケーションの解釈に一定の自由度があることなど、多様な切り口から検討を重ねてきました。
こうしたさまざまな特徴によって、Moflinは、より生き物らしさを備えた、双方向的なコミュニケーションが可能な存在として認識されうると考えています。そして、そうしたMoflinとの関わりが、持ち主の社会的自己肯定感の向上、ひいてはウェルビーイングの向上につながる可能性があると捉えています。
本アドバイザリは、地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)の取り組みのひとつとして、慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート(KGRI、所長:中妻照雄経済学部教授)内に設置された「Ideation & Activation ユニット(課題ワンストップ受入解決ユニット)」(ユニット長:星野崇宏経済学部教授)が担当しました。
同ユニットでは、専任のURA(University Research Administrator)が窓口となり、企業などが抱える社会課題や経営課題をワンストップで受け入れ、課題解決が可能な研究者をマッチングすることで、学術的・学際的なアプローチを通じた課題解決を図ります。URAは、研究資源の獲得支援、研究活動の企画・マネジメント、研究成果の社会実装促進などを担う専門人材で、研究力の向上や研究活動の活性化、研究開発の戦略的マネジメントを推進する役割を持ちます。










