愛らしい姿で私たちの生活に喜びを与えてくれるうさぎですが、実は様々な病気にかかりやすい動物です。しかし、飼い主さんが日頃からうさぎの健康状態を観察し、適切なケアを行うことで、多くの病気を未然に防ぐことができます。
この記事では、うさぎがかかりやすい代表的な病気とその対策について、詳しく解説していきます。
愛らしい姿で私たちの生活に喜びを与えてくれるうさぎですが、実は様々な病気にかかりやすい動物です。しかし、飼い主さんが日頃からうさぎの健康状態を観察し、適切なケアを行うことで、多くの病気を未然に防ぐことができます。
この記事では、うさぎがかかりやすい代表的な病気とその対策について、詳しく解説していきます。
15年の獣医師経験を持つ、エキゾチックアニマル専門家。日本獣医生命科学大学卒業後、専門病院での研修を経て動物園やサファリパークで100種以上の診療を行っています。
ペットのうさぎとフクロモンガは13歳超、現在は11歳のネコと暮らしながら、常に最新の獣医療を学び続けています。
胃腸の動きが鈍くなり、正常に機能していない状態を指します。原因は毛球、誤飲、ガスの溜まり、ストレスなど多岐にわたります。
症状には食欲不振、元気消失、糞の量の減少が含まれます。
カルシウム代謝が特殊なうさぎは、尿路結石ができやすい傾向にあります。おしっこの量が減る、排尿姿勢をとるのに出ない、痛がる様子などが見られるときは要注意です。
予防には、結石の成分となるミネラル類の過剰摂取を避けましょう。カルシウム含量の多いアルファルファや、シュウ酸の多い小松菜などは少量にとどめた方が良いでしょう。
他にも、新鮮な水は切らさず、適度な運動をさせてあげてください。
うさぎの歯は一生伸び続けるという特徴があります。前歯は約2mm/週、奥歯は約3mm/月のペースで伸び続けます。そのため、歯並びが悪くなると食事が上手に取れなくなったり、口の中に傷ができたりすることがあります。
食欲低下、よだれの増加、顔周りが濡れるなどの症状が見られ、重症化すると、体重減少や脱水症状を起こします。
予防には、繊維質の多い牧草をたくさん与えて、歯が自然に削れるようにすることが大切です。
また、週に1回は前歯の状態をチェックすることをおすすめします。左右に斜めに嚙み合っている場合は奥歯にも異常がある可能性が高いです。
床材が不適切、掃除が不十分、肥満や運動不足が原因で足の裏に傷ができてしまうことがあります。足の裏が赤くなったり、毛が抜けたり、腫れたりする症状が見られます。特に後ろ足に多く発症し、進行すると歩行困難になることもあります。
予防には、すのこの上に牧草などの床材を敷いたり、床材は毎日交換し、ケージ内を清潔に保つことが効果的です。
適度な運動と体重管理で足への負担を減らすことができます。
メスのうさぎは4歳以上になると、約60%が子宮の病気にかかると言われています。特に子宮腺癌は多くの未避妊メスに見られ、おしっこに血が混じる、元気がない、食欲が落ちるなどの症状が現れます。
性格が急に攻撃的になったり、お腹を触られるのを嫌がったりする行動の変化が見られることがあります。
予防には、繁殖予定のない場合、生後半年から1年の間に避妊手術を行うことが最も効果的です。手術は若いうちの方が負担が少なく、術後の回復も早いとされています。
初期症状は見逃しやすいものです、4歳以上のメスうさぎは、半年に1回程度の健康診断をおすすめします。
パスツレラ菌の感染により、くしゃみや鼻水などの風邪のような症状を引き起こす病気で、放置すると肺炎に進行する場合もあります。
初期症状として、鼻の周りが濡れていたり、前足の内側が濡れていたりすることがあります。これは鼻水を拭う動作によるものです。また、くしゃみが増えたり、呼吸音が聞こえるようになったり、食欲が低下したりすることもあります。
予防のためには、室温や湿度を適切に管理し、換気を行いましょう。エアコンの風が直接当たらないようにし、急激な温度変化や環境変化は避けるようにしましょう。掃除を怠らず衛生的な環境を保つことも必要です。
頭が傾いてしまう状態で、中耳炎、寄生虫感染、脳の疾患(脳腫瘍など)が原因となることがあります。バランスを崩しやすくなり、回転運動や転倒などの症状が出ると食事が摂れなくなることもあります。
中耳炎が原因の場合は、頭を振ったり、耳を掻く仕草が多くなります。
予防には、斜頸のうさぎに近づけないこと、耳のチェックを定期的に行い、耳の中を清潔に保つことが大切です。
症状が出た場合は、治療を早期に開始することで、予後が大きく改善する可能性があります。
外部寄生虫(ノミ、ダニ)や内部寄生虫(コクシジウムや蠕虫類)に感染することで、うさぎの健康状態は大きく損なわれます。外部寄生虫の場合、頻繁に体を掻いたり、フケが増加し脱毛が起こることもあります。内部寄生虫の場合は、食欲不振や体重減少、下痢などの消化器症状が現れます。
予防には、清潔な環境を保ち、野菜を与える際は十分に水洗いをしましょう。定期的なグルーミングで体の状態を確認することも大切です。
うさぎは小動物特有の習性から、体調不良を見せたがらない傾向があります。早期発見のためには、日々の観察が何より大切です。以下の4つのポイントを毎日チェックすることで、異変に素早く気付くことができます。
食欲は健康状態を示すバロメーターです。
牧草を食べる量がいつもより少ない、好物のペレットや野菜を残す、食事の時間が長くなるなどの変化は要注意です。うさぎは常に牧草を食べることで胃を動かさなければならず、6時間以上の食欲廃絶が続くと致命傷になりかねません。
うさぎの健康状態は、排泄物の状態に如実に表れます。通常の糞は、硬便と盲腸便の2種類があり、硬便は丸く大きさが均一で、繊維質が目立つ状態が理想的です。盲腸便はブドウの房上で柔らかく、下痢便と見間違えないように注意が必要です。サイズや形、量や色の変化は体調不良のサインかもしれません。
尿の変化にも注目しましょう。うさぎの尿は変化に富んでいてカルシウムを多く含む白い尿や、牧草の成分が酸化して赤褐色になる酸化尿も正常尿と言えますが、血液が混ざった尿と見分けるには日ごろからの観察が重要です。尿量の急な変化も病気の可能性があります。
毎日ブラッシング時に、被毛や皮膚の状態をチェックし、艶の消失、フケの発生、皮膚が湿っている、発赤などの変化を見逃さないことが大切です。
特定の部位を過剰に気にしている場合や、換毛期以外の抜け毛も体調不良のサインかもしれません。
うさぎの正常な呼吸は静かで規則正しく、鼻はひくひくと動いています。1分間の呼吸数はばらつきがあるものの、だいたい30-60回程度です。
呼吸が荒くなる、口呼吸が見られる、くしゃみや鼻水が出る、鼻周りが濡れているなどの症状を見逃さないよう、普段から呼吸の様子を観察しましょう。
うさぎの健康を支える最も重要な要素は、バランスの取れた食事です。1日の食事量の80%以上を良質な牧草が占めるようにしましょう。チモシーを主体とした牧草は、歯の伸びすぎを防ぎ、腸の働きを活発に保ちます。
ペレットは年齢に応じたものを体重の1.5%程度与えますが、成長期の食事制限は栄養不足を招く可能性があるため食べるだけ与えて大丈夫です。成長期から様々な種類の野菜や果物を与えることで、将来の食事の幅を広げることができます。
給餌の回数は1日1~2回で、夕方から夜にかけての時間帯が理想的です。また、新鮮な水は必ず常備し、1日2回は取り替えましょう。
ストレスは様々な病気の引き金となります。快適な環境を整えることで、うさぎの心身の健康を保つことができます。適度な広さのケージ、安定した室温(20~25℃)、適度な湿度(40~60%)を維持しましょう。
毎日運動させ、好きなおもちゃで遊べる環境を用意することも大切です。また、突然の大きな音や振動、他の動物からの威嚇など、ストレスの原因となるものは可能な限り取り除きましょう。
病気の早期発見には、定期的な健康診断が効果的です。年に1-2回は専門家にチェックしてもらいましょう。特に高齢のうさぎや、持病のあるうさぎは、より頻繁な受診をおすすめします。
健康診断では、体重測定、歯の状態確認、心音・呼吸音のチェックなど、総合的な評価が行われます。また、予防薬や気になる症状について、その場で相談することもできます。
うさぎの健康管理について、多くの飼い主さんが疑問を持つポイントを、実践的なアドバイスとともに解説します。
病気の早期発見のためには、日々の観察が何より大切です。毎日の観察を習慣にするとよいでしょう。
体重測定は週1回を目安に行いましょう。グルーミングは、短毛種であれば週1回程度、換毛の時期には1~2日に1回と頻度を増やすことをおすすめします。定期的なブラッシングは、毛球症の予防だけでなく、皮膚の状態チェックも兼ねます。また、歯の状態は週1回、爪の長さは月1回程度の確認を心がけましょう。
重要なのは、年齢による食事内容の調整です。6ヶ月未満の成長期、6か月から5歳くらいまでの維持期、それ以降のシニア期で、体調を見ながら徐々に切り替えていきます。
ペレットを選ぶときは、なるべく添加物の少ない(グルテンフリー)ものを、成長段階に合わせ、1か月で使い切れるように選びましょう。
牧草は成長期にはアルファルファを主体とし、それ以降はチモシーなどイネ科牧草を選びます。
うさぎの診療には専門的な知識と経験が必要です。うさぎの診療実績が豊富で、24時間対応や緊急時の受け入れが可能な病院を選ぶことをおすすめします。
まずは日常的な健康診断から始めて、うさぎとの相性や病院の対応を確認するとよいでしょう。また、自宅から30分以内で通える距離にあることも重要なポイントです。緊急時に慌てないよう、かかりつけ医は元気なうちに決めておくことが賢明です。
うさぎは小動物特有の特徴から、体調不良をみせたがらず、病気が急激に進行することがあります。異変に気付いたら、できるだけ早く動物病院を受診することが大切です。
病気を防ぐには、毎日の観察と適切なケアが欠かせません。
うさぎとの素敵な時間を長く楽しむために、この記事を日々のケアの参考にしていただければ幸いです。少しでも体調が気になるときは、早めに動物病院を受診しましょう。
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