2024年12月より鎌倉にオープンした、英国アンティークに囲まれてエキゾチックアニマルと触れ合える「かわいい生きものミュージアム」。

代表の土橋正臣さんに行ったインタビュー前編では、鎌倉で立ち上げた意図と、動物がストレスなく過ごせるための工夫を聞きました。

インタビュー後編では、さらに土橋さんの考えに踏み込みます。

幼少期からずっと動物を飼ってきた土橋さんは、なぜ動物を飼うことが大事だと思っているのでしょうか?

そして博物館の事業を通して、世の中に伝えたいこととは——。

「みんなが小動物を飼えば戦争はなくなる」

シロフクロウのロビン館長
シロフクロウのロビン館長

——「英国アンティーク博物館」や「かわいい生きものミュージアム」について、どちらも文字での説明は控えめにされている印象です。

土橋正臣さん:入ってきていただいた方に、パッと感覚的に理解できるようにしています。その理由として、あまり説明をつけすぎることは今の若い人に合わないと思ったのです。説明を見たくないというか、誰も読まない。

だから、この博物館も「うわ、可愛い!」と思ってもらうことこそがコンセプトなのです。そうした体験が自分の中に残った上で、あとで調べることが本人の自由というか。ネットの社会で情報はいっぱいあるので、そのきっかけ作りを与えるのが自分の仕事という感じです。

——実際に動物たちと触れ合ってみた経験は、記憶に強く残ります。

土橋さん:いまの世の中って変な世の中で、あちこちで「戦争は嫌だ」と言うではないですか。「平和だ、平和だ」と言っている割には、平和にならない。みんなの心の中で絶対に爆弾を落としてはいけないと思えばいいわけではないですか。そうすれば誰も爆弾は落とさないですよね。例えばみんなが小動物を1人1匹飼う法律ができたら、多分戦争は起きないと思います。

たとえばイギリス人は17時になったらすぐに帰ってしまうのですが、たいてい家で動物、特に犬を飼っています。家が楽しいと、やはり仕事も楽しいし、早く帰って残業もなくなるし、平和になる。そういうことを考えると、動物は飼った方がいいと思うのです。

お土産コーナー
お土産コーナー

——人はみんな、動物を飼った方がいいということですか?

土橋さん:「小さいうちに犬を飼いなさい」という言葉があります。小さい頃に犬はその子供たちを保護してくれるでしょう。そして、子供になって青年になってきたら、良き友達になるでしょう。そして20歳を過ぎて、その青年が大人になった時に、死を持って、人の痛み、苦しみ、命の大切さを教えるでしょう、そういう言葉です。動物を飼うということは、その過程を短縮して見られるからです。そういう点において、動物を飼う大事さがあると思います。

動物を飼っていると、確かに慣れない動物もいるのですが、それでも何となく心が通じてきて、人間と分かち合えるときがある。人間の心を和らげてくれるではないですか。

——そうですね。

土橋さん:いつもイライラしている人とか、他人に対して冷たい人なのに、ペットの前では急に人格が変わる人がいます。ペットというのは、極端な話、人間より弱い存在だと思うのです。人間がいなければ多分、生きていくのは難しい。だからこそ、それを大切に慈しむ心が生まれるのではないかと思っています。

動物愛護とエキゾチックアニマルについての考え

アフリカワシミミズクのジュノ
アフリカワシミミズクのジュノ

——反対に、これだけ多くの動物を飼われてきた土橋さんが感じる、生き物を飼うことの難しさはありますか?

土橋さん:まず、生き物を飼うということは非常に難しいことです。それに加えて、犬や猫など以外の動物、つまりエキゾチックアニマル特有の難しさもあります。

たとえば犬は逃げて迷子になったりしないように、ハーネスやリードをつけますよね。でも、エキゾチックアニマルはまだ飼われた経験が少ないので、そうした予防的な行為に抵抗がある人が多いようです。

犬にはリードをつける。当たり前ですが、それは外に行くから。そして、夜は危ないのでケージに入れますよね。フクロウもそれと同じように、愛玩動物として飼うために最低限必要なケアをしているのですが、なかなか理解されないことも多いです。

——たしかに。

土橋さん:動物たちにとっても、すべて放してしまうと、とたんに危険な状態になるわけです。物のすき間に挟まったりすることもありますし。その時にリードを短くして繋いだり、持ったりすることが安全のためには必要なのです。

特に足場に繋がれているとすぐにダメだと思われがちですが、そうではない。フクロウはじっとして獲物を狙う習性もありますし、安全を確保するための工夫でもあるのです。

鶏は食べていいけど、ヒヨコは食べてはいけない?

ユーラシアワシミミズクのまさるを撫でる土橋さん
ユーラシアワシミミズクのまさるを撫でる土橋さん

——多くの人がエキゾチックアニマルの知識がないので、飼育している人とどうしても摩擦が起きやすい。

土橋さん:このフクロウたちはヒヨコを食べます。ネズミも食べますし、ウズラも食べます。先日、イギリスのパーティーで女の子と話していたのですが、その時にフクロウを飼っていることについて、「ハリーポッターみたいですね」と言って興味を持ってくれたんです。

そのあと「何を食べているのですか?」と聞かれ、「ヒヨコとかウズラとか」と言ったら、急に「ヒドい!」とみんなが言いまして。思わず「あなたはケンタッキーを食べないのですか?」と返すと、「それは大人の鶏だからいいのではないですか?」と。

——まさしく考え方と、飼育経験ですね。

土橋さん:「鶏は大人だからよくて、ヒヨコは子供だからダメ」という。確かに言いたいことはわかりますが、可愛いから、小さいから食べさせてはいけない、という考え方はおかしいですよね。でも、自分は鶏を食べる、牛も食べる、豚も食べる。

でも、フクロウがヒヨコを食べると「ヒドい」と言うのです。そこなのです。食育と一緒で。こういうことって、飼えば分かることも多いですし、飼ってこそ考えることもたくさんあるんです。犬や猫、フクロウでも小動物でも、何か飼ってみた方がよくわかるのではないかと思っています。

アフリカオオコノハズクのルイス
アフリカオオコノハズクのルイス

——土橋さんはそういったことを伝えたいのですね。

土橋さん:伝えたい思いが結構あります。少しでも、1人でも多く、動物の可愛さや、命の大切さを伝えたい。何でもそうなのですが、やはり自然が一番ではないですか。

人間が生きる上で自然が壊されたらダメです。それはそこに生きている動物たちにとっても一緒で。そこをまず最初に理解してもらって、「かわいい生きものミュージアム」でもどこでもいいのですが、動物たちにもいい環境で、休ませてあげながら触れ合ってもらう。それが一番いいと思ってるんです。

アクセス

鎌倉駅東口より徒歩3分。小町通り沿い
〒248-0006 神奈川県鎌倉市小町2丁目8-7すみのプラザ3階
・鎌倉駅東口より徒歩3分
・英国アンティーク博物館より徒歩3分
・鶴岡八幡宮より徒歩5分
※鎌倉駅から小町通りを進んでください。
右手に着物レンタルVASARAが見えてきます。その3階が「かわいい生きものミュージアム」です。

施設概要

かわいい生きものミュージアムCAM鎌倉
(英語表記:CUTE ANIMAL MUSEUM KAMAKURA )
営業時間:12:00~17:00(最終入場16:00)
料 金:1,300円(40分)※未就学児の入場は不可
所在地:〒248-0006神奈川県鎌倉市小町2-8-7 すみのプラザ3F
アクセス:鎌倉駅東口より徒歩3分、小町通り
休館日:なし ※都合によりお休みする場合は、HPやSNSでお知らせ
公式サイト:https://cuteanimalmuseum.com